食品安全情報blog過去記事

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DEHPの予備的意見にパブリックコメント募集

Public Consultation on the preliminary opinion on DEHP
http://ec.europa.eu/health/scientific_committees/consultations/public_consultations/scenihr_consultation_25_en.htm
DEHPを可塑剤に使用したPVCあるいは他の可塑剤を含む医療機器の、新生児やその他リスクの可能性のある集団に対する安全性についての予備的意見に2014年11月30日まで意見募集。
一般人にとっては食品が主な暴露源で暴露量の中央値は2 〜 5 μg/kgbw/dで95パーセンタイルは6 〜 17 μg/kg bw/dと推定されている。
医療器具からの暴露はもっと多いと推定されるが暴露量は装置の種類や治療期間により大きく異なる。
外傷患者で膜型人工肺(ECMO)使用時には8-10 mg/kg bw/dに達し、慢性暴露では血液透析が最も多く2200 μg/kg/dと報告されている。新生児集中治療室で複数の治療を受けている新生児は体重当たりの暴露量はさらに多く、6000μg/kg bw/dと推定される。
DEHPのヒトでの代謝はラットとは異なる。EFSAはTDI 50 μg/kg bw/dを設定しているが、TDIは生涯にわたる継続的暴露のための指標である。一方医療機器は透析患者を除いて一時的あるいは短期的である。
医療機器からのDEHP暴露は一部集団でTDIを超過しTDIの40倍以上になる。安全性マージンは小さい。また齧歯類でのNOAELが約30 mg/kg/dayでの腎毒性を根拠にしたものであるため透析患者にとっては特に問題となる。NICUの未熟児については生殖毒性のNOAEL (4.8 mg/kg/d)と同程度の暴露になり安全性マージンはない。
医療機器の利益を考慮すべきで、代用品を検討する場合には治療の効率を考えるべきである。