食品安全情報blog過去記事

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カニのカドミウム対策

Tackling cadmium in crabs
18 September 2013
http://www.food.gov.uk/news-updates/news/2013/sep/cadmium_crab_sept13#.UjunNZKChaQ
FSAは各種加工工程によりカニみそのカドミウム量を減らす方法を探るためのワーキンググループを組織した。このグループはカニ加工産業向けのカドミウム削減のためのガイダンスを開発する。最初の会合は10月に行われる。

カニみそのカドミウム
Cadmium in brown meat from crabs
18 September 2013
http://www.food.gov.uk/science/research/surveillance/fdsurvey_2013/cadmium_crabs_fsis913#.Ujun4pKChaQ
カドミウムとは何か?
カドミウムは天然に地殻に存在し岩の風化や火山の噴火で環境中に放出され、金属の精錬や化石燃料の使用、肥料の使用などのヒトの活動によっても水や土壌や生物中の濃度が増加する。
カドミウムは植物が土壌から吸収し、動物は植物を食べるためフードチェーンに入る。魚介類は餌以外に水からもカドミウムを取り込む。食品中のカドミウムは直ちに健康に有害ではないが、高濃度を長期間摂取すると問題を引き起こす可能性がある。カドミウムは腎臓に蓄積し最終的には腎障害と高齢になってからの骨の脱ミネラル化を誘発しうる。
英国では主なカドミウム摂取源は穀物穀物製品、野菜、ジャガイモである。これらの食品のカドミウム濃度は低いが摂取量が多いので寄与率が高い。内臓やシーフードの一部にはカドミウム濃度の高いものがあるがほとんどの人はそれらをあまり食べないので全体への寄与は小さい。喫煙は大きな暴露源で、1日20-40本のタバコを吸うとカドミウム暴露量が15-30%増加する。
カニカドミウム
カニ脚やツメの筋肉のカドミウム濃度は低いが、カニみそにはしばしば高濃度が含まれる。カニの筋肉のような一部の食品にはカドミウムEU最大基準値が設定されているが、いろいろな国で幅広い濃度が報告されているためカニみそには設定されていない。そのためEUは消費者に対してカニみそについての助言を提供するよう各国に薦めている。
調査結果
Cadmium in brown meat from crabs
http://www.food.gov.uk/multimedia/pdfs/publication/cadmium_crabs_fsis.pdf
英国で販売されている399製品を購入しそのうち397製品のカドミウム濃度を分析した。製品により濃度は大きく違い、0.01-26 mg/kgだった。
この調査の結果カニみそを食べることは成人や幼児のカドミウム暴露量に大きく寄与する可能性が示された。濃度がばらばらであるため、消費者にどれだけ食べればいいのかを助言することができない。しかしながらカドミウムの有害影響は長期大量暴露によるものなので、たまにカニみそを食べてTWIを超過したとしても懸念とはならない。カドミウム濃度が多様であるため、どのくらいの程度や頻度で超過しているのかはわからない。この調査の結果FSAはカニみそのカドミウム濃度削減方法を探るワーキンググループを招集した。
(英国なのでカニみそという食材が販売されているということではなく丸ごとのカニから取り出して分析したものがほとんど)