食品安全情報blog過去記事

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論文等

  • 新しい研究はお茶が減量、心臓の健康促進、前立腺がん進行を遅らせるのに役立つかもしれないことを示す

New research shows tea may help promote weight loss, improve heart health and slow progression of prostate cancer
6-Nov-2013
http://www.eurekalert.org/pub_releases/2013-11/pc-nrs110613.php
International Tea and Human Health Symposiumのプロシーディング
(都合のいい報告のみ。お茶といってもカップ1杯の紅茶から茶カテキンとか抽出物までいろいろ、データも培養細胞からヒトまで。最近いろいろ話題の多いコーヒーに対抗できるか??)

Endometriosis risk linked to 2 pesticides
5-Nov-2013
http://www.eurekalert.org/pub_releases/2013-11/fhcr-erl102813.php
EHPに発表された論文によるとベータヘキサクロロシクロヘキサンとマイレックスの暴露量が多い女性の子宮内膜症リスクが30-70%高いことと関連する。内膜症患者248人の血液と、対照の538人の血液を調べた結果。どちらも現在は使用制限あるいは禁止されている。
Organochlorine Pesticides and Risk of Endometriosis: Findings from a Population-Based Case–Control Study
http://ehp.niehs.nih.gov/1306648/
他の農薬、γHCH、ヘプタクロールエポキシド、オキシクロルダン、トランスノナクロール、DDE、DDT、ディルドリン、ヘキサクロロベンゼン、は関連がなかった

  • テストステロン濃度の低い男性のテストステロン療法と死亡率、心筋梗塞脳卒中の関連

Association of Testosterone Therapy With Mortality, Myocardial Infarction, and Stroke in Men With Low Testosterone Levels
Rebecca Vigen et al.,
JAMA. 2013;310(17):1829-1836.
http://jama.jamanetwork.com/article.aspx?articleid=1764051
オープンアクセス
テストステロン濃度が低い男性へのテストステロン補充療法が拡大しているが有害影響があるという報告
米国ではテストステロンの処方が2000年から2011年の間に5倍以上になった

MEDPAGE TODAYではこの報告に関連して、消費者に直接検査や医薬品を勧める宣伝が過剰になっている現状を警告している
'Low T' Tx Tied to Higher Stroke Risk in Veterans
Published: Nov 5, 2013 | Updated: Nov 6, 2013
http://www.medpagetoday.com/Endocrinology/GeneralEndocrinology/42735?xid=nl_mpt_DHE_2013-11-06
男性でも女性でも、加齢によりホルモンが低下するのは自然現象で必ずしも病気ではない。無理矢理検査して低いと言われて薬を買わされている。

  • 抗肥満薬、食事療法、運動の超低カロリーあるいは低カロリーダイエット後の減量維持への影響:無作為対照試験の系統的レビューとメタ解析

Effects of anti-obesity drugs, diet, and exercise on weight-loss maintenance after a very-low-calorie diet or low-calorie diet: a systematic review and meta-analysis of randomized controlled trials
Kari Johansson et al.,
First published October 30, 2013, doi: 10.3945/ajcn.113.070052
800kcal/day以下の超低カロリーあるいは1200 kcal/day以下の低カロリーダイエットは最初は体重が減るがその後他の緩やかな制限のダイエット法に比べて大きく体重が増える。この減量維持をどうするかについていくつかの対策が検討されているのでレビューを行った。
結論としては抗肥満薬、代用食、高タンパク質食は減量維持を改善したが緑茶抽出物や共役リノール酸などのサプリメントと運動に有意な改善はみられなかった

  • 米国では1970年から2009年の間にブドウ糖と脂肪の食品入手可能性が増加したが果糖は増えていない:USDA食品入手可能性データシステムの解析

Food availability of glucose and fat, but not fructose, increased in the US between 1970 and 2009: analysis of the USDA food availability data system
Trevor J Carden and Timothy P Carr
Nutrition Journal 2013, 12:130
http://www.nutritionj.com/content/12/1/130/abstract
米国の肥満率は増加していてその原因が果糖だと非難されているので本当に消費量が増えているのかどうか、USDAの廃棄率調整済み食品入手可能性データベースとUSDA栄養データベースを用いて検討した。過去40年間で総エネルギー入手可能性は10.7%増えたが総果糖の変化は0%。総ブドウ糖(全ての消化可能な食品由来)由来エネルギーは13.0%増加、さらにブドウ糖は果糖の3倍以上多く供給されている。タンパク質、炭水化物、脂肪由来エネルギーはそれぞれ4.7%、9.8%、14.6%増加した。結論として果糖が肥満の特有の原因ではない。総エネルギー摂取量の増加が肥満に寄与している。
(どうしても食べ過ぎであることを認めたくないらしい人たちが一生懸命いろんな理由を探している)

  • 食事由来の長鎖オメガ3脂肪酸による免疫調節とその有害健康影響の可能性

Immunomodulation by dietary long chain omega-3 fatty acids and the potential for adverse health outcomes
Jenifer I. Fenton et al.,
Prostaglandins, Leukotrienes and Essential Fatty Acids (PLEFA)
Available online 30 September 2013
http://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0952327813001920
レビュー。心血管系疾患予防のために魚を食べるようにという助言と、長鎖オメガ3脂肪酸FDAが認めたGRASであることから、EPADHAサプリメントや強化食品に使われている。EPA/DHAサプリメントが心臓の突発的イベントを抑制する根拠はあるものの他の疾患については明確な根拠はない。近年の動物での感染研究では長鎖オメガ3脂肪酸は免疫機能を抑制し病原体の排除に影響を与え生存率が下がることが示されている。炎症の抑制と同じメカニズムで病原体への耐性や腫瘍の監視を抑制していると考えられる。近年の観察研究では血中長鎖オメガ3脂肪酸濃度が高いことと前立腺がんと心房細動の多さに関連があり、有害影響の懸念がある。
(これは理論的にはもともと言われていたことで、炎症抑制=感染防御抑制なので。抗酸化、も同じで、そう簡単に都合の良いことだけおこるわけないじゃん、という当たり前の話。極端なことをしなければあまり問題はないのだが)