食品安全情報blog過去記事

はてなダイアリーにあった食品安全情報blogを移行したものです

その他

  • 学歴の高い消費者は信頼できない可能性のあるオンライン医療情報を利用しやすい

Educated consumers more likely to use potentially unreliable online healthcare information
27-Aug-2014
http://www.eurekalert.org/pub_releases/2014-08/hfae-ecm082714.php
HFES 2014年次会合での発表
インターネットで医療情報を収集する人たちの特徴を調べた研究。3000人以上を調べたうち、大学で4年以上学んだ若い人は高卒の高齢者より遥かにオンラインの逸話を参照にしやすい。さらに健康状態の悪い人の方が健康な人より多くインターネットを使う。

  • 恐ろしいレメディ:漢方薬に警告

Deadly remedy: Warning issued about Chinese herbal medicine
28-Aug-2014
http://www.eurekalert.org/pub_releases/2014-08/w-drw082814.php
Emergency Medicine Australasiaに発表された症例報告。メルボルンのプラクティショナーが女性の腰痛に処方した漢方薬で命に関わる心臓への影響がおこった。トリカブトを含む処方を飲んで数分以内に顔がピリピリして感覚がなくなり、30分後までに吐き気、嘔吐、下痢、腹痛がおこった。心不全で集中治療室に入院。
中国ハーブプラクティショナーが処方したのは循環を良くし筋骨格の痛みを減らすための"Chuan Wu" (川烏) "Cao Wu"(草烏)および "Fu Zi"(附子)(全部トリカブトの根)である。
(附子製剤は漢方で腰痛に保険適用ある。消炎鎮痛剤の方を選ぶけど)

  • 社会科学はひどい出版バイアスに苦しんでいる

Natureニュース
Social sciences suffer from severe publication bias
Mark Peplow 28 August 2014
http://www.nature.com/news/social-sciences-suffer-from-severe-publication-bias-1.15787
面白い結果が出なかったとき、研究者はしばしばそのデータを公表しないで別のテーマに取り組む。しかし関係がなかったというデータ無しにはその分野の文献はゆがむ。
Scienceに発表された研究によると2002年から2012年にTime-sharing Experiments for the Social Sciences (TESS)に登録されて完了した研究のうち、48%が発表されているが、思わしくない結果の研究では雑誌に発表されたのは20%のみで65%は書かれてもいない。一方強い結果の出た研究は60%が発表されている。
TESSに登録されているのはピアレビューされた試験だけなので問題はもっと大きいだろう。
Science
Why null results rarely see the light of day
By Jeffrey Mervis 28 August 2014
http://news.sciencemag.org/math/2014/08/why-null-results-rarely-see-light-day

  • 政府への科学助言

Nature特集
Science advice to governments
http://www.nature.com/news/science-advice-1.15760
オークランドで開催された初めての政府への科学助言についての国際会合を記念して関連記事を集めた。
最新記事
Scientific advice: Crisis counsellors
27 August 2014
http://www.nature.com/news/scientific-advice-crisis-counsellors-1.15774
火山の噴火による飛行機のリスク、感染症アウトブレイクなどへの対応について
各機関の協力に失敗した例としてドイツでhamburg Institute for Hygiene and Environmentがスペイン産キュウリからO157を検出したと発表する前にアウトブレイク対応担当政府機関であるRobert Koch Instituteに相談しなかった。これは患者から検出された細菌とは違う系統であることが数日後にわかったがスペインの経済的打撃につながり、欧州委員会が農家に2億2700万ユーロ支払うことになった
(好き勝手いろんなこと言われても困るけれどワンボイスも難しい。まさに今日本が苦しんでいる)

音声はSMC NZがアップしている
Audio: Science advice in situations of crisis
August 29th, 2014.
http://www.sciencemediacentre.co.nz/2014/08/29/audio-science-advice-in-situations-of-crisis/
日本からは総合科学技術会議の原山議員

Science-Based Medicine
Did a high ranking whistleblower really reveal that the CDC covered up proof that vaccines cause autism in African-American boys?
Posted by David Gorski on August 25, 2014
http://www.sciencebasedmedicine.org/did-a-high-ranking-whistleblower-really-reveal-that-the-cdc-covered-up-proof-that-vaccines-cause-autism-in-african-american-boys
先週たくさんの反ワクチンウェブサイト、ブログ、FacebookTwitterInstagramが活発になったことに気がついただろう。主な内容はCDCの内部告発者が、ワクチンがアフリカ系アメリカ人の少年の自閉症と関連するという証拠をCDCが握りつぶしたことを告白したというものである。
反ワクチン活動の情報源はいつも同じで、Andrew Wakefieldについては既に何度も書いてきたがBrian Hookerについてはまだ知らない人もいるかもしれない。
Brian Hookerは反ワクチン活動の最近人気急上昇中のスターである。Simpson 大学の生物学准教授で自分のコンサル会社を運営していて、彼がワクチンのせいだと主張している自閉症の子どもがいる。各種反ワクチン活動に関わっている。情報公開法を利用してCDCに各種情報開示を求めてきた。CDCが自閉症とワクチンの関連が認められないとした有名な研究などをCDCがデータを不正操作したと主張している。
今回の「スキャンダル」はTranslational Neurodegenerationという聞いたことのない雑誌に論文が発表されたということに始まる。そしてYouTubeにCDCの高官がMMRワクチンが自閉症をおこしたという「真実」を隠したことを内部告発したと主張する動画が公開された。さらに木曜の夜にBrian Hookerが内部告発者はWilliam Thompson博士であると誇らしげに主張する動画がYouTubeに公開された。
(以下長い説明)
この騒ぎでWilliam Thompson博士が弁護士を介して声明を発表した
(2004年の論文に一部のデータが含まれていないということを批判したのであってワクチンが自閉症の原因だと言っているわけではない。データの取捨選択の透明性を確保すべきという話)
さらにTranslational NeurodegenerationがBrian Hookerの論文を非公開にしたことで騒動は継続。
http://www.translationalneurodegeneration.com/content/3/1/16/abstract
(僅かな瑕疵でも陰謀の証拠にされるから難しい。完璧でないといけないというプレッシャーは隠すほうの動機付けになるけれど)