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遺伝子組換え米こうじ菌(NZYM-FB系統)由来キシラナーゼに関する科学的意見

Scientific Opinion on xylanase from a genetically modified strain of Aspergillus oryzae (strain NZYM-FB)
EFSA Journal 2014;12(5):3645 [2 pp.]. 14 May 2014
http://www.efsa.europa.eu/en/efsajournal/pub/3645.htm
欧州委員会からの要請に従い、食品接触物質、酵素、香料及び加工助剤に関するEFSAのパネル(CEFパネル)は遺伝子組換えNZYM-FB系統米こうじ菌が生産した食用酵素キシラナーゼ(エンド-1,4-β-キシラナーゼ; EC 3.2.1.8)に関する科学的意見を発表するよう求められた。
米こうじ菌親系統は食用酵素生産の長い使用歴を持っている。それはキシラナーゼを生産するために、そして望ましくない二次代謝物生産の予防と削減のために改良されてきた。遺伝子組換えは安全性の懸念を生じない。
食用酵素は検出限界のもとで生産生物も組換えDNAも含まない。
食用酵素は温度とpH最適条件、熱安定性により特徴づけられている。その構成はタンパク質・灰・水・重金属・全有機固体物(TOS)の含有量を測定することによって確かめられる。親系統はシクロピアゾン酸の生産を予防し、またこうじ酸の生産可能性を減らすために組み換えられている。シクロピアゾン酸、β‐ニトロプロピオン酸、こうじ酸は検出限界以下である。
食用酵素はでんぷん加工、飲料(アルコール)蒸留、醸造、ベーキング工程など多数の食品製造過程で使用目的がある。特定の食品工程のための典型的な使用と推奨使用濃度が提供されている。
理論最大1日摂取量(TMDI)がBudget法によって計算された。
食用酵素の遺伝毒性は二つのin vitroアッセイ (バクテリアの遺伝子突然変異とヒトのリンパ球の染色体異常)により評価された。NZYM-FB遺伝子組換えA.オリゼー系統の生産した食用酵素は、申請者が提出した条件で試験された時、代謝活性化してもしなくても遺伝子突然変異を誘発しないことが示されている。この研究条件ではヒトの血中リンパ球に染色体異常が誘発されることもなかった。全身毒性は齧歯類の13週間亜慢性経口毒性試験により評価された。無毒性量(NOAEL)が導出され、食事暴露量と比較して十分に高い暴露マージン(MOE)が得られた。
CEFパネルは、遺伝子組換え米こうじ菌系統から生産されたキシラナーゼへの食物アレルギー反応の可能性は低く、それゆえ安全性の懸念は生じないとみなした。
遺伝子組換え方法、提供された生産工程・組成・生化学的なデータ、毒性試験に基づき、パネルはこの食用酵素は意図された状況での使用は安全性の懸念を生じないと結論した。