食品安全情報blog過去記事

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貧血は認知症リスクの増加に関連するかもしれない

Behind the Headlines
Anaemia may be linked to increased dementia risk
Thursday August 1 2013
http://www.nhs.uk/news/2013/08August/Pages/Anaemia-linked-to-increased-dementia-risk.aspx
Daily Mailが「ステーキのような鉄の多い食品は高齢になった時の認知症リスクを減らす、と研究者が言う」と誤解を招く主張をしている。Daily Telegraphも同様に、科学者が「認知症のリスクを減らすためにステーキを食べよう」と主張しているという。しかし両紙が根拠にしているコホート研究は直接食事内容をしらべたものではない。この研究は2550人以上の高齢者を10年以上追跡して、研究開始時点で貧血があった人たちが認知症を発症する可能性が高いことを見いだしたものである。
貧血は赤血球の数あるいは赤血球に含まれるヘモグロビンが少ないとおこり、原因はいろいろである。食事由来の原因のほかに胃潰瘍、慢性腎疾患、炎症性腸疾患、あるいは一般的健康状態が悪いことも関連する。両紙の報道は貧血の理由を食事に単純化し、この研究では支持されない。全体としてこの研究は貧血、一般的健康状態の悪さと認知症の関連を示唆するが貧血が直接認知症のリスクを増やすかどうかはわからない。貧血のみを標的にした予防戦略が認知症リスクを下げるのか、あるいはより幅広い対応が必要なのかを知るにはさらなる研究が必要である。