食品安全情報blog過去記事

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リスク評価の新しい課題に対応する

Addressing the New Challenges for Risk Assessment
The Scientific Committees adopted this opinion via written procedure in March 2013
http://ec.europa.eu/health/scientific_committees/consumer_safety/docs/sccs_o_131.pdf
SCHERとSCENIHRとSCCSによる将来の課題
環境影響とヒト健康リスクの分野。
ヒトリスク評価については、標準試験法に基づくリスク評価から、作用機序(MoA)を中心にしたものに変更する傾向/必要がある。 (Q)SARと外挿による読み取り(read-across)のような、in silicoアプローチの発展により、より適切な試験法を選択するために改良データベースの開発が必要である。
またハザードをもとにしたプロセスから暴露をもとにしたプロセスへのパラダイムシフトがおこるだろう。これには個々の化学物質や化学物質群への暴露評価の大幅な改良が必要である。優先課題としては、同定や暴露の指標としてのバイオマーカーの使用、低コストの個人モニターが広く使用できるようになること、外部からと内部からの暴露のより良いモデル作成、がある。さらにハザード同定とキャラクタリゼーションにも大幅な変更が必要である。実験動物の削減要請が強いためハザード同定には代替法開発が必要である。実験動物はMoAの同定に使われるべきで、病理組織学的基準や体重、臓器重量、血液生化学検査のエンドポイントにはあまり重点を置くべきではない。主な優先課題はin vivo動物実験の代替法開発、リスクキャラクタリゼーションに必須なMoA同定のための、ゲノミクスのような、より感受性の高い化学物質の影響を調べる方法の開発

(注:一定の毒性試験法セットを行って、その中で見られた(有害)影響をエンドポイントとしてリスク評価をするのがこれまでの標準的手法。その際に臓器重量や血中アルブミンのようなもので投与群に有意差があればそれを「有害影響」とみなして安全係数をかけて、というやり方をしていた。しかしそれがヒトにとって妥当なエンドポイントなのかどうかについてはとりあえず安全側に振っておけばいい、というかんじであまり真剣に考えられてこなかった。それを現実的なヒト暴露状況でヒトに起こる可能性のある有害影響を同定しようというのが「パラダイムシフト」であるということ。)