食品安全情報blog過去記事

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PHEは糖を減らす議論を開始

PHE kick starts debate on sugar reduction
Published 26 June 2014
https://www.gov.uk/government/news/phe-kick-starts-debate-on-sugar-reduction
PHEは'糖を減らす:課題に挑むSugar Reduction: Responding to the Challenge'というペーパーを発表し、この国の糖の摂取について議論する
国の減塩政策は15%の減塩に成功している。これを砂糖でも再び達成したい。

関連

  • SMC UK

栄養に関する科学助言委員会(SACN)による炭水化物と健康についての報告書と、PHEの糖の摂取量を減らす提案についての専門家の反応
expert reaction to report on Carbohydrates and Health from the Scientific Advisory Committee on Nutrition (SACN), and PHE’s proposals to reduce sugar intake
June 26, 2014
http://www.sciencemediacentre.org/expert-reaction-to-report-on-carbohydrates-and-health-from-the-scientific-advisory-committee-on-nutrition-sacn-and-phes-proposals-to-reduce-sugar-intake/
King’s College London糖尿病と栄養科学部長Tom Sanders教授
現在食品には総糖しか表示されていないので「遊離の糖」の定義と消費者の解釈に問題があると考える。現在「遊離の糖」を分析する方法は存在しない。遊離の乳糖が相当量入っているフルーツヨーグルトのようなものが「遊離の糖」に分類されないことなども混乱を招く。我々独自の研究では「遊離の糖」を標的にすると砂糖入り飲料を減らしてお菓子を食べることになりやすく、糖の摂取量が必ずしも減らない。PHEは企業による製品の組成変更をひとつの方法だと考えている。これは砂糖を人工甘味料に完全に置換できる飲料などでは有効だろう。既に消費者にはこの選択肢はあったが肥満増加には歯止めがかからなかった。固形食品の糖削減はさらに複雑である。糖アルコールは20g以上摂ると下痢する可能性がある。砂糖を排除して脂肪を加えるとカロリーが増える。私は塩の場合のように広範に制限するより飲料やお菓子のような主要寄与因子に集中的に対応した方が良いと考える。
Glasgow大学Naveed Sattar代謝医学教授
これらのガイドラインの方向性は正しい。精製した糖を減らし同時に食物繊維を増やしたほうがいい。肥満の主要因はカロリーの摂りすぎでありよい食習慣が必要である。
Institute of Food Research所長David Boxer教授
この報告書を歓迎する。企業には明確な役割がありより健康的な製品を作り同時に消費者教育の努力も必要
Institute of Food Research食品安全副部長Elizabeth Saggers博士
砂糖の摂取量を減らすことによる健康への影響は明確であるが、製品の砂糖含量を減らす場合には砂糖が保存量として働いていることから注意が必要である。砂糖が減ると微生物が増えて食中毒のリスクが増える。これには対策が可能である。
Cambridge大学公衆衛生Nita Forouhi博士
報告書を歓迎する。食物繊維を成人1日30g、遊離の糖は総エネルギー摂取量の5%に減らすことを目標に個人レベルでは10%を超えないように、という新しい助言はしっかりしたものである。さらに炭水化物は総エネルギー摂取量の約50%を維持するという助言もしっかりしている。課題は実践である。集団の摂取量を変えるのは困難である。長く総合的な対策が必要である。
Gothenburg大学神経内分泌Suzanne Dickson教授
助言の実施には人々が糖の摂取量を減らすのはとても難しいという事実を考慮する必要がある。
全国食事調査を主導したMRC Human Nutrition Researchの公衆衛生栄養学者Toni Steer博士
我々は食事栄養調査の最新結果から、英国人、特に子どもたちが砂糖を摂りすぎていることを知っている。この調査結果とSACNの報告書から、健康的な食生活を薦める必要性が強調される。
St George’s病院Catherine Collins主任栄養士
砂糖は私たちの食品にもともと含まれる。砂糖入り飲料だけで摂取量の1/3になり、現実的助言としてはアスリートでもないかぎり砂糖入り飲料は必要ない。宣伝も禁止したい。お菓子は小さいものを薦める。ただフルーツジュースについては悪魔扱いすることには合意しない。小さいコップ一杯は薦める。
Oxford大学食事と集団の健康Susan Jebb教授報告書を歓迎する。食事助言は栄養に基づいたものであるが、消費者はそれを食生活全体の文脈の中で生かす必要がある。砂糖の代わりに脂肪を摂ることを薦めてはいない。