食品安全情報blog過去記事

はてなダイアリーにあった食品安全情報blogを移行したものです

その他ニュース等

  • データ改ざんが医薬品の治験に影を落とす

Japan Tampered Data Cast Shadow on Drug Trial
Dennis Normile
Science 19 July 2013: Vol. 341 no. 6143 p. 223
バルサルタンスキャンダルがScienceに取り上げられた
日本の研究体制全体が疑われる
(元社員1人だけの問題で済むわけがない)

  • 果糖と過去の愚行

Fructose and the Follies of History
David Katz, M.D.
07/07/2013
http://www.huffingtonpost.com/david-katz-md/fructose-toxic_b_3529120.html
「砂糖は毒、果糖は有害」というメッセージが広がっている。私は公衆衛生の専門家としての20年間ずっと、砂糖摂取量を減らすように主張してきたが、このメッセージは間違いである。砂糖は毒ではない。しかしそのことだけを心配しているわけではない。
砂糖は明確に毒ではない、水や酸素やカルシウムなどと同様、摂りすぎは人体に有害である。果糖は毒だというのも違う。組換え食品や肉やトランス脂肪やその他いろいろなものについてそれ「だけ」が悪いということはない。どんなものでも、一つだけに注目するのは意味がない。

  • モンサントはヨーロッパでGM作物が認可されるための努力をやめる

Nature newsblog
Monsanto drops bid to have GM crops approved in Europe
Posted by Daniel Cressey 18 Jul 2013
http://blogs.nature.com/news/2013/07/monsanto-drops-bid-to-have-gm-crops-approved-in-europe.html
2012年のBASFに続き、モンサントがヨーロッパ市場にさらなるGM作物を導入する試みをやめる。ヨーロッパで栽培認可を得ることはせず、輸入に注力する。
ヨーロッパは大量のGM作物を輸入しているが栽培が認められているのはMON810 とBASFのGMジャガイモの2つのみで、MON810の認可更新は進める。

  • 貧しいカナダ人はより若くして死亡する

Poorer Canadians more likely to die younger, report claims
July 18, 2013
http://www.vancouversun.com/health/Poorer+Canadians+more+likely+younger+report+claims/8677332/story.html
カナダ統計局の新しい報告書によると、家庭の収入が多いほど長く生きている可能性が高い。低所得層の喫煙、飲酒、薬物使用に関連がある

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  • コロラド大学の研究は非飲酒者と軽度飲酒者の死亡率の違いを明らかにする

CU study illuminates mortality differences between nondrinkers and light drinkers
18-Jul-2013
http://www.eurekalert.org/pub_releases/2013-07/uoca-csi071813.php
集団で見ると全く飲酒しない人々は軽く飲む人より死亡率が高い。しかし飲まない人の理由は多様で、それが死亡率に影響する。先月号のPopulation Research and Policy Reviewに発表された研究で、コロラド大学のRichard Rogers社会学教授は1988年に集められた41000人についてのデータと2006年にそのうち誰が死んだかについての情報を解析した。この調査では非飲酒者の飲まない理由を尋ねていて、研究チームは非飲酒者を「これまでほとんど飲んだことがない人」「年に12杯以下の飲酒者」「かつて飲んでいた人」の3群に分け、それぞれ飲まない理由についてさらに分類した。その結果、各サブグループの死亡率は大きく違うことを見いだした。宗教、倫理的理由で飲まない人は軽度飲酒者と同程度の死亡率で、かつて飲んでいたが問題があって今はやめたという人が最も死亡率が高かった。Rogers教授は、飲酒に良い影響があるという考えは誇張されているようだと言う。

