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Nature GM特集

エディトリアル
黄金の分野
Fields of gold
Vol. 496 Number 7447 pp5 01 May 2013
遺伝子組換え作物の研究は、初期の期待に応えるために、企業外部で行われるべき
植物細胞に機能的外来遺伝子を入れることができたという報告を科学者が発表して今月で30年になる。この功績はバイオテクノロジーのエキサイティングな時代に入ったことを約束し遺伝子組換え作物は輝かしい未来を約束していた。しかし今週のNatureの一連の記事で、そのようにはならなかったことを探索している。
1983年の技術革新直後はGM作物を開発しているバイオテクノロジー企業は投資家にとって極めて魅力的だった。例えば熟しても柔らかくならないFlavr Savrトマトを開発していたカリフォルニアのCalgeneにCampbell Soupが出資した。1992年初めにはGMトマトがまもなく認可されるだろうとアナリストが予測した。しかしGM作物には困難が待ちかまえていた。かつては生物学の優れた技術と見なされていたGM作物がフランケンフードというレッテルを貼られるようになっていた。ヨーロッパの消費者はGMの巨人モンサントの積極的マーケティングに苛立ち、GMトマトのFDAによる認可は遅れ、キャンベルは人々が認めない限りスープにGMトマトを入れるつもりはないと言い始めた。何が間違っていたのだろうか?アナリストによれば当時バイオテック企業は消費者に適切な準備をさせることができなかった。現在では企業は大衆を教育すべきだったということを明確に認識している。Flavr Savrは1994年に認可されたが商業栽培されることはなかった。一方バイオテック企業は消費者を喜ばせるのではなく収量を増やす品種に注力する用になっていった。除草剤や害虫に耐性のある作物は増え続け、多くの国で栽培され通常の品種に置き換わっている。収量や収入が増えて農家は概して歓迎している。
GM作物は今でも広報に課題がある。見慣れない、「不自然な」ものへの恐怖、健康や環境への影響への懸念などがしばしば障害となっている。特にヨーロッパでは反対者達が実験を破壊している。米国でも表示要求などのバックラッシュがある。
アナリストは人々に情報が与えられていないというのは1993年には正しかったかもしれないが現在はそうではないという。人々はGM技術についての情報の海を泳いでいて、その情報は議論の賛成側反対側の両方でかなりの部分が間違っている。しかしその間違った情報の多くが一見正しそうに見えるように洗練されている。間違った情報で武装して道ばたやスーパーマーケットやソーシャルメディアディベートが行われている。

−植物バイオテクノロジー:色あせた約束
Plant biotechnology: Tarnished promise
遺伝子組換え作物は誇大広告と憎しみを生み出した。Natureの特集でこのドラマを解説する

−特集記事一覧は以下から
Specials  GM crops: Promise and reality
http://www.nature.com/news/specials/gmcrops/index.html
(Natureは恐怖を煽る手助けをしていたくせにと思わないでもないが、君子豹変が科学なので)