食品安全情報blog過去記事

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リスク評価とリスク管理:その違いは何?

Risk assessment vs risk management: What’s the difference?
16 April 2014
http://www.efsa.europa.eu/en/press/news/140416.htm?utm_source=newsletter&utm_medium=email&utm_content=feature&utm_campaign=20140416
リスク評価とリスク管理の仕事を分離するというちょうど10年以上前の決定は欧州の食品の安全性を一変させた。この変化がフードチェーンの安全性を強化することは広く認識されているが、リスク評価者とリスク管理者の役割と責任の違いについてはまだ十分理解されていない。
食品の安全性を農場から食卓まで保証することは複雑で困難な課題である。それは厳格な安全性対策がサプライチェーンの全ての段階に当てはまることを要求する。リスク評価とリスク管理はこの過程では大黒柱である。
役割の分離
ではこの2つの重要な業務の違いは何だろうか?リスク評価者はフードチェーンの潜在的な脅威に関して独立した科学的助言を提供する。リスク管理者はこの問題について意思決定するための基本としてこの助言を使用する。欧州レベルでは、この役割の分離は重要で法制化されている。これは科学と政治の区別を明らかにするために、つまり政策決定の核心に独立した科学的評価を置くために導入された。
欧州食品安全機関(EFSA)は欧州の食品の安全確保に極めて重要な役割を果たしている。だが、それは多くの様々な協力者を含むEU全体の枠組みのほんの一部分である。EFSAはフードチェーンに関連する脅威を評価する欧州の主要なリスク評価者である。リスク管理者は、欧州議会、加盟国当局欧州委員会である。彼らにはEFSAの科学的助言に基づき、政策を作り、製品を認可し、食品に関する法律を作る責任がある。
認可ではなく助言
たとえば、EFSAはGMOの安全性をケースバイケースで評価している。EFSAの役割はそこで終わる。各GMOを認可するかどうかを決定するのは欧州委員会と加盟国のリスク管理者である。同じことが他の分野の多くにも当てはまる。いくつか例を挙げると、ネオニコチノイドのような農薬、食品包装に使用される食品と接触する物質、飼料添加物など。各場合では、EFSAは科学的根拠に基づく独立した助言を提供し、リスク管理者はEFSAの専門家の結論をもとに適切な行動を決める。
ではEFSAはどのように働くのか?よくある勘違いには、EFSAの科学者は実験を行い、その結果を科学的意見のための基礎として使用する、というものがある。EFSAは実験室を持たず、新しい科学研究結果も生みださない。
代わりに、EFSAは既にある研究とデータを集め、EU法の下で仕事を行う。EFSAの科学者はそれからこの情報を分析し、リスク管理者による意思決定を支持するための科学的助言を作る。
消費者のお皿に届く食品は今日では以前よりも安全である―だが、やるべき重要な作業は常に残る。この継続的な前進の中心はリスク評価とリスク管理の分割である―つまり科学に基づく意見を発表する専門家とこの助言に基づき規則の実行を引き受ける人とを分けることである。
詳しくは、リスク評価とリスク管理の違いを説明するこのインフォグラフィックを印刷またはダウンロードしてください。