食品安全情報blog過去記事

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その他

Can Supplements Help You Sleep?
by Berkeley Wellness | October 01, 2013
http://www.berkeleywellness.com/supplements/other-supplements/article/can-supplements-help-you-sleep
眠りのため水薬は不眠と同じくらい古く、古代の薬師や詩人は芥子やマンドレークの根に誘眠作用があると仄めかしている。処方薬を使用したくない多くの人がハーブやサプリメントを使っている。
全体としてこれらの代替誘眠剤の根拠は良くてもあやふやで、その効果はあったとしても弱く、予測不可能で、長期の安全性は不明である。さらに強いプラセボ効果がある。
一般的に誘眠サプリメントは睡眠用の医薬品やトランキライザーと一緒に使用すべきではない。安全のためには妊娠中には使用しないことと子どもに与えないこと
メラトニン
最もよく知られたサプリメントで、一番強い根拠は時差ぼけ予防である。代替療法についてのレビューをしているNatural Standardはメラトニンについて時差ぼけにはA(強い根拠)、不眠治療にはB(良い根拠)としているが、一方でAHRQは2010年にほとんどの睡眠障害に有効性は疑問であるとしている。
バレリアン
Natural StandardはC(根拠は明確ではない)としている
GABA
睡眠を改善するという信頼できる根拠はない
Kava
肝障害などが報告されていて欧州やカナダでは禁止されている。使用しないように。
その他ハーブ
カモミール、パッションフラワー、レモンバーム、ホップなどが鎮静作用やリラックス効果があるとされているがほとんど根拠はない

NYT
Fear vs. Radiation: The Mismatch
By DAVID ROPEIK
October 21, 2013
http://www.nytimes.com/2013/10/22/opinion/fear-vs-radiation-the-mismatch.html?_r=1&
福島の核事故が始まってから2年半以上になり、世界はこの事故をまだ恐怖を抱いて監視している。危険についての宣伝は永遠に鳴りやむことがないように見える;一例として今月初め、国際ニュースが発電所の労働者6人が事故により放射性の水を浴びたと報道した。
健康についての主導的科学者は、チェルノブイリの健康影響調査結果同様、福島由来の放射線は比較的害はないと言っている。根拠があるにも関わらず、どうして核に関する恐怖は持続するのか?そして恐怖による社会への悪影響は何か?
我々の放射線への不安は核兵器の恐ろしい力への理解できる恐怖に由来する。しかし最初に核兵器が使われて68年、我々は広島長崎の生存者から、それが思っていたほど強力な発がん物質あるいは変異原性物質ではないことを学んだ。第二次世界大戦直後から疫学研究者と放射線生物学者が原爆生存者の追跡を始めた。研究者らは爆心地から10km以内の86611人と被曝していない26000人をフォローした。最新の解析では被爆者集団中10929人ががんで死亡したがそのうち放射線によるものは527人である。さらに後世代への影響はない。1954年の映画“Them!”のようなゴジラや突然変異巨大アリは見られない。子宮内での胎児暴露の影響はあるが永続する遺伝子傷害はない。最も重要なのは多分、100ミリシーベルト以下の低線量では、検出可能な影響は見られないということだろう。福島やチェルノブイリの近くに住む人々の多くはこの100ミリシーベルトより十分低い線量しか受けていない。イオン化放射線に関するしっかりしたエビデンスは、一般にみられる恐怖とは大きく異なる。
しかし核事故はこれらの恐怖そのものが劇的な健康影響をもつことについての強力なエビデンスを提供している。WHOによるチェルノブイリ惨事の20年のレビューでは、放射線の影響よりこの心理的影響のほうが大きな健康被害をもたらしたことを見いだしている。そしてこの原因は放射線暴露による健康への影響を誇張して感じたことによる。
疫学研究者は既に福島で、チェルノブイリより遙かに低い放射線暴露であったが、同じ現象を観察している。放射線生物学者は福島でのがんリスクの増加は低すぎて検出できないだろうと言う。しかし何千人もの人が、線量が十分低く安全だと言える場所であっても自宅や職場に帰ることを拒否している。ある調査では子どもたちのストレスが福島では他の地域の2倍になっている。
米国で放射線関連事故が起きた場合には同じことが起こるだろう。放射線のリスク以上にこの過剰な恐怖反応と社会への影響への対策が必要である。一部正しい方向への進歩があった。EPAは核事故の際の新しいガイドラインを提案した。このガイドラインでは線量に応じていろいろなレベルの保護を提案し、コミュニティが現実的なリスクを理解し恐怖が真のハザードを上回るときに生じる危害を減らすための努力をしている。しかしこれだけでは不十分で、全てのレベルで広範で持続的な努力が必要である
DAVID ROPEIKはHarvard Extension Schoolの教師で著書に“それは本当はどのくらいのリスクなのか?何故我々の恐怖はいつも事実と釣り合わないのかHow Risky Is It, Really? Why Our Fears Don’t Always Match the Facts.”がある

