食品安全情報blog過去記事

はてなダイアリーにあった食品安全情報blogを移行したものです

論文

  • 子どもの低身長での成長ホルモン治療と成人初期の脳卒中リスク

Growth hormone treatment for childhood short stature and risk of stroke in early adulthood
Amélie Poidvin et al.,
Published online before print August 13, 2014
http://www.neurology.org/content/early/2014/08/13/WNL.0000000000000737.short
1985-1996年に成長ホルモン治療を始めた6874人の2008-2010死亡率データの解析。成長ホルモン治療は出血性脳卒中と強い関連があった。

  • 仕事中毒:今世紀の依存

Workaholism: The addiction of this century
14-Aug-2014
http://www.eurekalert.org/pub_releases/2014-08/tuob-wta081414.php
ベルゲン大学の研究でノルウェーの労働者の8.3%が健康問題になるほど仕事中毒
Bergen Work Addiction Scale (BWAS)
・どうしたらもっと仕事時間がとれるか考える
・予定より長く働く
・罪悪感や不安や無力感、鬱などの感情を減らすために働く
・他人から仕事を減らすよう言われたことがあるがきかなかった
・仕事を禁止されたらストレスになる
・仕事のほうが趣味やレジャーや運動より大事
・働きすぎて健康を損なったことがある
この7つのうち4つ以上「しばしばそう」「いつもそう」なら仕事中毒。
仕事中毒スコアが高いパーソナリティは3つ
マザーテレサタイプ:利他的でおとなしく従順
・ウッディアレンタイプ:神経質でいらいらしていて衝動的
・コロンバスタイプ:新しいことが好きで独創的で行動指向

  • 食物アレルギーは都心の子どもたちに多い

Food allergies more widespread among inner-city children
14-Aug-2014
http://www.eurekalert.org/pub_releases/2014-08/jhm-fam081414.php
10人に1人はミルク、卵、またはピーナッツにアレルギーがある
Journal of Allergy and Clinical Immunologyに発表。
Baltimore, Boston, New York City およびSt. Louisの516人の都心の子どもたちを生まれたときから5才までフォローし、IgE抗体の測定とアレルギー症状の確認を行っている。全体として、55%の子どもは乳・卵またはピーナッツに感受性が高いと分類され、食物アレルギーと診断されるのは約10%。17%は「アレルギーの可能性がある」でIgE抗体は高いもののアレルギー反応をおこしたことはない。29%は「感受性は高いが耐えられる」で、抗体が高かったりアレルギー症状を発症したことはあるものの問題の食品を食べても症状は出ない、人たちである。
母乳で育てられた子どもに食物アレルギーが多、家のエンドトキシン濃度が高いとアレルギーは少ない。

  • 9/11塵雲は広範な妊娠問題を引き起こした可能性がある

9/11 dust cloud may have caused widespread pregnancy issues
14-Aug-2014
http://www.eurekalert.org/pub_releases/2014-08/puww-9dc081414.php
新しい研究によると、9/11に世界貿易センタービル近くに住んでいた妊娠女性は通常より高い出産の負のアウトカムを経験していた。特に男の子で、早産や低体重、NICU入院率が高かった。National Bureau of Labor Economicsが発表。

  • 福島の遺産

Fukushima's legacy
14-Aug-2014
http://www.eurekalert.org/pub_releases/2014-08/aga-fl081114.php
Journal of Heredityに動物や植物や昆虫への福島放射線の影響に関する一連の論文が発表された。
シンポジウムの紀要、オープンアクセス
http://jhered.oxfordjournals.org/content/current
苗のマイクロアレイとか、解釈の難しいデータ

  • 人生の初期に抗生物質を摂るとマウスは太りやすくなる

Taking antibiotics early in life leaves mice prone to obesity
By Jop de Vrieze 14 August 2014
http://news.sciencemag.org/biology/2014/08/taking-antibiotics-early-life-leaves-mice-prone-obesity
Cellに発表
Altering the Intestinal Microbiota during a Critical Developmental Window Has Lasting Metabolic Consequences
Laura M. Cox et al.,
Volume 158, Issue 4, p705–721, 14 August 2014
http://www.cell.com/cell/abstract/S0092-8674(14)00821-6
生後4または8週にペニシリンを与えると腸内細菌の数が変わるが数週間で回復する。しかしその10週後、高脂肪食を与えるとペニシリン投与群が、特に雌で、太る。抗生物質を与えても普通の餌のマウスや、より高齢で抗生物質を与えられたマウスは太らない。
ただしヒトとマウスでは腸内細菌は異なるし子どもに低用量抗生物質を長期間投与することはない。

これについては
UK SMC
生後初期の腸内細菌撹乱と成人期の肥満についての専門家の反応
expert reaction to disruption of gut bacteria in early life and obesity in adulthood in mice
August 14, 2014
http://www.sciencemediacentre.org/expert-reaction-to-disruption-of-gut-bacteria-in-early-life-and-obesity-in-adulthood-in-mice/
Cellに発表されたマウス研究で、ある種の腸内細菌が生後初期に代謝を形作り、抗生物質によりかく乱されると変化して大きくなったマウスの肥満リスクを増やすようだと報告された。
農薬の責任ある使用連盟John FitzGerald氏
論文とプレスリリースの引用文献で農家が家畜に成長促進のために抗生物質を与えているとしているがEUでは2006年から禁止されているし家畜を太らせるためでもない。家畜の成長促進とマウスの肥満は違う。
Glasgow大学代謝医学教授Naveed Sattar
興味深い研究であるがマウスでのものでありヒトで同じとは言えない。この研究をもとに現在の医療を変えることはない。新生児への抗生物質投与は必要があれば行う。一方肥満対策に最も重要なのはライフスタイルについての助言である。
一般微生物学会長Nigel Brown教授
この研究は腸内最近叢がヒトの健康や発育に重要な役割を果たしている可能性があるという根拠に付け加えるものである。ヒトにあてはまるかどうかは不明であるが、抗生物質は必要なときにのみ使うのが重要であろう。
St George’s, University of London微生物病理教授Jodi Lindsay
この論文は人生の初期の抗生物質が肥満になりやすくすることについてのこれまでで最も強い根拠である。これはマウスの実験であるがヒトでの研究が必要である。