食品安全情報blog過去記事

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SMC UK

  • 医薬品の環境影響研究についての専門家の反応

expert reaction to research on the impact of pharmaceuticals on the environment
October 13, 2014
http://www.sciencemediacentre.org/expert-reaction-to-research-on-the-impact-of-pharmaceuticals-on-the-environment/
Philosophical Transactions of the Royal Society Bに環境や野生動物への医薬品の影響についての報告が発表された
King’s College London薬学法医学講師Leon Barron博士
我我の環境中には薬理活性のある化合物が何年も存在してきた。その影響を理解するための研究は歓迎する。このような微量で環境に有害影響があるかどうかはわからない。適切な研究が必要。
Leeds大学環境毒性学Alastair Hay教授
これは素晴らしい報告である。水中エストラジオールが野生生物、魚に影響しているという根拠はあるがほかにもあるだろう。
下水中の医薬品濃度は国によって異なる。先進国では下水は処理されきれいになっている可能性が高いが途上国では直接水系に排泄される。医薬品を使用している一般の人にもできることはある。使わなかった医薬品は薬局へ返却しよう。
メルボルンRMIT大学分析化学講師Oliver A.H. Jones博士
この論文集はタイムリーだ。環境中の医薬品については新しい問題ではなく1970年代から研究がある。これまで環境中に存在する低濃度の医薬品が有害だと結論されたわけではないが問題はたくさんある。最新の研究の一部は分析技術の進歩による。医薬品の使用を中止する必要はないがそれがどこに行くかを考えるのは興味深いことだろう
生態学水文学センターMark J Bailey教授
このレビューを歓迎する
‘Assessing risks and impacts of pharmaceuticals in the environment on wildlife and ecosystems’ by numerous authors published in Philosophical Transactions of the Royal Society B on Monday 13 October 2014

expert reaction to broccoli and autism
October 13, 2014
http://www.sciencemediacentre.org/expert-reaction-to-broccoli-and-autism/
自閉スペクトラム疾患の少数患者にブロッコリー抽出物−スルホラファン−が有用だという報告がPNASに発表された
自閉症研究(Research Autism)研究部長Richard Mills
これは小規模試験で治療を受けた全ての人にメリットがあったわけではない。また報告されている社会的行動の改善がスルホラファン(SF)によるものなのかあるいはその他の影響なのかを探るのは興味深い。何であれ希望がもてる。いくつかの研究でSFが神経変性を予防する可能性が示されている。これはSFのNrf2/ARE経路の活性化と血液脳関門を通過できる特有の性質によると考えられている。SFをより大規模の試験で試してみる価値はあるだろう。
Open大学心理学講師Rosa Hoekstra博士
この知見は興味深いものではあるが自閉症ブロッコリーが良いと結論するのはあまりに早すぎる。この研究は小規模で、そのうち20%は試験を終了できず、全ての評価が完了できたのは最初の参加者の半分のみである(44人中22人)。このような高い脱落率は、その理由が不明なため懸念材料となる。さらに参加者は全て重症の男性で、異常に高い80%が発熱時に行動が改善することがわかっている。このような特殊条件の少人数の試験から一般的結論を導き出すのは不可能である。今のところ、自閉症の子どもの保護者は、子どもがブロッコリーを食べたがらないことに罪悪感を覚える必要はない
Sulforaphane treatment of autism spectrum disorder (ASD)’ by Singh et al. published in Proceedings of the National Academy of Sciences on Monday 13th October