食品安全情報blog過去記事

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マラチオンについて

(年内に更新する予定はなかったのですが・・)
マルハニチロホールディングスの発表によると検出されたマラチオンは2200 ppmとあります。
http://www.aqli.co.jp/wp-content/uploads/2013/12/news_20131229_2.pdf

これまで残留農薬の基準値超過事例などで報告されている濃度は、農作物で1ppm以下がほとんどです。
http://d.hatena.ne.jp/uneyama/archive?word=%A5%DE%A5%E9%A5%C1%A5%AA%A5%F3
ですので、農作物に残留していてそれが加工食品にこれだけの濃度で残るというのは考えにくいと思います。
EFSAの2009年の評価ではマラチオンのADIとAEOLは0.03 mg/kg bw/day、ARfDは2種類 一つは動物実験データに安全係数100を用いた0.3 mg/kgbw/day、もう一つはヒトデータに安全係数10を用いた1.5 mg/kg bwとなっています。有害影響としてはコリンエステラーゼ阻害ですが、ヒトで15 mg/kgを経口投与して影響が見られなかったという実験があるので、仮に体重50kgなら750mgになります(ヒトに投与したデータがあるのは珍しいのですが)。2200 ppmなら340gくらいでしょうか。代謝が早いので一回だけ食べたところで後に影響が残ることは考えにくいです。
Conclusion on pesticide peer review regarding the risk assessment of the active substance malathion
http://www.efsa.europa.eu/en/efsajournal/doc/333r.pdf

ほかにエチルベンゼンとキシレンが検出されているようですが、こちらは容器由来かもしれません。参考までに。
食品中揮発性有機化合物について
http://www.nihs.go.jp/hse/food-info/chemical/kanshi/index-kanshi.html