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ミツバチコロニーの死亡率:EPILOBEE欧州サーベイランス研究の最初の結果発表

Bee colony mortality: presentation of the initial results of the EPILOBEE European surveillance study
08/04/2014
http://www.anses.fr/en/content/bee-colony-mortality-presentation-initial-results-epilobee-european-surveillance-study
ここ数年、ミツバチコロニーの衰弱と大量死は多くの国で観察されている。このため、EPILOBEEとして知られるミツバチコロニー死亡率のアクティブサーベイランス研究が17の欧州加盟国で初めて行われた。方法をそろえるため、各加盟国はミツバチの健康のための欧州リファレンス検査機関(EURL) であるANSESのソフィア・アンティポリス検査機関が発表したガイドラインに基づくサーベイランスプロトコールを考案した。この大規模な研究は、大量のデータを提供し、欧州各地の死亡率の違いの推定を可能にした。さらに、将来これらのデータの解析によりミツバチコロニー死亡率とある種のリスク要因(病気、動物薬品の使用など)との関連をより効果的に特定可能とするだろう。EPILOBEEは将来日常的に使用できるミツバチコロニーの統一した監視を可能にした。
ここ数年間、多くの国でミツバチコロニーの衰弱と大量死が観察されてきた。ANSESはミツバチの健康というテーマにかなりの力を注いでおり、ハチミツの生産や生物多様性の保護においてこれら受粉昆虫が行う重要な役割のため、また環境衛生の指標として優先してきた。この枠組みの中で、欧州委員会はミツバチの健康のための欧州リファレンス検査機関としてANSESのソフィア・アンティポリス検査機関にミツバチコロニー死亡率のアクティブサーベイランスを調整するよう委託した。EPILOBEEとして知られるこの研究は17の欧州加盟国で実行されている。要求に応じて、EPILOBEEはコロニーの衰弱とミツバチの伝染病の観察のための統一した基準設定について運営の最初の二年間以上集中して作業してきた。欧州プロジェクトはこの作業に農薬の検出を組み入れていないが、ANSESがすでにソフィア・アンティポリス検査機関のリスク評価作業において行っているので、最終的には観察されている大量死現象の潜在的な原因となる可能性のある全ての要因のひとつとして考慮するべきである。
この要請にこたえるため、ソフィア・アンティポリスのANSES研究所は欧州委員会が妥当性を認証したサーベイランスプロトコールを制作し、この研究に参加するそれぞれの加盟国に適用した。またこれらの結果を集め、分析するためのデータベースを設立した。
17加盟国で集められた大量のデータ
17加盟国の3284の巣箱の31832コロニーが2012年の秋から2013年の夏にかけて徹底的に観察された。全部で8572回のミツバチの群れの観察が行われ、大量のデータが集められた。
越冬時期と養蜂の季節での死亡率が推定された。巣箱・養蜂家・主な寄生虫病と伝染病の臨床症状の情報など、養蜂業の実態が詳細な質問表に基づいて記録された。
越冬中の死亡率は南から北まで地理的分布に伴い、国によって3.5% から 33.6%まで様々であることが分かった。養蜂シーズン中のコロニー死亡率は越冬時期と比べて低く、0.3% から13.6%の範囲だった。
ミツバチの病気については、2つの細菌病、米国及び欧州腐蛆病は、17加盟国が参加するミツバチの死亡率に関してあまり影響しない。
更に、慢性のミツバチ麻痺病ウイルスによる麻痺症状は、17加盟国中5国でほんの僅かしか観察されなかった。
最後に、EPILOBEE の最初の一年で15の節足動物が7加盟国で集められたが、これらのケースの分析では、欧州のミツバチに影響を与えない外来病の原因となる二つの病原体であるハチノスムクゲケシキスイ(スモールハイブビートル)やミツバチトゲダニのどちらの存在も確認されなかった。
それにひきかえ、バロア病(寄生虫ミツバチヘギイタダニによる)は完全データが提供された14加盟国のうち13か国で観察された。そして最終的に、完全データが提供された16加盟国のうち4か国で、コロニーの10%以上がノゼマ病の影響を受けていた。
結果と展望
この広範な研究は、大臣から農場労働者まで多くの関係者を含む大量の作業により生み出された。
EPILOBEE研究は、かなりの量のデータも提供した。103 930の研究所での分析がデータベースに保存され、近い将来検討されるだろう。
これらの分析が、病気の流行、動物用医薬品の使用、養蜂家の状況、食べ物・季節・移住などコロニーへの外的要因などのある種のリスク要因と、ミツバチコロニーの死亡率との統計的関連を探ることを可能にするだろう。
EPILOBEE研究のこの最初の一年で、将来ルーチンで使用できるミツバチコロニー監視用の統一方法を設定することができた。最終的にはミツバチの健康の変化の動力学に関するデータを提供し、加盟国が設定したリスク管理方法の効果を客観的に評価できるだろう。