食品安全情報blog過去記事

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レジのレシートを取り扱ったあとの尿中BPAを調べた新しい研究についての専門家の反応

SMC
expert reaction to new study into BPA in urine following the handling of till receipts
February 25, 2014
http://www.sciencemediacentre.org/expert-reaction-to-new-study-into-bpa-in-urine-following-the-handling-of-till-receipts/
JAMAに発表された研究で、感熱紙に印刷されたレジのレシートを手袋なしで2時間続けて取り扱った人の尿中ビスフェノールABPA)濃度が、手袋をしていた人より増えていた。
Imperial College Londonの生化学薬理学Alan Boobis教授
この研究はBPAの経皮暴露についての情報を提供する。しかしこれがBPA暴露によるリスクを増やすと結論するのは時期尚早である。経皮暴露は肝臓での代謝をバイパスするが尿で測定したのは総BPAで標的臓器への遊離のBPA暴露量はわからない。スポット尿を使用したのも理想的ではない。続けて2時間レシートを触り続けるというのは実際の労働条件と比較できるだろうか?
Southampton大学職業環境医学David Coggon教授
感熱紙の取り扱いがBPAの暴露となることは驚くべきことではない。問題はどのくらいの量でそれが健康へのリスクとなるかどうかである。この予備的研究はずっとさわり続けていてもEFSAが最近提案した安全レベルよりずっと低いことを示す。しかし小規模で予備的なものなので職業暴露についてはさらなる研究が必要である
McMaster大学産婦人科Warren Foster教授
この研究はこれまでの知見にほんの少し情報を加えるが、循環している遊離のBPA濃度が不明である。経皮吸収されたBPAは局所で代謝され循環する濃度に意味のある増加がないこともある。また健康への影響については何も言えない
London大学Tony Dayan毒性学名誉教授
BPAが経皮吸収されることは驚くことではない。この研究のプレスリリースで感熱紙を2時間触った24人の尿中BPA排泄が20人から24人に4人増えたと主張している。実際の労働条件と2時間続けて取り扱うというのはどれだけ似ているだろうか?増えた濃度はソフトドリンク1缶を飲んだ場合と比べるべきである。
(論文中に感熱紙を素手で触った群のピークレベルが5.8 μg/L で、缶詰スープを飲んだ場合は20.8 μg/Lと記載されている).
Handling of Thermal Receipts as a Source of Exposure to Bisphenol A’ by Ehrlich et al., published in JAMA on Tuesday 25 February
http://jama.jamanetwork.com/article.aspx?articleid=1832525