食品安全情報blog過去記事

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SMC

expert reaction to fatty acids and type 2 diabetes risk
August 6, 2014
http://www.sciencemediacentre.org/expert-reaction-to-fatty-acids-and-type-2-diabetes-risk/
Oxford大学ヒト代謝名誉教授Keith Frayn
この研究は非常に大きな規模で血漿中の特定の飽和脂肪酸2型糖尿病発症リスクの関連を示した。しかし著者らが自ら指摘しているように血漿中の飽和脂肪酸の濃度は食事摂取量を直接反映したものではない。人体で合成できない奇数鎖脂肪酸については乳脂肪摂取のより良い指標にはなるだろう。これら特定の脂肪酸の多いことは心臓発作予防作用があることが知られており、今回は糖尿病保護作用が示された。しかしこのことはこれらの特定の脂肪酸を摂ることが良いという意味ではなく、むしろ特定の食生活の指標である可能性が高い。
King’s College London医学部糖尿病栄養科学部長Tom Sanders教授
一般的にこれらの脂肪酸2型糖尿病への影響の大きさは過体重であることの影響に比べると僅かである。これは観察研究で介入ではない。しかしこの知見は他の2型糖尿病リスクの低さと乳製品摂取に関連があるという報告と一致している。奇数鎖脂肪酸は微生物も作るので反芻動物の脂肪だけが発生源ではない。偶数鎖脂肪酸濃度は飽和脂肪酸を減らす食事によりあまり変わらないが、人体が合成できない多価不飽和脂肪酸摂取量が少ないと置換されるので増える。

expert reaction to vitamin D and dementia
August 6, 2014
http://www.sciencemediacentre.org/expert-reaction-to-vitamin-d-and-dementia/
Neurologyに発表された大規模研究で高齢者の血中ビタミンD濃度を測定し、十分なビタミンDを摂取していないと認知症アルツハイマー発症リスクが2倍になることに関連すると報告した
Oxford大学Nuffield臨床神経科学部老年学名誉教授Gordon Wilcock
この研究はこれまで示唆されてきたビタミンDレベルの低さと認知症アルツハイマー発症の関連について確認した。ビタミンD濃度の低い人にビタミンDを与えることで記憶力のさらなる低下や認知症の進行が遅くできるかについての試験が必要だとしている。
高齢者のビタミンD濃度は食生活の貧しさや日に当たらないことでチェックできる。あるいは高齢者の健康診断の定期検査項目に加えてもいいかもしれない。

Research at Alzheimer’s Research UKのSimon Ridley博士
この興味深い研究はこれまでのビタミンDの低さと認知症の関連についての根拠を強化するものであるがビタミンDの低いことが認知症の原因かどうかはわからない。認知症ビタミンDが保護作用があるかどうかは臨床試験が必要である。ビタミンDは人体に必須で、十分な摂取量を確保することは重要である。サプリメントを含む食生活の変更を考えている人は医師に相談すること。
認知症の研究はすすめるべきであるが、認知症リスクを下げる方法は他にもある。健康でバランスの取れた食生活、定期的運動、禁煙、酒は飲み過ぎない、血圧と体重の維持、である。