食品安全情報blog過去記事

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食用酵素についての意見がEFSAの任務の新しい章を開始する

Food enzyme opinion begins new chapter in EFSA’s work
14 May 2014
http://www.efsa.europa.eu/en/press/news/140514.htm
EFSAは食用酵素の認可リストを作成する欧州連合の意思決定者による計画の一部としてこの物質の最初の安全性評価を完成した。この科学的意見は、この先数年にわたって続くことになる食用酵素の何百もの評価を伴うEFSAのリスク評価作業の重要な新しい一章の始まりとなる。酵素が食物生産に長く使用されていることを考えると、EFSAが系統立てた方法でこれらの物質を評価するのがなぜ今なのか?EFSAの食品接触物質、酵素、香料及び加工助剤に関する科学パネル(CEF)の専門家の一員であるFidel Toldra博士が説明する。

酵素とは何か?
F.T.:酵素はヒトの体を含む全ての生物に存在するタンパク質分子である。それらは化学反応の特異性と速度を上げることで食物の加工処理で重要な役割を果たす。

食用酵素はどこから由来するのか?
F.T.:食用酵素は植物や動物から、また微生物の発酵によって得られる。ビール生産中にでんぷんを砂糖に変換したりチーズ生産時にカード形成に貢献するなど、食物生産の技術的機能を実行するのに使用される。

なぜEFSAは食用酵素の系統的評価を今始めるのか?
F.T.:新しい法律はEU全体の食用酵素の使用を調和させるために2009年に施行された。それまでは、食品添加物として使用される以外の食用酵素は、EUレベルでは規制されていなかった。フランスとデンマークは例外で、食物の製造に使用する前に加工助剤として使用される酵素の評価を要求していた。EU法は食用酵素・香料・添加物に共通の認可手続きを導入した。

規制が及ぶのは食用酵素のどのようなタイプなのか?
F.T.:法律は食品の製造・加工・調理・処理・包装・輸送・保管に関するあらゆる技術的機能を行う酵素に適用される。加工助剤として使用される食用酵素を含む。だが、栄養的な目的のために添加される、ヒトの消費を目的とした食用酵素は含まない。

この規則が実際の問題として意味することは何か?
F.T.:この法律は将来、食用酵素EUリストを確立することを目的としている。最初の段階として、生産者は食品に使用される新規及び既存の酵素認可申請を行う必要がある―フランスとデンマークの機関が以前に評価したものを含む。欧州委員会は申請受付の締め切りを2015年3月11日に設定した。EFSAはEUの意思決定者による認可食用酵素リストに掲載する前に食用酵素申請の安全性評価を行う。

EFSAに評価が求められている食用酵素申請の件数は?
F.T.:業者と委員会との話し合いにより、EFSAのCEFパネルは数年のうちに300近い食用酵素申請の安全性評価を行うだろう。

EFSAに食用酵素のリスク評価を実行してもらうために申請者はどのような情報を提供する必要があるのか?
F.T.:EFSAは食用酵素の安全性評価申請のために業者が提供するべきデータについてのガイダンス文書と添付注釈を作成した。これは毒性試験と同様に、化学組成・特性・用途・使用濃度の明記を含む。

・食用酵素の安全性評価申請書類の提出についての食品接触物質、酵素、香料及び加工助剤に関する科学パネル(CEF)のガイダンス
http://www.efsa.europa.eu/en/efsajournal/pub/1305.htm
・食用酵素に関する申請書類についての食品接触物質、酵素、香料及び加工助剤に関する科学パネル(CEF)のガイダンスの説明用注記
http://www.efsa.europa.eu/en/supporting/pub/579e.htm

この評価と認可過程が進行中でも、食用酵素生産者は市場に存在する製品を提供し続けられるのか?
F.T.:はい。完全なEUリストが確立するまで、食用酵素の使用と販売に関する現在の国のルールが適用される。欧州委員会によるこのリストの確立はEFSAが2015年の期限までに受け取った全ての食用酵素申請に関する意見を述べた後、単一段階で行われる。

EFSAが発表した食用酵素評価について教えてください。
F.T.:この申請はキシラナーゼとして知られる食用酵素に関するものである。このキシラナーゼはでんぷん加工、アルコール飲料の蒸留、ベーキング加工に使用される。それは安全使用の長い歴史を持つ米こうじ菌系統の発酵を通して生産される。だが、こうじ菌は二次代謝産物としてマイコトキシンと呼ばれる望ましくない化合物を生産することでも知られている。この酵素を作るのに使用されるこうじ菌は、望ましくない生産物の形成を予防・削減するように遺伝子を組換えてある。EFSAは完全リスク評価を行った―毒性及びアレルゲン性の評価を含む―そして提案された使用と使用濃度では安全性の懸念がないことが分かった。
・遺伝子組換え米こうじ菌(NZYM-FB系統)由来キシラナーゼに関する科学的意見
http://www.efsa.europa.eu/en/efsajournal/pub/3645.htm

関係者は食用酵素に関するEFSAの作業についてさらに知ることができるのか?
F.T.:はい。EFSAは2014年5月27日、イタリアのパルマにある本部でこの話題に関する説明会を丸一日行う予定である。関係者はEFSAの科学者たちと食用酵素申請に関する科学的な、規制及び手続きの必要条件について話し合う機会が持てるだろう。この会議への登録は現在締め切られているが、その日の発表はイベント後すぐにEFSAのウェブサイト上で公表されるだろう。
・申請に関する説明会―食用酵素に関する技術会議
http://www.efsa.europa.eu/en/events/event/140527.htm