  • 農薬が侵入蟻を自殺するほど攻撃的にする

Natureニュース
Pesticide makes invading ants suicidally aggressive
Brian Owens
23 October 2013
http://www.nature.com/news/pesticide-makes-invading-ants-suicidally-aggressive-1.14003
ネオニコチノイド外来種の拡散に影響するほど行動を変える
Proceedings of the Royal Society Bに発表されたニュージーランドの在来種と外来種(アルゼンチンアリ)の蟻の行動についての研究。低用量のネオニコチノイドを与えると在来種は攻撃性が低くなるのにアルゼンチンアリは攻撃性が高くなり、あまりに攻撃的で死んでしまう。効果は複雑なので外来種侵入への影響予想が難しい。

  • Choosing Wisely

内分泌学会と米国臨床内分泌学会
The Endocrine Society and American Association of Clinical Endocrinologists
http://www.choosingwisely.org/doctor-patient-lists/the-endocrine-society-and-american-association-of-clinical-endocrinologists/
低血糖を誘発しない薬を使用している安定型の2型糖尿病患者成人に1日何回も血糖値の自己モニタリングをしない
・低カルシウム血症や腎機能低下のない患者に1,25-ジヒドロキシビタミン Dのルーチン測定をしない
甲状腺に明白な異常がない限り甲状腺機能に異常のある患者の甲状腺超音波検査をしない
甲状腺の結節は頻繁にみつかるので、異常とは関係のない結節をみつけることで評価がゆがんでしまう)
など

  • インドのパーム油税と心血管系疾患死亡率:経済疫学モデル

Palm oil taxes and cardiovascular disease mortality in India: economic-epidemiologic model
Sanjay Basu et al.,
BMJ 2013;347:f6048
http://www.bmj.com/content/347/bmj.f6048
パーム油購入に20%の課税をすると、もし代わりの油を使わないなら心血管系疾患による死亡が避けられるという予想
計算はともかく2003-12年のインドの植物油消費量変化グラフが興味深い。パーム油だけ急増。

  • 観察:飽和脂肪が主要問題ではない

Observations: Saturated fat is not the major issue
Tuesday, October 22, 2013
http://www.bmj.com/press-releases/2013/10/22/observations-saturated-fat-not-major-issue
心疾患における飽和脂肪の役割についての神話を打ち砕くときだ、と心疾患専門医がBMJで主張する
ロンドンCroydon 大学病院の心臓専門医Aseem Malhotraは、飽和脂肪摂取量を減らすように、という助言が皮肉にも心血管リスクを増やす、という。さらに総コレステロール濃度についての強迫観念が過剰なスタチン投与を引き起こしているともいう。
飽和脂肪は1970年代に相関関係についての論文で悪者にされたが最近の研究では意味のある関連はなかったというものがある。アメリカでは過去30年に脂肪由来カロリー摂取が40%から30%に減ったが肥満は増加した。脂肪を減らす代わりに砂糖を加えたからだ。
スタチンより地中海食のほうが死亡率削減効果が大きい。