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動物に使用する抗生物質:使用量と耐性の低さは確認されたが、努力は続けなければならない

Antimicrobials for veterinary use: lower levels of use and resistance are confirmed, but efforts must continue
04/11/2014
https://www.anses.fr/en/content/antimicrobials-veterinary-use-lower-levels-use-and-resistance-are-confirmed-efforts-must
抗生物質耐性はヒトと動物用医薬品双方にとって重要な公衆衛生問題である。フランスでは抗生物質の合理的な利用を促進するために多くの手段がとられている。たとえば、ANSESの国立動物用医薬品局(ANSES-ANMV)は1999年に動物用抗生物質販売のモニタリングを始めた。本日、動物の健康における抗生物質耐性についての半日会議で、ANSESは2013年のフランスにおける動物用抗生物質の販売に関する年次報告書と、リヨンとプルフラガンの研究所で調整された動物由来病原菌の抗生物質耐性監視ネットワーク(Resapath)の2013年度報告書を発表する。初めて抗生物質への暴露量が1999年よりも低くなり、それと同時に多くの動物生産部門における重要な抗生物質への耐性が低下した。だが努力は続ける必要があり、特に家庭用動物(イヌやネコ)など、ある種の動物の重要な抗生物質の使用量の増加は念入りに監視するべきである。

2013年の抗生物質の販売:1999年以来最低の暴露量
2013年の抗生物質の総販売量は699トンになった。全動物種の抗生物質暴露量は初めてモニタリング計画が開始された1999年より低くなった(-5.5%)。また2013年の総暴露量は2012年と比べて7.3%下がり、この5年間で15.7%減少している。だが、この全体的な傾向は対象動物と化合物の種類により異なる。イヌネコ、家禽、ブタ、家畜では抗生物質の暴露は減少しているが、ウサギでは増加している。この5年間で経口暴露は24.3%減少しているが、注射による暴露は9.4%増加している。経口暴露が減少しているのは調合薬の利用の減少による。この変化は予防用の抗生物質の使用の減少を反映しているためと思われる。
重要な抗生物質である第3第4世代のセファロスポリン類とフルオロキノロン類の暴露はここ数年安定しており、全動物種では2012年と比較して減少しているにもかかわらず、家庭用動物(主にイヌとネコ)での暴露は増えており、注意深く監視するべきである。
また、新世代のセファロスポリン類を自主制限したブタでは減少幅が大きい。2014年6月に発表された意見では、ANSESは新世代の抗生物質の使用を見合わせるよう助言している。

抗生物質耐性:2006年以来耐性率は全体的に低下傾向
RESAPATHネットワークは動物の病原細菌の抗生物質耐性の傾向を監視し、病気の流行を発見し分子メカニズムを同定するのに役立っている。ネットワークの範囲は拡大しており、2013年には67の研究所が33428の耐性記録を集めている。重要な抗生物質への耐性の低下は見られるものの、全ての種、全ての抗生物質に当てはまるわけではない。少なくても3種類の抗生物質にマルチ耐性があると考えられている。大腸菌に関して、特に牛、豚、馬と犬によくみられるが、雌鶏とヒヨコ、七面鳥にはあまりみられない現象である。

新しい目標とより正確なデータを得るための構想進行中
ANSESは抗生物質の使用に関し、動物の種ごとに、より正確なデータを得る必要性を感じている。6月に発表したリスク評価では、農場での抗生物質の投与現場近くでの長期監視ツールの導入を助言した。さらに動物分類と生育段階ごとの抗生物質の暴露量のより良い見積もり方法を開発中である。これらの方法で、近い将来、生産分野での実際の使用量の文書化が改善されるだろう。今年すでに牛と魚の結果が得られ、会期中に議論される予定である。
近年観察された抗生物質の暴露の低下は、全体と種ごとの双方で、抗生物質の合理的利用に関して行われた多様な方法のプラスの影響を確認したようだ。2年間で12.7%の削減が観察され、5年間で25%まで使用削減することを目標とした2017年のEcoAntibioと今のところ一致しているが、それでもなお野心的な目標に到達するには努力が必要である。

追加情報
・RESAPATHネットワーク
https://www.anses.fr/en/content/r%C3%A9sapath-network-0
・動物用医薬品市販後安全性監視
https://www.anses.fr/en/content/pharmacovigilance-0
・動物用抗生物質の販売調査
https://www.anses.fr/en/content/monitoring-sales-antimicrobials