食品安全情報blog過去記事

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その他ニュース等

  • 中国のプロジェクトが天才の遺伝子を探る

Natureニュース
Chinese project probes the genetics of genius
14 May 2013  Ed Yong
http://www.nature.com/news/chinese-project-probes-the-genetics-of-genius-1.12985
脳の力の秘密を明らかにしようとする試みは懐疑に直面
中国にある世界最大の遺伝子配列決定施設であるBGIが、米国で1970年代に数学的に早熟な若者の研究(SMPY)に参加した数学と言語能力が上位1%にあるような天才集団などの1600人のゲノムを解析している。2012年8月に始まったこのプロジェクトは今後数ヶ月でデータ解析を始める予定だが、優生学的構想だ等の批判を浴びている。一部の遺伝学者は意味のある結果は出ないだろうと批判している。
かつてもっと大規模に行われた同様の試みは失敗した。しかしBGIの科学者は期待しているという。

  • Scientific Americanゲストblog

http://blogs.scientificamerican.com/guest-blog/
DDTスクラロース:ケモフォビア(化学物質恐怖症)の事例研究
DDT and Sucralose: A Case Study in Chemophobia
By Chad Jones
http://blogs.scientificamerican.com/guest-blog/2013/05/10/ddt-and-sucralose-a-case-study-in-chemophobia/
最近私はケモフォビアについて何人かの化学者と話し合った。この話題はほぼ全ての化学者ブロガーが何らかの形で触れているものである。この中でDr. Joseph Mercola(代替医療の実践者でインターネットでサプリメントを売ったりしている。彼のサイトは毎日数百万のアクセスがありニュースレターの購読者は150万人と言っている)の「Splendaは砂糖よりDDTにより近い」という主張が話題になった。実際にはスクラロースDDTは全然似ていないが。この主張をケモフォビアの事例研究としてみたい。
・聴衆が多い
Dr. Joseph Mercolaの読者は多く、このスクラロース/DDTのページは35万回閲覧されている。多くの化学者が反論しているがそのページビューはこれに比較すると残念なほど影響力がない。既に多くの努力がなされているが、我々はもっとする必要がある
・インチキな健康上の主張
ケモフォビアの主張のほとんどは健康に関するものである。健康は誰にとっても重要なので標的になりやすい。このことは「ケモフォビア軍」には極めて有利で、「化学軍」は余分な努力が必要になることを意味する。
・主張の根拠を提供する責任を押しつける
Mercolaの記事には引用文献リストはない。彼の引用する根拠は彼自身の発言である。これは根拠を探る責任を読者に押しつけるが、彼の記事の読者のほとんどは根拠を探したりはしない。
・嘘の比較
「類似性が高い」の意味を説明することはない。彼はいろいろなものをDDTと似ていると言っている。
・逸話が根拠
科学者は逸話が対照群を設定した試験のような根拠にはならないことを知っている。しかし逸話はこの手の話にとっては、一般向けには、有効である。
・結局
Mercolaの主張が間違っていることを指摘することが常に最良のアプローチではないだろう。ケモフォビアは化学物質に対する不合理な恐怖ではあるが、説得力のある恐怖でもある。説得しようとする人々を遠ざけてしまわないよう注意深くある必要がある。

(化学軍は圧倒的に不利な状況でコミュニケーションをしなければならないのでいらいらするのだけれど、それでアウトリーチを狭めるとさらに不利になるので。ボランティア精神だけでやるのはかなりきつい)

  • ジョリーの予防的乳腺切除がジレンマを明らかにする

NYT
Jolie’s Disclosure of Preventive Mastectomy Highlights Dilemma
Published: May 14, 2013
http://www.nytimes.com/2013/05/15/health/angelina-jolies-disclosure-highlights-a-breast-cancer-dilemma.html?_r=0
アンジェリーナ・ジョリーの乳腺切除の公表を巡って
賞賛と懸念の両方があるが、既に乳がん患者が、特に遺伝子変異があるわけでもないがんでない方の乳腺を切除する事例が増えておりそのような「予防的手術」の傾向がさらに強くなるだろう。アンジェリーナ・ジョリーの場合はBRCA1変異で米国白人女性の乳がんの5-10%の原因とされている。
アンジェリーナ・ジョリー関連ニュースがたくさん)