食品安全情報blog過去記事

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その他ニュース

  • ニコチンのヒト健康影響

The effects of nicotine on human health
ACSH
http://ja.scribd.com/doc/195347257/The-effects-of-nicotine-on-human-health
(基本的に禁煙のためにニコチンパッチやその他の製品を使うことを薦める立場で書かれたものだけれど、ニコチンのヒト健康影響を遥かに少なくしたネオニコチノイドがわずかな量でも危険という主張と併せて読むとあじわいぶかい。
ニコチンパッチのニコチン10-30 mg。残留1 ppmの野菜だと10kgとか30kgになる。0.01 ppmなら1トンとか2トン。さらにニコチンのニコチン様アセチルコリン受容体nAChRのIC50は脊椎動物で7.0 nM、アセタミプリドは700 nM。一方昆虫nAChRだとニコチンが4,000nMでアセタミプリドが8.3nM。ヒトに対する効果が100分の1で昆虫に対する効果が500倍くらいなのがネオニコチノイド。タバコを水で煮て防除につかうのがどれだけネオニコチノイド使うよりハイリスクか。ネオニコチノイドでどうにかなるより先にニコチンで「恐ろしい影響」がでるはずなのだけれど)

  • エージェントオレンジGMO?USDAが2,4-D(耐性)種子を支持したのでMichael PollanやMarion Nestleら活動家は疑わしい関連を宣伝する

Forbes
Agent Orange GMO? After USDA Backs 2,4-D Seeds, Michael Pollan, Marion Nestle Lead Activist Hype Of Discredited Link
Jon Entine,
1/06/2014
http://www.forbes.com/sites/jonentine/2014/01/06/agent-orange-gmo-after-usda-backs-24-d-seeds-michael-pollan-marion-nestle-lead-activist-hype-of-discredited-link/
先週金曜日にUSDAがDow AgroSciencesの2,4-D耐性トウモロコシと大豆について規制解除を「好ましい選択肢」と発表した。2,4-Dは除草剤で広く使われているが、反対者にとっては「エージェントオレンジ」である。それは事実ではない。ベトナム戦争で使われた枯れ葉剤であるエージェントオレンジは2,4-D と2,4,5-Tの二つの除草剤を含み、2,4,5-Tにはダイオキシンが不純物として含まれていたことが後にわかった。確かに2,4-Dはエージェントオレンジに入っていたが、エージェントオレンジが1960年代に悪さをした原因は2,4-Dではない。しかしこの事実は反GMO活動家にとっては関係ないようで、Michael PollanはUSDAの発表を受けて「USDAがエージェントオレンジに耐性のある種子に青信号」とツイートしている。反GMO活動家の食品安全センター創設者Andrew Kimbrellは「エージェントオレンジコーン」と呼んでいる。
(以下略。USDAのQ & Aにエージェントオレンジの項目がある理由)

  • 遺伝子組換え作物の事実を求める孤独な探求

NYT
A Lonely Quest for Facts on Genetically Modified Crops
By AMY HARMON
Published: January 4, 2014
http://www.nytimes.com/2014/01/05/us/on-hawaii-a-lonely-quest-for-facts-about-gmos.html?hpw&rref=us&_r=1&
ハワイでの遺伝子組換え作物の禁止条例について
2013年5月に条例の審議が始まるとこれまでになくたくさんの声が集まった。公聴会にはGMOでラットががんになった、子どものアレルギーが増えた、制御不能なスーパー雑草、遺伝子が汚れる、農薬がたくさん使われる、蝶やミツバチがいなくなるなどの繰り返しであふれた。評議会の一員であるGreggor Ilaganは他のメンバー同様、議論の始めには遺伝子組換え生物がなんなのかすらよくわかっていなかった。しかし法案の支持者がこれはハワイを「GMOフリーのオアシス」にするためだと議員を説得している理由はわかった。GMOと書いただけで、見るものは全てネガティブになる。禁止に反対すれば再選されないだろう。しかしGreggor Ilaganはこの島のパパイヤが遺伝子組換えで救われたと農家が言っていたことを知っていた。禁止支持者たちがしばしば主張するラットのがんの研究は不適切であることがわかっている。ハワイ大学生物学者は既存の遺伝子組換え作物が他のものよりリスクが大きいということはなく具体的なメリットがあると強く主張した。我々はこのような事実を無視しようとしているのか?とIlagan氏は考えた。禁止支持者の「手遅れになる前に行動する必要がある」という情熱的主張により、11月に議会は疑問点を検討するための調査会を作ることを拒絶した。しかし27才のIlagan氏は自分の答えを探した。そして自分自身が科学的根拠を反映しない一般的な信仰の問題と格闘していることを見いだした。問題なのは気候変動と人口増加のなかでどうやって最も効果的に健康的な食品を育てるか、である。幹細胞でも気候変動でも進化論でも科学者は伝統同盟が対立していることに落胆する。この法案はハワイで既に栽培されているトウモロコシとパパイヤを除く全てのGM作物の栽培を禁止する。GMOの野外試験も禁止される。
この問題を通して、Ilagan氏は判断に必要な、適切な情報を集めるのがいかに難しいかを経験した。事実を知ろうとすると反GMOの人たちにフェイスブックで嘲笑され手紙で責め立てられた。
最終的にIlagan氏は反対の投票をし、議会は6対3で法案を通した。市長が12月5日に署名した。12月17日の議会ではGMO禁止の影響を調べる委員会を作るという動議はトラ下げられ、愕然としたIlagan氏は自分で提案をしようと考えたが十分な支持は得られないだろうと予想できた。
(ものすご〜く長い記事。そして日本時間1月7日時点で1417もコメントがある)