食品安全情報blog過去記事

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論文等

  • スワドリングと股関節異形成:整形外科的観点

Swaddling and hip dysplasia: an orthopaedic perspective
N M P Clarke
Arch Dis Child doi:10.1136  28 October 2013
http://adc.bmj.com/content/early/2013/10/08/archdischild-2013-304143.short?g=w_adc_ahead_tab
中世までよく見られた赤ちゃんを拘束するスワドリングが最近、赤ちゃんをおとなしくするのに効果があるとして流行している。しかし最近のレビューでは根拠はなく薦めないとしている。一方で股関節異形成と関連する可能性を示唆し注意が必要としている。

Mail onlineによるとプリンスジョージがそうされているように見えたという理由で流行中、らしい
Swaddling 'damages baby's hips': Professor warns centuries-old practice that has again grown in population can cause abnormalities
http://www.dailymail.co.uk/health/article-2478711/Swaddling-damages-babys-hips-professor-warns.html

  • オメガ3脂肪酸過剰は負の健康影響につながる

Excess omega-3 fatty acids could lead to negative health effects
28-Oct-2013
http://www.eurekalert.org/pub_releases/2013-10/osu-eof102813.php
Prostaglandins, Leukotrienes & Essential Fatty Acidsに発表されたレビュー。オメガ3脂肪酸は心臓死リスクの低下に関連するが、過剰では免疫応答異常などの有害影響があり得る。そのような場合の摂取量は普通の食事や一般的サプリメントでは摂れないほどの高用量ではあるが、オメガ3強化食品が増加しているためそれらとサプリメントを同時に使用すると過剰摂取になる可能性がある。食事で魚を食べることについてはこれまでのガイドラインを支持する。

  • 過剰診断と過剰治療 医師が患者にスクリーニングの有害影響について何を語っているのかについての評価

Overdiagnosis and Overtreatment
Evaluation of What Physicians Tell Their Patients About Screening Harms
Odette Wegwarth, PhD1; Gerd Gigerenzer, PhD1
JAMA Intern Med. Published online October 21, 2013
http://archinte.jamanetwork.com/article.aspx?articleid=1754987
がんのスクリーニングにはメリットもあるが有害影響もある。患者はスクリーニングをするかどうか決める際に情報を伝えられているか?オンライン調査では317人の男女のうち91.5%がルーチンがんスクリーニングに関連する有害影響の可能性について医師から説明がなかった。

  • 藻類の大発生による毒性の増加は富栄養化と気候変動に関連する

Increasing toxicity of algal blooms tied to nutrient enrichment and climate change
24-Oct-2013
http://www.eurekalert.org/pub_releases/2013-10/osu-ito102113.php
世界の淡水湖や河口での一部の藻類の大発生による毒性が増加していて、水棲生物やヒトの飲料水の安全上の脅威となっている。Scienceに発表されたオレゴン州立大学の研究者らによる研究。特に問題となるのは藍藻類のMicrocystis sp。

  • 世界と地域の1990-2010の間の脳卒中による負担:GBD2010の知見から

Global and regional burden of stroke during 1990—2010: findings from the Global Burden of Disease Study 2010
The Lancet, Early Online Publication, 24 October 2013
http://www.thelancet.com/journals/lancet/article/PIIS0140-6736(13)61953-4/fulltext
世界では失われるDALYsは1億2百万。

  • 世界と地域の1990-2010の間の虚血性および出血性脳卒中による負担:GBD2010の知見から

Global and regional burden of first-ever ischaemic and haemorrhagic stroke during 1990—2010: findings from the Global Burden of Disease Study 2010
The Lancet Global Health, Volume 1, Issue 5, Pages e259 - e281, November 2013
http://www.thelancet.com/journals/langlo/article/PIIS2214-109X(13)70089-5/fulltext

Omega-3s and Prostate Cancer
By John Swartzberg,M.D. | October 24, 2013
http://www.berkeleywellness.com/supplements/other-supplements/article/omega-3s-and-prostate-cancer
紛らわしいことについて話そう。我々は最近魚とそれに含まれるオメガ3脂肪酸についてのこれまでで最も質の高いだろう根拠について報告した。優れたデザインの研究で、血中オメガ3濃度の最も高い65才以上の人たちは最も低い人たちより、16年間に死亡する可能性が27%低かった。
次にJNCIに発表された研究で血中オメガ3濃度の高いことが50才以上の進行度の低い前立腺がんの44%のリスク増、進行度の高い前立腺がんの71%のリスク増と関連することが報道された。
これらはどうすれば両立するのか?ここに私の考えを述べる。最初に、この二つの研究は一方は死亡率、一方は前立腺がんの頻度を調べているので比較するのが難しい。最初の研究のオメガ3脂肪酸の多い人での死亡率の低下はほぼ完全に心血管系疾患による死亡が少なかったためで、これは多くの他の研究と一致する。がんによる死亡率には差はない。一方JNCIの研究では死亡率は見ていない。ただし進行度の高い前立腺がんが多ければ脂肪が多いとみなせるだろう。
私がこれまで見てきた魚や海洋性オメガ3脂肪酸前立腺がんへの影響についての研究でこれほど矛盾する知見はそんなにない。オメガ3には、その抗炎症作用から、保護的作用があるだろうという希望があった。そして実際観察研究では魚の摂取は前立腺がんを減らしたり生存率を改善したりすることと関連づけられてきた。
しかし一部の研究では影響はなかった。そして僅かではあるがリスクの増加を示していた。
私は新しい研究が決定的なものだとは思わないがいくつかの重要な研究課題を示した。最も重要なのは総合的な矛盾とリスク増加を説明できる要因がないことである。それにもし魚がリスクを増やすなら、なぜ魚をたくさん食べる日本人男性の前立腺がんが少ないのか?グリーンランドやカナダのイヌイットでは希なのか?さらに重要なのは、ほとんどの男性にとって心血管系へのメリットのほうが(前立腺がんへの影響より)大きいということである。