食品安全情報blog過去記事

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その他

  • 世界飢餓デーに3,000のイネゲノム配列を公開

3,000 rice genome sequences made publicly available on World Hunger Day
28-May-2014
http://www.eurekalert.org/pub_releases/2014-05/g-3rg052314.php
中国農業科学アカデミーと国際イネ研究所とBGIの共同による3000ライスゲノムプロジェクトが3000のイネ系統のデータをGigaScienceに発表した

  • ネコ派はイヌ派より賢い

Cat People Are Smarter Than Dog People
Wednesday, May 28, 2014
http://news.sciencemag.org/sifter/2014/05/cat-people-are-smarter-than-dog-people
イヌ好きなヒトにはごめんなさい、でも新しい研究によるとネコ好きなヒトの方があなたより賢い。研究者らがイヌ派とネコ派の違いを調べたところ、ネコ好きは知能検査の成績が良く内向的で心が広く感受性が高い。イヌ好きは外向的でエネルギッシュで規則に従うことを好む。今月心理学会で発表された、600人の大学生を調査した結果。
(この写真の犬猫はどっちも可愛い)

  • グローバルヘルス:恐ろしいディナー

Nature
Global health: Deadly dinners
Meera Subramanian
28 May 2014
http://www.nature.com/news/global-health-deadly-dinners-1.15286
世界人口の1/3が使用している汚染物質を吐き出すバイオマスストーブは凄まじい重荷になっている。しかしきれいにしようという試みは失敗している
インドの伝統的調理風景の動画あり
木や動物の糞やその他バイオマスを燃やして調理することが非常に大きな有害健康影響を及ぼしていることについてはわかっているが対策が進まない。特に女性への悪影響が大きい。改良されたデザインのものを導入しても人々が使いやすくないという。
電気やガスが望ましいのだけれどすぐには行き渡らない

  • 飲酒と脳卒中リスク:前向き研究の用量−反応メタ解析

Alcohol intake and risk of stroke: A dose–response meta-analysis of prospective studies
International Journal of Cardiology
Chi Zhang et al.,
http://www.internationaljournalofcardiology.com/article/S0167-5273%2814%2900907-3/abstract
1,425,513人のデータを含む27の研究から、低用量の飲酒は総脳卒中(リスク比 [RR], 0.85; 95% CI: 0.75–0.95; P=0.005),、虚血性脳卒中(RR, 0.81; 95% CI: 0.74–0.90; P<0.001)、脳卒中による死亡(RR, 0.67; 95% CI: 0.53–0.85; P=0.001),のリスク低下と関連するが出血性脳卒中には関連しない。適量飲酒はいずれとも関連しない。大量飲酒は総脳卒中リスク増加と関連する(RR, 1.20; 95% CI: 1.01–1.43; P=0.034)。

