食品安全情報blog過去記事

はてなダイアリーにあった食品安全情報blogを移行したものです

食品と飼料中のトロパンアルカロイドについての科学的意見

Scientific Opinion on Tropane alkaloids in food and feed
EFSA Journal 2013;11(10):3386 [113 pp.]. 15 October 2013
http://www.efsa.europa.eu/en/efsajournal/pub/3386.htm
欧州食品安全機関(EFSA)は、食品と飼料中のトロパンアルカロイド(TA)の存在に関するヒトと動物の健康へのリスクに関する科学的意見を求められた。TAはいくつかの植物に存在する二次代謝物である。200以上の異なるTAが様々な植物に確認されているが、食品と飼料中の毒性と含量データは限られている。それゆえ、フードチェーン中汚染物質に関するEFSAパネル(CONTAMパネル)は、含量と毒性のデータが入手可能な二つのTAである、(-)-ヒオスチアミンと(-)-スコポラミンのリスク評価だけを行うことができた。(-)-ヒオスチアミンと(-)-スコポラミンの薬理学的影響は投薬後短時間で生じるので、CONTAMパネルはこれらの物質については急性参照用量(ARfD)を設定するのが適切と断定した。ヒトのボランティア研究での心拍数減少という結果に基づき、CONTAMパネルは両者の活性が同程度とみなし、(-)-ヒオスチアミンと(-)-スコポラミンの合計で体重あたり0.016 μg/kgのグループ急性参照用量を設定した。124食品と611飼料検体のTAの結果が加盟二か国から集められた。ほとんどの食品と飼料の検体は左側打ち切りである(検出限界あるいは定量限界未満)。信頼できる暴露推定は一つの食品と一つの年齢クラス(幼児)でのみ可能だった。限られた情報に基づき、CONTAMパネルは幼児の食事暴露はグループARfDの最大7倍、摂取した日のおおよそ11~18%でグループARfDを超過する可能性がある。家畜とペットの中毒は比較的まれである。
これらの結果からTAの食品や飼料中濃度のさらなる情報の収集や研究を薦める。