食品安全情報blog過去記事

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論文

  • 抗酸化物質・・過ぎたるはなお及ばざるがごとし?

Antioxidants -- too much of a good thing?
21-Jul-2013
http://www.eurekalert.org/pub_releases/2013-07/w-at071913.php
The Journal of Physiologyに2013年7月22日発表された研究によれば、レスベラトロールは高齢男性において運動による多くの心血管系へのメリットを阻害する。
レスベラトロールアンチエイジング化合物の可能性があるとして注目されサプリメントとして販売されていて、赤ワインやその他の食品の健康上のメリットとされる。しかしコペンハーゲン大学の新しい研究によると抗酸化物質の多い食事は実際には運動による血圧やコレステロールの低下などの多くの健康上のメリットを打ち消す可能性がある。
27人の健康な、あまり運動しない65歳前後の男性に8週間、毎日激しい運動と250 mgのレスベラトロールあるいはプラセボをとってもらった。研究は二重盲検で行った。その結果運動は心血管系の健康に関するパラメータを極めて効果的に改善したが、レスベラトロール群ではその影響が血圧、血中脂質濃度、最大酸素取り込み量などのいくつかのパラメーターで減少していた。

  • カルシウム摂取は腎疾患のある患者で心疾患と死亡リスクを増加させる

Calcium linked to increased risk of heart disease and death in patients with kidney disease
19-Jul-2013
http://www.eurekalert.org/pub_releases/2013-07/wch-clt071913.php
Lancetに発表された論文。リン酸濃度を下げるためにカルシウムサプリメントを摂っている腎疾患患者はカルシウムではない治療を受けている患者より死亡リスクが22%高い。

  • タバコ規制:経済が健康に勝つとき

エディトリアル
Tobacco control: when economics trumps health
The Lancet Volume 382, Issue 9888, 20–26 July 2013, Pages 182
タバコは多くの人に多くのお金をもたらす。このことがタバコの流行についての議論に繰り返される。タバコ規制に対してはタバコ産業から強烈な反対があり、実施するには強い政治の意志が必要。

  • 慢性腎疾患:世界での規模と展望

Chronic kidney disease: global dimension and perspectives
Vivekanand Jha
Volume 382, Issue 9888, 20–26 July 2013, Pages 260–272
発症率と有病率で台湾と日本が多いことが気になる
先進国では糖尿病と高血圧が主な要因で途上国では糸球体腎炎などが要因。薬物濫用と漢方薬(これは台湾で顕著)も寄与。日本は先進国にしては糸球体腎炎が多くて、なんだろう?

  • 神経管欠損:最近の進歩、解決されていない疑問、そして論争

Neural tube defects: recent advances, unsolved questions, and controversies
Andrew J Copp et al.,
The Lancet Neurology, Volume 12, Issue 8, Pages 799 - 810, August 2013
神経管欠損についてのレビュー。病態や治療法、発症メカニズムと葉酸の役割について。葉酸については1970年代にNTDの胎児を妊娠した母親の血中ビタミン濃度の低さが注目され、介入試験が行われて葉酸が重要であることが確認された。MRCが介入試験で葉酸の効果が確認されたことを発表したのが1991年、米国政府に働きかけて葉酸強化政策を導入したのが1998年。その後カナダ、南アメリカ南アフリカ、オーストラリアと拡大。確実に効果はあるが、ヨーロッパでは食品への添加は行われていない。