食品安全情報blog過去記事

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論文等

  • 痩せるために朝食を食べる?そううまくはいかない

ScienceSHOT
Eat Breakfast to Lose Weight? Not So Fast
By Jennifer Couzin-Frankel Wednesday, June 4, 2014
http://news.sciencemag.org/health/2014/06/eat-breakfast-lose-weight-not-so-fast
ダイエットに励む人はしばしばあとで大食いしないように朝食が大事と言う。しかし新しい2つの研究はこの常識が間違っていることを示唆する。ひとつの論文は過体重の309人を無作為に16週間朝食を食べる/抜くに割り付けた。結果は意味のある差はなかった。The American Journal of Clinical Nutritionに発表された。二つ目の論文は同じ雑誌に発表されたより小規模の研究で、痩せた成人を朝食群と朝食抜き群に割り付け、代謝や心臓の健康にほとんど影響はなかった

もうちょっと詳しく
朝食と減量についての社会通念が破られる
Snap, Crackle, And Pop Goes The Conventional Wisdom About Breakfast And Weight Loss
Forbes
Trevor Butterworth, 6/04/2014
http://www.forbes.com/sites/trevorbutterworth/2014/06/04/snap-crackle-and-pop-goes-the-conventional-wisdom-about-breakfast-and-weight-loss/
またひとつの食事に関する信念(それは観察試験と社会通念から生まれた)が無作為対照試験で破られた。痩せたかったら朝食を抜いてはダメという信念は、より厳密な研究に耐えられなかった。American Journal of Clinical Nutritionに発表された研究の主著者であるEmily Dhurandharは「私たちはこの一般的信念を調べることが重要だと考えた。朝食を食べると食欲や代謝の調節に役立つことを示唆する短期試験がり、そのことがしばしば朝食を食べればより多く痩せると翻訳されている」と電子メールで答えている。
この研究の教訓は、思いこみはするな、である。
これまで減量したい人の朝食を食べるか抜くかについての無作為対照試験は1992年にSchlundt らによってたったひとつ発表されているだけである。その研究では朝食を抜くにせよ食べるにせよ、習慣を変えることが何も変化しないより減量が大きくなり、大幅な変化であるほど大きく減るように見えた。この研究は、著者がそう言っていないにもかかわらず、多くの科学論文に「朝食を食べると減量する」と引用された。DhurandharらはSchlundt らの52人より多い309人を参加させることによりスイッチングの効果をより適切にコントロールできている。
実験開始時に朝食を食べていなかった人たちのなかで、対照群(ただ「健康的食生活をするように」とだけ言ってUSDAのパンフレットを渡し、朝食を食べろとも食べるなとも指示しない)は平均0.71kg減量したが標準偏差は1.16kg、つまりこのグループのうち約68%は1.87kg痩せたか0.61kg増えたかの間にはいっている。
同様にもともと朝食を抜いていて朝食を食べるように指示された場合、平均0.76kg減量しSDは1.26kgであった。つまり2/3は2.02kgの減量か0.50kgの体重増加かの間に入っている。
最後にもともと朝食を食べていなくて朝食を食べないように指示された群は平均0.61kg減量したがSDは1.18kgで、2/3は1.79kgの減量か0.57kgの体重増加かの間に入っている。
もともと朝食を食べる習慣のあった人たちも同じように群分けされ、同じような結果になった。何の影響もない。
Dhurandharらが言うように、朝食を食べるにせよ食べないにせよ減量に影響はない。ただしこのことは特定の朝食や大量の朝食が役にたたないということを意味しない。

(この分野で「〜といわれています」というフレーズにしっかりした根拠があるほうが希)

  • 甘味料でハエをもっとたくさん捕まえて殺すことができる

You catch (and kill) more flies with this sweetener
4-Jun-2014
http://www.eurekalert.org/pub_releases/2014-06/du-yc052814.php
Drexel大学の研究者らがエリスリトールがハエに用量依存的に毒性があることを見いだした。他の甘味料にはない。しかもハエはエリスリトールが好きそうでヒトには安全性が高いため殺虫剤として期待できる

  • 子どもの栄養不良が腸内マイクロバイオームを損う

Natureニュース
Malnutrition in children mars gut microbiome
04 June 2014 Jyoti Madhusoodanan
http://www.nature.com/news/malnutrition-in-children-mars-gut-microbiome-1.15355
栄養介入は腸内細菌叢を回復できなかった
バングラデシュのDhakaのスラム街の健康な子どもと重度栄養不良の子どもの腸内細菌叢を比較した研究で、腸内細菌叢は早い時期に確立され飢餓は健康的な腸内細菌叢の発達を妨げ、それは高栄養食で栄養不良を治療しても破壊されたままであることが報告された。
Natureのウェブサイトに発表。

  • 食品安全と高齢者:キッチンライフスタディ

Food safety and older people: the Kitchen Life study
Angela Dickinson et al.,
British Journal of Community Nursing
Volume 19, Issue 5
http://www.magonlinelibrary.com/doi/abs/10.12968/bjcn.2014.19.5.226
英国の60才以上の高齢者家庭の台所を調査。何が食中毒のリスク要因かを調べた。最もハイリスクなのは冷蔵庫に関することと野菜や果物の洗浄に関すること。

  • 培養肉:全ての村に工場を?

Cultured meat: every village its own factory?
Cor van der Weele, Johannes Tramper
Trends in Biotechnology Volume 32, Issue 6, p294–296, June 2014
http://www.cell.com/trends/biotechnology/fulltext/S0167-7799(14)00086-9
1930年代にWinston Churchillが初めて培養肉あるいはin vitro肉について書き、20世紀中はあまり主流になることはなかった。しかし肉の生産の持続可能性と動物の福祉に関する問題が大きくなるにつれ培養肉が希望とみなされるようになってきた。暫定的ライフサイクル分析では、藻類培地で肉が培養できれば、欧州の牛肉に比べエネルギー使用量はあまり減らないが温室効果ガスの排出と土地の使用面積と水の使用は減る。2013年8月にはオランダのMark Postがハンバーガーを作って見せた。
ただし培養肉を人々が食べたいと思うかどうかは不明で、シナリオとしては小規模の地元工場程度がありそうだ。経済的に成り立つかどうかは大きな課題。
(鶏のほうが良くないか?という疑問が)