食品安全情報blog過去記事

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論文等

  • 肺がん:世界の災厄

The Lancet
エディトリアル
Lung cancer: a global scourge
Volume 382, Issue 9893, 24–30 August 2013, Pages 659
今週は9月7-11日に2013年ヨーロッパ呼吸器学会がバルセロナで開催されるのを迎えて肺がん特集
肺がんスクリーニングについては米国の予防医療専門委員会が55-79才の年に30箱以上の喫煙者などにCTスクリーニングを薦める案を発表したことで費用対効果などについての議論が盛んになっている。一方で多くの国ではCTスクリーニングの議論は関係ない。貧困と断片的医療制度で多くの肺がん患者は診断すらされない。最優先は予防、特にタバコ対策である。

  • Scienceショット:ダメなコーヒー豆をどうやって見分けるか

ScienceShot: How to Spot Crappy Coffee
2013-08-22
http://news.sciencemag.org/chemistry/2013/08/scienceshot-how-spot-crappy-coffee
世界で最も高価な、そしてにせものが溢れるKopi Luwakの識別が可能になるかもしれない化合物10ほどがJournal of Agricultural and Food Chemistryに発表された。リンゴ酸とクエン酸濃度が高い、イノシトールとピログルタミン酸の比が高い、など

  • 海の魚は深いところでより多くの水銀を得る

Ocean fish acquire more mercury at depth
25-Aug-2013
http://www.eurekalert.org/pub_releases/2013-08/uoha-ofa082213.php
表面では光化学反応で有機水銀化合物が分解される
メチル水銀は深海で生成し表層で分解される。魚がどのへんにいるかも魚中メチル水銀濃度に関係する。

  • 今後数十年太平洋の魚の水銀濃度は増加する可能性が高い

Mercury levels in Pacific fish likely to rise in coming decades
25-Aug-2013
http://www.eurekalert.org/pub_releases/2013-08/uom-mli082213.php
ミシガン大学ハワイ大学のNature Geoscienceに発表された研究。
中国やインドが石炭をたくさん燃やすため。

  • 有害ナノ粒子がヒト食品供給網に入っているかもしれない

Toxic nanoparticles might be entering human food supply
22-Aug-2013
http://www.eurekalert.org/pub_releases/2013-08/uom-tnm082213.php
ミズーリ大学の食品中のナノ粒子検出法を開発。Journal of Agricultural and Food Chemistryに発表。
(農家がナノ銀を農薬として使ったとあるが、登録されている農薬にそんなのあったっけ?アメリカの広い農場で使える?)

  • 研究がヒ素の有害影響に肺障害を加えた

Study adds lung damage to harmful effects of arsenic
22-Aug-2013
http://www.eurekalert.org/pub_releases/2013-08/uocm-sal082213.php
新しい研究が低−中程度の飲料水中ヒ素が肺機能を傷害することを確認した。井戸水のヒ素濃度約120 ppb(安全だとされる量(注:飲料水基準。日本のミネラルウォーター基準は50 ppb)の約12倍)で数十年の喫煙に相当する肺障害を招く。特に男性による喫煙はヒ素による肺障害をさらに悪化させる。American Journal of Respiratory and Critical Care Medicineに発表されたバングラデシュでの研究。2000年に始められて2006年に拡大された約20000人をフォローしたヒ素の健康影響縦断研究(HEALS)。

  • 肥満の健康リスク−より良い指標が必要

The Health Risk of Obesity—Better Metrics Imperative
Rexford S. Ahima,  Mitchell A. Lazar
Science 23 August 2013: Vol. 341 no. 6148 pp. 856-858
世界中で肥満が増加している。肥満は糖尿病、心血管系疾患、がん、不眠、非アルコール性脂肪肝、変形性関節症などの主要リスク要因であるが、BMIで定義される肥満はある条件では生存率を改善する。この肥満−死亡率パラドックスを巡る論争について検討する。