食品安全情報blog過去記事

はてなダイアリーにあった食品安全情報blogを移行したものです

論文等

  • はしかに反対する良い攻撃を高める

Mounting a Good Offense against Measles
Walter Orenstein, M.D., and Katherine Seib, M.S.P.H.
N Engl J Med 2014; 371:1661-1663October 30, 2014DOI
http://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMp1408696
米国でのはしか症例が2014年はさらに増加した−2000年に米国から、2002年にアメリカ大陸からはしかウイルスが根絶されたと宣言されたにもかかわらず。この再興には主に二つの理由がある。一つは他国ではまだはしかウイルスが相当循環していて旅行により運ばれること。二つ目は米国の保護者のこどもへのワクチン接種躊躇の増加である。
はしかは最も伝染性の高いワクチンで予防できる病気の一つで、1人が感染すると平均12-18人に感染させる(R 0=12-18)。集団免疫は通常(R 0−1)÷R 0で計算されるのではしかの場合は持続的感染拡大予防のための閾値は92から94%で他の予防接種で予防できる病気より必要な接種率が高い。これより高い予防接種率であっても流行することがある。米国では合併症による死亡率は0.2-0.3%と推定されているが途上国では2-15%である。2012年は122000人の子どもたちがはしかで死亡したと推定されている。
中略
我々はワクチンへのためらいを克服しなければならない。ワクチンの安全性については圧倒的根拠があるにもかかわらずあまりにも多くのヒトがワクチンによるリスクの方がワクチンを接種しないリスクより大きいと信じている。予防接種計画の成功によりはしかを見かけることが少なくなったことがはしかは怖くないという間違った印象を与えている。

  • 昆虫耐性トウモロコシはメキシコで収量を増やし殺虫剤の使用を減らせる

Insect-resistant maize could increase yields and decrease pesticide use in Mexico
17-Nov-2014
http://www.eurekalert.org/pub_releases/2014-11/esoa-imc111214.php
Journal of Integrated Pest Managementに発表された2010-2013年のメキシコでのトウモロコシの害虫による収量減少データを解析した研究。オープンアクセス。

  • 心血管系イベント予防のためのアスピリンは何時使うべきか?

When Should Aspirin Be Used for Prevention of Cardiovascular Events?
Editorial | November 17, 2014
J. Michael Gaziano,; Philip Greenland
http://jama.jamanetwork.com/article.aspx?articleid=1936752
使用歴は100年を超え、アスピリンは医薬品史上最も良く研究された薬物の一つである。解熱鎮痛作用以外に血小板凝集を強力に不可逆的に阻害する。この独特な作用から心筋梗塞脳卒中のような血栓イベントリスクを減らす効果がある。しかしこの作用は出血リスクも増加させる。従って出血リスクと血栓予防のバランスが臨床的使用を決める。一般論として血栓リスクが高いほどアスピリンのメリットは大きい。
ISIS-2試験では急性心筋梗塞の場合は毎日アスピリンを使用することが血管系の死亡リスクを23%下げた。また急性の虚血性脳卒中でも有効性が示されている。急性の血栓の溶解を助けて血流を再開する場合にはアスピリンの利益は遥かに短期リスクを上回る。
心血管系疾患既往の患者では低用量アスピリンは長期的利益があることが示されている。
急性期でのメリットと二次予防効果から、一次予防作用があるかどうかを調べたくなるのは理論的である。1980年代からいくつかの大規模試験が行われてきた。男性医師の大規模試験から始まったこれらの試験では二次予防より効果は小さいながら主要血管イベントの減少が示されていた。しかし一次予防試験では全体の心血管系イベントリスクが極めて低くアジア人のデータは乏しい。今号のJAMAに日本のJPPPの結果が報告された。この試験では60才以上の高血圧・脂質異常症あるいは糖尿病の14658人に1日1回100mgの腸溶アスピリンの影響を調べた。当初6.5年のフォローアップが計画されていたが5年後に一次エンドポイント(心筋梗塞脳卒中、CVDによる死亡)で意味のある差がなかったために中止された。心筋梗塞と一時的虚血発作の二次エンドポイントでは削減が見られたが重大な出血イベントリスクが増加した。これらの結果は頭蓋内出血リスクが高い以外は西洋での一次予防試験と一致している。
参加者は60才以上でCVDリスク要因のある人であったがイベント発生率は予想より少なく、検出力は小さい

Low-Dose Aspirin for Primary Prevention of Cardiovascular Events in Japanese Patients 60 Years or Older With Atherosclerotic Risk Factors
Yasuo Ikeda
http://jama.jamanetwork.com/article.aspx?articleid=1936801
オープンアクセス
アスピリンでこの結果なのだから「血液サラサラ」とか宣伝しているものが如何に役立たずなのか認識すべきだよね。本当に「効果」があったら「重大な出血」リスクが高くなるよ?)

  • 医薬品試験が心疾患治療のためにコレステロールを下げることの重要性を支持

Natureニュース
Drug trial supports importance of low cholesterol to treat heart disease
Heidi Ledford 17 November 2014
http://www.nature.com/news/drug-trial-supports-importance-of-low-cholesterol-to-treat-heart-disease-1.16360
エゼチミブはコレステロール濃度を下げることが示されていたが心疾患対策になるかどうかについては議論があった。しかし今回、他のコレステロール薬と一緒に投与すると心血管系イベントを6.4%下げることが示された。影響は有意ではあるが小さい。それでも一部の科学者はこれはLDLコレステロール濃度を下げることが心血管系イベントを下げるという「低い方が良い」仮説を確認するものだという。問題はさらに追加でLDL濃度を下げることが臨床的な利益になるかどうか、であった、とBrigham and Women’s 病院の心臓専門医Christopher Cannonは言う。答えはイエスだった。AHA学会での発表。
ただし低いことが常にいいわけではない、とYale大学の心臓専門医Harlan Krumholzは警告する。

  • 謎のヒトデの死亡に最初の手がかりがみつかった

First clues found in mysterious sea star die-off
Danielle Venton 17 November 2014
http://www.nature.com/news/first-clues-found-in-mysterious-sea-star-die-off-1.16359
DNA解析で北米太平洋岸のアウトブレイクにデンソウイルスが関連
PNASに発表。しかし謎は残る:何故突然昔からいるウイルスが流行したのか。