食品安全情報blog過去記事

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その他

Dietary protein sources in early adulthood and breast cancer incidence: prospective cohort study
Maryam S Farvid et al.,
BMJ 2014; 348 doi: http://dx.doi.org/10.1136/bmj.g3437 (Published 10 June 2014)
http://www.bmj.com/content/348/bmj.g3437
ナース健康研究IIの閉経前女性88803人。食事アンケートは1991年。
20年のフォローアップで2830例の乳がんが記録された。総赤身肉の摂取量の多さは全体としての乳がんのリスクの高さと関連した(相対リスク 1.22, 95% CI 1.06 -1.40)が、鶏肉魚卵豆ナッツは関連しなかった。
摂取量は5分割。最も多い人は1日平均1.5回、真ん中は0.7回、最低は0.14回赤身肉を食べる。
(明確な用量相関があるというより最も少ない群と最も多く食べる群が違うといった感じ)

  • 肉製品に「表示されていない内臓」

‘Undeclared offal’ in meat products
10th June 2014
http://www.belfasttelegraph.co.uk/news/local-national/uk/undeclared-offal-in-meat-products-30342869.html
Nottingham Trent University (NTU)の科学者が10の小売店から57製品を購入したところ7つには表示されていない内臓肉が、5つには血清が含まれていた。NTU のEllen Billett教授によると1%以上の表示されていない内臓肉が検出され、複数種類の内臓肉が検出されたものもある。FSAとDEFRAはNTUと協力して妥当性を検証した検査方法を確立中で、夏の終わりには発表されるだろう。Defraのスポークスマンは技術的にしっかりした方法が確立されるまで結論できないとしている。
(加工食品に使われた肉の部位を見分ける検査法ってどんな?)

  • ゴールドコーストの母親が「注目を集めるため」娘にがんの薬を与えて病気にして6年の拘留

Gold Coast mother jailed for six years for poisoning daughter with cancer drugs 'to get attention'
ABCニュース
http://www.abc.net.au/news/2014-06-11/mother-poisoned-daughter-with-cancer-drugs-for-attention/5515952
娘が3歳半の時からインターネットで購入したがんの薬(シクロホスファミド)を10ヶ月間与えて病気にした母親23才が有罪判決を受けた。子どもはがんではないが薬のせいで病気になり入院した。母親は娘が骨髄移植が必要だというウェブサイトを作り募金を集めていた。
現在娘は祖母が育てていて元気である
(海外ではこの手の病気を偽って募金を集める詐欺が時々話題になる。薬はカナダから購入したとのこと。こどもを診ていた医師が疑って発覚した。代理ミュンヒハウゼン症候群のような事例は珍しくない。メディアが過剰に露出させることも問題)

  • 日本の当局者が調査捕鯨再開の根拠を説明

ScienceInsider
Japanese Official Explains Grounds for Resuming Scientific Whaling
By Dennis Normile Tuesday, June 10, 2014
http://news.sciencemag.org/asiapacific/2014/06/japanese-official-explains-grounds-resuming-scientific-whaling
国際司法裁判所ICJによる日本の捕鯨に反対するように見える判断は実際には良いニュースだとJoji Morishitaが記者会見で述べた。裁判所の判断に従った調査捕鯨再開は可能と。しかし日本がしっかりした科学的正当性を確保できるかどうかは疑わしい、と国際動物福祉基金のNaoko Funahashiはいう。

  • 我々は肥満の原因の理解や予防にはほど遠い

We Are Nowhere Near Understanding The Causes Of Obesity And How To Prevent It
Forbes, Geoffrey Kabat,
6/09/2014
http://www.forbes.com/sites/geoffreykabat/2014/06/09/we-are-nowhere-near-understanding-the-causes-of-obesity-and-how-to-prevent-it/
過去30年にわたる体重増加傾向は「流行」さらに「パンデミック」とすら言われ、緊急に対応すべきとされてきた。最初は先進国で、そして今や世界的にそうである。先月のLancetの論文は肥満や過体重が原因で世界中で340万人が死亡していると推定している。
肥満の研究に費やされたお金は膨大である。NIHは年に10億ドルを肥満研究に使っていて対策法のアイディアはたくさんある。問題はこれらが希望的観測であってしっかりした科学的根拠に基づいているとは言えないことである。ある案は他の案と矛盾し多くの説明はトートロジーかあるいは絶望的に単純−つまり太るのは食べ過ぎまたは運動不足あるいはその両方、である。
どうしてこうなるのだろう?
肥満の研究論文はたくさんあり何百万ドルも使い、肥満に対策が必要だという合意もある。
1年前にMayo Clinic Proceedingsに発表された論文で栄養疫学者James Hébertは「肥満の原因に関する何十年もの研究にもかかわらず、少しも解決法に近づいていないようだ」と書く。肥満は人間の基本的欲望と環境と生理と遺伝の複雑な現象であるが研究者らはこのパズルの一側面を選ぶ傾向がある。そして限界のある方法を用いて得た結果を無批判に政策の基礎とする。効果的な戦略にはより創造的で厳密な仕事が必要である。Hébertらが指摘する肥満を理解する妨げになる誤謬は、肥満の測定方法の不適切さ、肥満は単一の病態ではない、物理学を生物学に間違ってあてはめる、研究の質についての不適切な評価、単純な決定論的理由付け、などである。