食品安全情報blog過去記事

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紙ナプキンと食品包装用の印刷インクの一級芳香族アミンに関するFAQ

FAQ on primary aromatic amines in printing ink for paper napkins and food packaging
http://www.bfr.bund.de/en/faq_on_primary_aromatic_amines_in_printing_ink_for_paper_napkins_and_food_packaging-191650.html
28 August 2014
紙ナプキンとそのほかの紙で作られた食品包装用の印刷インクは一級芳香族アミン(PAA)を含む可能性がある。一部のPAAは発がん性、変異原性がある。食品と長期に接触する場合にPAAは食品に移行し、その後ヒトに摂取される可能性がある。BfRは発がん性に分類されるPAA移行の現在の最大許容量を再評価するよう勧告した。
既存のデータ不足により、紙ナプキンの用途(特に唇に軽く押し当てること)と紙の包装用途(食品の短期保存)の健康評価を行うことはできない。
以下、BfRは印刷用インクの一級芳香族アミンに関するFAQを集めた。

一級芳香族アミン (PAA)とは?
「一級芳香族アミン」 (PAA)という用語は、とても簡単に説明すると、アニリンとしても知られているアミノベンゼンのような化学物質グループを示す。PAAは、たとえば、特に黄色‐オレンジ‐赤の色の範囲の、アゾ顔料と呼ばれるある種の着色料の生産に使用される。

PAAは印刷インクにどのように入るのか?
アゾ顔料は色素として印刷インクに使用されている。たとえばナプキンやパン屋さんの袋など、食品と接触することを意図した材料や品物の印刷にも使用される。それらの製品に使用されるPAAは、不純物の形で完成した色素に残る恐れがある。

PAAはどのように食品に移行するのか?
印刷されたナプキンが食品を提供したり包んだりするのに使われる時、印刷面が食品と長期接触することになり、この時印刷インク成分が移行する。食品が長期間紙の包装で保管される場合にも同じことが当てはまる。

PAAは消費者に健康リスクを引き起こす?
健康の観点から、このクラスの物質のいくつかについては発がん性の可能性を考慮しなければならない。大多数のPAAがこの点で安全である一方、いくつかのPAAはヒトに発がん性があることが知られている。動物実験に基づき人に発がん性の可能性があるとみなされているものもある。カラフルな印刷の紙ナプキンとパン屋さんの袋やその他の印刷された食品と接触する品は、食品に移行すると、ある種のPAAが健康リスクとなるかもしれない。

材料と品物からのPAAの移行に関し、どのような食品接触規制が適切だろうか?
食品と接触する用途のプラスチック材料と品物に関するEU規則No. 10/2011に従うと、明確に評価されていないPAAの移行は合計で検出されてはならない。この要求の検出限界として、食品1kgにつき0.01マイクログラムの値が定められている。この最大許容量は他の材料からのPAA移行評価にも使用されている。

BfRは何を助言しているのか?
BfRは発がん性があると分類されたPAA移行の限界値をレビューするよう助言している。この物質と消費者の接触は最小限にするべきである。BfRの意見では、このPAAにはALARA原則が適用されるべきであり、すなわち食品と接触する用途の材料中には技術的に実現可能な限り少なくするべきである。PAAの既存の総限界値を補足するために、BfRは発がん性がある、あるいは発がん性の可能性があると分類される個々の物質の移行に関する追加規制を助言している。これらの食品あるいは食品模倣物へのPAA移行は、既存の総限界値の5分の1にあたる食品あるいは食品模倣物1kgあたり0.002mgの検出限界で検出可能であってはならない。この助言は食品接触規則(「印刷インク規制」)の改訂に関する現在の規則案で取り上げられる。BfRはさらに発がん性のある芳香族アミンを含まない着色顔料のみを使用するべきだと助言している。

消費者は何ができるか?
BfRの助言は主に管理機関や生産者に向けられている。「印刷用インク規制」が実施されるまで、関心のある消費者は単純に食品を印刷された紙で長期保存するのを避けたり、食品を印刷されたナプキン(色の幅が黄色‐オレンジ‐赤)で包むのを控えたりできる。