  • 日焼けスプレーの化学物質が「がん、糖尿病、肥満の頻度を増やし生殖能力を損なうかもしれない」

Sense about science
For The Record
Chemicals in spray tan "may increase the incidence of cancer, diabetes, obesity and to impair fertility
18 July 2013
http://www.senseaboutscience.org/for_the_record.php/131/chemicals-in-spray-tan-quotmay-increase-the-incidence-of-cancer-diabetes-obesity-and-to-impair-ferti
2013年7月18日のDaily Mailに、顧客が呼吸器の問題を報告したためBootsが日焼けスプレーSeventeen Instant Glow Bronzing Sprayをリコールするという記事を掲載した。しかし紙の新聞ではCHEM TrustのElizabeth Salter-Greenを引用して「少女が使い続けると妊娠できなくなるかもしれない。フェイクタンに含まれる化合物は生殖に有害で胎児に悪影響がある」と加えている。オンライン版ではヨーロッパ環境局長Jacqueline McGladeを引用してフェイクタンに含まれる化合物ががんや糖尿病や肥満、不妊の増加に寄与している可能性があると報道した。
Imperial College Londonの毒性学教授Alan Boobisは以下のように述べる
一部の新聞がリコールをきっかけに関係のない懸念を報道することを選んだのは残念である。これらの懸念は一部の化合物が一部の試験系で内分泌系に影響するという研究に基づくものであるがこれらの知見男の妥当性については議論中で、フェイクタンに使われている場合に懸念になるとは考えられていない。他の多くの製品に使用されておりリコールされた製品だけが対象ではなく、リコールの理由とも関係ない。
(日焼けのほうが明確にリスクが大きいし)

  • ニューヨークタイムスが賛否両論を教える

Slate
The New York Times Teaches the Controversy
By Brian Palmer|Posted Tuesday, July 16, 2013
http://www.slate.com/articles/health_and_science/medical_examiner/2013/07/the_new_york_times_chronic_lyme_disease_placebo_effects_and_misleading_anecdotes.single.html
慢性ライム病については両論併記は公平ではない
創造論者や反ワクチン活動家、慢性ライム病主張者にとって「両論併記」は賢いスローガンである。根拠が無いのに何かを主張する場合には自分の主張を知らせることだけで勝利といえる。慢性ライム病は先週ニューヨークタイムスをうまく騙した。
51才の弁護士の体験談を紹介したこの記事は、医学についての誤解と体験談によるごまかしである。ライム病の感染歴が不明でありながら慢性ライム病だと主張する患者の多くは中年で、疲労感や痛みなどがよく見られる。慢性ライム病治療法とされる長期抗生物質投与は「副作用がない魔法の治療法」ではない。
問題の記事
ライム病がいつまでも続くとき
When Lyme Disease Lasts and Lasts
July 8, 2013 By JANE E. BRODY
http://well.blogs.nytimes.com/2013/07/08/when-lyme-disease-lasts-and-lasts/

(これはいわゆる化学物質過敏症とか電磁波過敏症慢性疲労症候群とかとほとんど同じ構図。原因不明の疲労や痛みなどで困っている患者に、これが原因だと「断定」して根拠のない「治療」を施し主流派の医学が間違っていると教える一部の自称専門医。インチキ医療を批判すると、批判対象ではない患者のほうが激しく怒る。idiopathic environmental intolerance。慢性ライム病は日本であまり話題にならないので患者がいるかどうかわからないが、報道されれば発見されるだろう、報道しなくていいけど。
最近の政府機関による評価は
COT
http://cot.food.gov.uk/pdfs/cotstatementiei201103lay.pdf
この手の評価書は信頼性は非常に高いのにPubMEDに収載されないのが残念)

  • オーガニック食品−「オーガニック」表示の本当の価値は

Organic food – What is an ‘organic’ label really worth?
By Jon Entine on Jul 11, 2013
http://www.ethicalcorp.com/supply-chains/organic-food-%E2%80%93-what-%E2%80%98organic%E2%80%99-label-really-worth
消費者はオーガニック製品に喜んで余分なお金を支払っているが、実際にはそのお金は心理的効果のためだけ
北米やヨーロッパのスーパーマーケットにはオーガニックと表示された野菜や果物や卵が溢れ、80ヶ国以上がオーガニック基準をもちシールやロゴや認証表示は200以上ある。
しかし消費者は情報を与えられた上での選択ができているのだろうか?
例えば米国ではUSDAのオーガニックラベルは100%オーガニックのものにシールが貼られるが、95%以上がオーガニックのものはオーガニックと表示して良く、70%以上のものは「オーガニック成分でできた」と表示できる。70%以下のものはオーガニック製品と宣伝することはできないが個々の材料を表示することはできる。EUのオーガニック表示はもっと厳しい。しかし定義が異なるにもかかわらずEUと米国は2012年にお互いのオーガニックシールを認めた。つまりある地域でオーガニックと認証されたものは別の地域でもオーガニックとして販売できる。北米とヨーロッパのオーガニック産業は年に400億ユーロと推定され、この地域で世界のオーガニック消費の90%を占める。
当然虚偽のオーガニック製品も多数ある。
オーガニック産業の成長の一部はオーガニックの方が栄養価が高いという虚偽の宣伝による。大規模オーガニック生産は土地を余分に使うなど環境に良くはないことを無視している。