食品安全情報blog過去記事

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ミルクは骨折と早期死亡に関連するかもしれない

Behind the headlines
Milk may be linked to bone fractures and early death
Wednesday October 29 2014
http://www.nhs.uk/news/2014/10October/Pages/Milk-linked-to-bone-fractures-and-early-death.aspx
Mail Onlineが「1日にコップ3杯以上のミルクを飲むことは骨折予防にならないかもしれない−そして死亡率が高くなるかもしれない」と報道した。心配する必要はない−あなたの牛乳配達屋はハロウィーン死に神ではない。このニュースやその背景にある研究を注意して扱うべき多くの理由がある。
この研究は男女に食事調査をして平均最大20年フォローしたスウェーデンの二つの大規模コホートの解析である。研究者らはミルクを飲んだ量と骨折や死亡との関連を調べた。女性では1日200g 以下のミルクを飲むヒトに比べて1日200gのミルクを多く飲むこととフォローアップ期間に死亡するリスクの増加が関連していた。リスクの増加は1-2杯で21%、3杯以上で93%だった。また女性では1日1杯以上のミルクを飲むことと骨折リスクの増加が関連していた。男性では骨折でも死亡でもそのような明確な関連はなかった。
しかしこの研究の参加者は1日当たりのミルクの摂取量を正確に推定できなかった可能性や各種の測定されていない要因がある可能性がある。またこの研究はスウェーデン人であるため、ライフスタイルや環境が異なる他の集団には当てはまらないかもしれない。例えばスウェーデンでは英国と違ってミルクにはビタミンAが添加されていて、ビタミンAの摂取量の多さと骨折リスクの高さに関連があることが知られている。
この知見はさらなる研究に値するが、人々はこの研究だけを根拠にミルクを飲む量を減らそうと考えるべきではない。