EHP
Low-Dose Arsenic: In Search of a Risk Threshold
Charles W. Schmidt(サイエンスライター
http://ehp.niehs.nih.gov/122-a130/
科学者は昔から地下水の高濃度のヒ素はがんやその他の病気と関連することを知っていた−特に台湾、バングラデシュ南アメリカではしばしば1000ppb以上の濃度になる。今やその懸念は毎日多くのアメリカ人が暴露されているような低い用量に移ってきている。
Dartmouth大学の子ども環境健康疾患予防研究センターを率いるMargaret Karagasは、研究者らはヒ素のリスクがこれまで認識されていたより広範であることをますます確信するようになってきている、特に妊娠中や子どものような感受性の高い時期については、と言う。しかし低濃度のヒ素から守ることは、ヒ素が天然物で環境中どこにでも存在することから、とても難しい。
さらに低用量での影響についての根拠は矛盾している。ある見解ではヒ素には害を及ぼさない用量である閾値があるという。しかしピアレビューのある雑誌に発表される議論のある研究では閾値が存在しないことを示唆するものが増加している。つまりどんな量であっても、どれだけ少なくても、暴露されれば糖尿病、心疾患、免疫の問題、がんになるリスクが増える。
この不一致は、ヒ素の基準を下げることを求められている規制機関にとって問題である。EPAのSusan Griffin によると、EPAヒ素の発がん性についての推定改訂と苦闘中で、もしこれが法になると達成不可能なクリーンアップ基準になる。FDAもまた食品中のヒ素、特に重金属を吸収しやすく食事からの最大の暴露源であるコメの、を規制せよと圧力をかけられている。
コメへの注目は2013年7月にFDAがリンゴジュースについて10 ppbのアクションレベルを提案したことに続く。この新しい値はそれまでの「懸念レベル」である23 ppbを引き下げたもので、消費者同盟によるこの問題の啓発活動を含む一般からの食事中ヒ素への関心の高まりに動かされたものである。人々の追求が厳しくなり、極微量のヒ素暴露が実際どのような健康影響があるのかについての難解な問いにスポットライトがあたった。
歴史的見解
ヒ素が致死的毒であることは古代から知られている。しかし致死量は測定困難で、可溶性や原子価やその他の要因に依存する。ATDSRではヒトでの最小致死量は1-3 ppmとしていて、この死因は心停止と循環血液量減少性ショックである。
台湾やチリで地下水のヒ素が皮膚がんや黒足病と関連するという研究が出るまで、研究者らはヒ素を環境中の健康の脅威だとは認識していなかった。米国公衆衛生サービスは1942年に台湾でみられた皮膚問題予防のため飲料水のヒ素基準を50 ppbにし、それは1975年にEPAが採用した。初期の研究ではこの濃度が「低い」とみなされたが、現在低いと考えられている濃度よりは高い。1980年代までの台湾研究では300ppbまでが低いとみなされ、600ppbを中程度、それ以上を高いとしていた。これは地下水のヒ素は有害とはいえ長期的に致死的だとはみなされなかったためである。
しかしその後台湾国立医科大学のChien-Jen Chenらがヒ素は600ppb以下でも致死的がんリスクを上げることを報告した。1985年に発表された論文で台湾南西部の井戸水のヒ素の慢性暴露と肺、膀胱、その他内臓のがんによる死亡率の増加に統計学的に有意な関連を報告した。さらにその後の研究でこの関連が用量依存的であること、特に黒足病の多い地域では死亡率も高いことを示した。この研究の影響は今でも非常に大きい。
そうではないという根拠がない限り、EPAは発がん物質への暴露はどんなに小さくてもがんリスクを上げると仮定する。従ってNRCは今では150 ppb以上を「高い」、150-50ppbを「中程度moderate」、50 ppb以下を「低い」と記述する。
高用量でのヒトデータを直線的に低用量域に外挿すると、NRCは1999年に50ppbの飲料水は100人中1人をがんにすると予想した。
その時までにEPAは既に何年もヒ素のテクニカルレビューを行っていた。2001年に水基準を50 ppbから10 ppbに引き下げ、これはNRCにより生涯300人中1人ががんになるレベルとされた。EPAはこの基準設定に際して健康同様費用や技術的実行可能性も考慮する必要があった。
基準に関する議論
EPAのリスク推定は高用量でのデータを直線的に低用量域に外挿するのは不適切だと感じる研究者らから批判された。Nebraska大学医学センターの病理と微生物学のSamuel Cohen教授はヒ素には閾値があるという立場である。Cohen教授の齧歯類での実験から(他の研究者によるin vitroやin vivoの研究も併せて)ヒ素は細胞の再生につながる細胞毒性があるような高用量でのみ発がん性がある。しかしこのプロセスは活性ヒ素分子種の発生に依存する。またヒ素はDNAと反応しない。
この意見に合意しない科学者もいる。例えばSteinmausは齧歯類はヒトのあまり良いモデルではない可能性があるという。ヒトで明確にがんになる用量でネズミはがんにならない。このことには注意が必要である。
またヒトのデータには不確実性がある。台湾の農村のようなところでは一生を一カ所で過ごすかもしれないが米国や先進国ではもっとヒトが移動し地下水の濃度から暴露量を推定するのは間違った分類になる可能性が高い。
低用量影響の根拠
現在米国を含む多くの国で低用量影響の研究が行われている。たとえば2013年にはJohns Hopkins Bloomberg 公衆衛生学部のAna Navas-Acienらが低から中程度のヒ素暴露を反映する尿中ヒ素濃度が肺、前立腺膵臓のがんや心疾患と関連すると報告した。他にも多くの報告が蓄積しつつある。
規制について
低用量でも影響があるという根拠が増えるのに直面し、ヒ素の商業使用は段階的に減らされてきている。農業分野で特に懸念がある。NRCの2013年報告書によると、水の基準が50ppb以下になるとヒトの主要暴露減が食品になる。
一部の地域では農地がもともとヒ素濃度が高いが、ヒ素を含む除草剤の使用も寄与している。飼料添加物は2011年に使用を自主的にやめた。
今やFDAは食品中のヒ素にどのような基準を設定するのかを考えている。リンゴジュースの10ppbはその最初のステップで、消費者同盟はコメに120ppbの無機ヒ素基準を求めている。FDAは現在コメのヒ素のリスク評価案を作成中である。EPAもまたヒ素の発がん推定の数値について格闘している。2010年にこれまでより17倍おおきな発がんスロープファクターを提案したが反対された。もしこれが採用されるとヒ素のクリーンアップレベルが100分の1になり自然のバックグラウンドレベルより低くなる。この提案は取り下げられたがEPAには議会から改訂する義務を負わされている。
議論は続く
一方ヒ素の低用量影響についてはメカニズムと不確実性の二つの面で議論が続く。
(いろいろ略)

