食品安全情報blog過去記事

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その他ニュース

  • 実験室で寒いマウスはがん研究をゆがめる

Natureニュース
Chilly lab mice skew cancer studies
Heidi Ledford
18 November 2013
http://www.nature.com/news/chilly-lab-mice-skew-cancer-studies-1.14190
室温はストレスとなり免疫応答を抑制する
マウスの実験室の国際標準温度は室温となっているが、この温度−通常20-26℃−は齧歯類にとっては寒くて不快であり、30℃が快適だとRoswell Park がん研究所の免疫学者Elizabeth Repaskyは言う。PNASに発表された論文で、室温で飼育した場合がんに対する免疫応答が抑制されるので30℃で飼育した場合よりがんの増殖が早いことを報告した。
(動物愛護のために30℃にしろと言われたらそこで宇宙服来て作業する人間の方が倒れそうだ)

  • 10代のミルク摂取と成人になってからの股関節骨折リスク

Milk Consumption During Teenage Years and Risk of Hip Fractures in Older Adults
Diane Feskanich et al.,
JAMA Pediatr. Published online November 18, 2013.
http://archpedi.jamanetwork.com/article.aspx?articleid=1769138
ナース健康研究と保健専門家フォローアップ研究における13-18才の食事頻度調査による牛乳摂取量とその後の股関節骨折リスクについて。女性で1226件、男性で490件の股関節骨折が同定され、女性では牛乳と関係なし、男性では10代の頃の1日の摂取量が1杯(240mL)増えることで9%のリスク増(RR = 1.09; 95% CI, 1.01-1.17)。ただし身長が伸びたことを考慮すると差が無くなった。
エディトリアル
Milk Consumption and Bone Health
Connie M. Weaver, PhD1
http://archpedi.jamanetwork.com/article.aspx?articleid=1769136

  • 環境フタル酸暴露と早産

Environmental Phthalate Exposure and Preterm Birth
Kelly K. Ferguson, et al.,
JAMA Pediatr. Published online November 18, 2013
http://archpedi.jamanetwork.com/article.aspx?articleid=1769137
ボストンBrigham and Women’s病院のネステッド症例対照研究。妊娠中の尿中フタル酸類濃度が高いと37週未満での出産(n = 57)のオッズが高い。
エディトリアルはShanna H. Swan博士
Environmental Phthalate Exposure and the Odds of Preterm Birth: An Important Contribution to Environmental Reproductive Epidemiology
http://archpedi.jamanetwork.com/article.aspx?articleid=1769135
(本人のサイトを見ればわかるけど、化学物質暴露により現代人の健康が損なわれている、という主張の人
http://shswan.com/
その証拠として科学技術を否定した生活をしているOld Order Mennonitesの人たちの化学物質暴露量が一般的アメリカ人より低いというデータを提示している。
で、タバコも吸わず飲酒もしない彼らの健康状態は一般人より悪いという結果があるのだけれど(主に医療を含む科学技術拒否のせい)
http://digitalcommons.mcmaster.ca/cgi/viewcontent.cgi?article=8289&context=opendissertations
アーミッシュも特に平均寿命が長いわけではないので、いろいろ禁止すれば健康長寿になるというエビデンスがあるわけではない)

  • 誘発尿検査についての助言

Recommendations for Provoked Challenge Urine Testing
Anne-Michelle Ruha
Journal of Medical Toxicology
October 2013
http://rd.springer.com/article/10.1007%2Fs13181-013-0350-7
期間限定でオープンアクセス
DMPSやDMSA、その他キレート剤を使った尿検査は支持できないし診断上の意味もない
(この手の尿検査や「毛髪ミネラル検査」とあったら詐欺)

  • オリゴスキャンの懐疑的観察

Device Watch
A Skeptical Look at the OligoScan
Stephen Barrett, M.D.
http://www.devicewatch.org/reports/oligoscan/overview.shtml
簡単に組織内有害金属検査ができると宣伝しているオリゴスキャンについて。
販売しているのはキレート療法の推進者Rashid A. Buttar。患者のほぼ全てに重金属中毒と診断してキレート療法を受けさせる。
(日本でも売ってる
この「科学的研究」とやらの文献が関係ありそうで関係ないものを集めて並べただけ、書式も揃っていないというひどいもので、これに騙される素人がターゲットなのだろう
プレスリリースがあった
http://www.nikkan.co.jp/newrls/rls20130620o-04.html
「早くもキレーション治療を行うクリニックなどで導入が進んでいま す」
わかりやすい)