食品安全情報blog過去記事

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その他

  • GMOパパイヤ開示は阻止された

GMO papaya disclosure curbed
July 9, 2014
http://hawaiitribune-herald.com/news/local-news/gmo-papaya-disclosure-curbed
Greg Nakamura判事は火曜日に、ハワイ郡が遺伝子組換えパパイヤを栽培している農場の場所を公開することを防ぐ予備的差し止め命令を出した。GMOの登録は維持するがそれを公開することは防ぐ。GMOパパイヤの生産者が、公開されると破壊活動等の経済的損害を被るとして登録に疑問を提示していた。同時にハワイでのGMO作物の栽培禁止について別の裁判が行われている

White House asked to stay away from school nutrition summit
7/14/14
http://www.politico.com/story/2014/07/white-house-school-nutrition-association-108874.html
ミシェル・オバマの食品政策の第一人者であるセレブシェフSam Kassは2年前の2012年には学校栄養協会(SNA)で大歓迎されたが今や状況はすっかり変わり、参加して欲しくないと言われるようになった。
学校で提供される食事の改革が始まった2012年から、多くのことが変わった。学校のピザは全粒粉になり果物や野菜を食べなければならなくなりトランス脂肪は禁止された。学校の90%は既に段階的に導入が始まった基準を満たしている。しかし全てが変化を歓迎しているわけではない。SNAが議会に一部の規制の緩和を求めた時、栄養コミュニティとオバマ政権に亀裂が生じた。何故最初は支持していたSNAが後戻りするのか、と。
もとSNA会長らが食品企業が協会の立場に不当に影響したという懸念を表明し、SNAはそれを強く否定した。そうではなく子どもたちが好きではないという理由で食べなくなっていることを心配していると主張している。
ナトリウムを厳しく制限し野菜や果物を厳格に要求する新しい栄養基準に多くのSNA会員が困っている。政治的闘争が厳しいだけでなくメディアからの攻撃も激しい。子どものことを考えていないという非難には傷つく。
(日本で一部だけがゆがんで伝えられている中にも「学校給食は利権でミシェル・オバマが正義」みたいなステレオタイプが紛れているけれどそんなに簡単ではない
日本でもこの理想の「基準」を満たす給食は作れない。まず塩でアウトになるし白いご飯はダメ。全て全粒穀物、なので麺類も「美味しい」とはほど遠いものになる。それを緩和してくれと現場から声があがるのはむしろ当然なのでは。日本と違ってそれが半ば強制ではないので学校給食は選ばなくなるのも当然の帰結。そして食べる子が減ったり基準を満たさないと資金補助も出なくなる。)

  • 症例報告 iPad—子どものニッケル暴露増加

Case Report
iPad—Increasing Nickel Exposure in Children
Sharon E. Jacob, MD and Shehla Admani, MD
Pediatrics Published online July 14, 2014
(doi: 10.1542/peds.2013-2871)
http://pediatrics.aappublications.org/content/early/2014/07/09/peds.2013-2871.abstract
(メディアが取り上げている。11才の少年の全身の発赤をおこしたニッケルアレルギーが、2010年に購入したiPadが原因という例。アレルギーの原因がわからない間毎日触っていたため難治だった。iPadの外側に保護ケースを取り付けて良くなった。)

  • 大量1080毒散布承認

ニュージーランドヘラルド
Big 1080 poison drop gets nod
Jul 14, 2014
http://www.nzherald.co.nz/nz/news/article.cfm?c_id=1&objectid=11293269
害獣駆除のために空から落とす1080を今年は増やす。反毒活動家は反対している。
「我々の鳥のための戦い」についてNick Smith大臣が大量毒散布計画の実行を確認した
森林モニタリングで今年は木の実が豊作であったことが確認され、ネズミやイタチが大発生して鳥たちを襲い、大惨劇になるだろう。その対策に1080をさらにたくさん使う。
(殺虫剤は昆虫特異的毒、それに比べてほ乳類を殺す毒は当然毒性が高い)

  • スクリーニング検査の「正確さ」

Sense about science
The "accuracy" of screening tests
14 July 2014 guest post by Professor David Colquhoun, FRS
http://www.senseaboutscience.org/blog.php/101/the-quotaccuracyquot-of-screening-tests
アルツハイマー病についての記事がメディアの見出しを飾っている。血液検査による認知症の検査開発についてのKings College Londonの最近の研究のプレスリリースがきっかけである。メディアではこれが認知症研究のブレイクスルーともてはやされている。例えば正確とは言い難いBBCのニュース(「アルツハイマー研究が血液検査に向けて大きく前進」)などがある。この不正確さの主な原因はプレスリリースにある
プレスリリースでは
「MCI(軽度認識障害)のヒトが1年以内にアルツハイマーになるかどうかを10のタンパク質の組み合わせで87%の正確さで予想できることを発見した」とある。
もと論文では
「16のタンパク質が疾患の重症度と認知機能低下に関連していた。最も強い関連が見られたのはMCIグループの10タンパク質とADへの進行であった(正確さ87%、感度85%、特異性88%)」

患者にとって問題なのは、もし検査で陽性だった場合、実際に認知症になる可能性である。Guardianがアルツハイマー学会のJames Pickett博士の言葉を引用して「この10タンパク質は認知症への進行を90%以下の精度で予想できるとしている、つまり10人中1人は間違った結果を受け取るということ」としているが、これは単純に正しくない(少なくとも著しく誤解を招く)。適切な数値は私のblogでも書いたが、最も簡単な方法は図を書くことである。
1000人を検査する。検査対象者の有病率は0.1(10%)であるとする(MCIのヒトが認知症に進行する率)。つまり100人が実際に病気で900人は病気ではない。
感度は病気の人が病気と診断される率なので、感度85%は100人中85人が陽性である。15人は陰性である(偽陰性)。
特異性は88%なので病気でない900人のうち792人が陰性となる。108人は偽陽性になる。
つまり1000人を検査すると193人が陽性の結果を受け取り、そのうち108人、56%は間違った警告を受け取る。偽陽性56%は良い検査法とは言い難い。
もし有病率が5%なら(60才以上のヒトを対象にした場合)、偽陽性は73%にもなる。これのどこが「87%正確」なのだろうか?
(図あるので見てね)