  • 5才までの米国の子どもたちの出生前のポリ臭化ジフェニルエーテル暴露と神経発達:HOME研究

Prenatal Polybrominated Diphenyl Ether Exposures and Neurodevelopment in U.S. Children through 5 Years of Age: The HOME Study
EHP
Aimin Chen et al.,
http://ehp.niehs.nih.gov/1307562/
2003-2006年の間にシンシナティの妊娠16週の309人の女性とその子どもたちをフォローした前向き研究。
母親の血清中BDE-47の濃度が10倍高いことと子どもの5才の時のフルスケールIQの4.5ポイントの低下、多動スコアの3.3ポイントの増加と関連する。1-3才のBayley Mental あるいは Psychomotor Development Indicesには有意な関連はない。
(もともと難燃剤は火災による被害を減らそうとして使ったものではある。家の中では火を使わない、のが多分ベストなんだろう。)

  • 学校給食の科学

The science of school lunch
27-May-2014
http://www.eurekalert.org/pub_releases/2014-05/uov-tso052714.php
2012年の秋以降、USDAが全国の学生に野菜や果物をランチで摂ることを義務化した。その結果を調べた研究がJournal of the Academy of Nutrition and Dieteticsに発表された。子どもたちのトレーに載っている食品を食べる前後で写真にとって、重さを量って写真に撮ってある野菜や果物と比べることで食べた量を推定する方法を開発した。この方法で実測するより早く解析できる。
この春Journal of Child Nutrition and Managementに発表された別の論文では子どもたちが選んでいる野菜や果物は主に加工されたもので、100%ジュースあるいはピザやラザニア(トマトソースがトマトと数えられるので)であることを発見した。しかし著者らは時間が経てば子どもたちは慣れるだろうと楽観的である。
(みんなで同じものを食べるという、日本のような給食制度が成立すること自体が奇跡のように思えてくる)

New method discovered to protect against chemical weapons
27-May-2014
http://www.eurekalert.org/pub_releases/2014-05/osu-nmd052714.php
オレゴン州立大学の研究者らがポリオキソニオベートpolyoxoniobatesと呼ばれる化合物がサリンガスのような神経剤の分解・除染に役立つことを発見した。European Journal of Inorganic Chemistryに発表された。
(やけに凝ったグラフィックスがついている)


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