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CONTAMパネルのメンバーである、Dr. Bruce Cottrill氏のインタビュー

Interview with Dr. Bruce Cottrill, Member of the CONTAM Panel
7 November 2014
http://www.efsa.europa.eu/en/press/news/141107a.htm
マイコトキシンは主にアスペルギウス属、ペニシリウム属、フザリウム属に属する様々な種類の菌類が作る有害化合物である。それらは一般に、主に穀物などの汚染された食品と飼料作物からフードチェーンに入る。Dr. Bruce Cottrill氏は動物の栄養学の専門家で、フードチェーンにおける汚染物質に関するEFSAのパネル(CONTAMパネル)の一員である。そのパネルのマイコトキシンに関する作業グループで長く務めている一員として、Dr. Cottrill氏は近年、EFSAのマイコトキシンのリスク評価に関与してきた。2004年以来、パネルは主にフザリウム属の毒素類に関する20の科学的意見を出しており、EFSAにとって初めてとなるある種のフザリウム属の毒素の代謝物質の1つとマスクされた型を含むその他4つの意見を現在準備中である。
全体として、パネルはマイコトキシンに関する作業から何を学んだのですか?
Dr. Bruce Cottrill氏(以下B.C.):マイコトキシンの最大濃度は穀物穀物製品に見られ、結果としてそれはヒトと動物の暴露の両方に大きく寄与する。入手可能な発生データに基づき、EFSAの包括的欧州食品摂取データベースを用いた様々なマイコトキシンの慢性と急性の食事からの暴露推定は、人口集団の多くにとって健康を基にしたガイダンス値より一般的に低かった。食品と飼料中にこれらの毒素が存在することが何年もの間わかっていたにもかかわらず、現在入手可能な毒性試験にはまだ明らかな欠点があり、遺伝毒性及び発がん性に関する知識にはいまだに大きな埋めるべきギャップがある。
この作業はどのような影響を持つのですか?
B.C.:これらの科学的意見は欧州委員会リスク管理者の要請で作られており、食品と飼料の最大限度量を設定するのに利用される。それによってヒトと家畜の有害影響のリスクを最小化している。マイコトキシンの発生と毒性知識の現状の包括的レビューの形で、その意見はより広範な科学コミュニティ社会に利用可能であり、それゆえ将来の研究の優先事項を確認するためのベースを形成している。
パネルはマイコトキシンの作業について何か特別な課題を見つけているのですか?
B.C.:これらの毒素の多くにはin vivo毒性データがないので完全リスク評価が難しい。さらに、これらの意見の多くは個々の毒素を取り扱っている:それは単独で作用するようには思えないが、他のマイコトキシンとの複合暴露影響についてのデータはあまりなく、どんな影響があるのかを決めるには不十分である。同時に、発生に関するデータベースは限られており、結果としてヒトや家畜にとっての信頼できる暴露推定量を出すのは難しい。ほかにもニバレノールや新興毒素エンニアチンとビューベリシンなどは妥当性を検証された分析方法がなく認証された標準品がないことから、信頼できる暴露推定量を出すことは不可能である。
パネルはどうやってこの課題を克服したのですか?
B.C.:パネルがこの不足を克服するためにとれる直接対応はほとんどないが、各科学的意見には、リスク管理者と広範な科学コミュニティ双方に向けて、リスク評価を改善するためのさらなる研究助言を含んでいる。
これは将来のマイコトキシンに関する科学的作業に役に立つのですか?
B.C.:広範な科学コミュニティにとっては役に立つ可能性のある研究分野の指標を提供し、一方国家機関には特定の食品と飼料の監視改善がリスク評価を改善することを示している。さらに、EFSAは確認されたデータギャップを満たすために研究プロジェクトに助成金を与え、EU加盟国のいくつかの機関はこれらのEFSAのプロジェクトで新データを作り出している。
これらの意見へのあなたの個人的な寄与は何ですか?
B.C.:マイコトキシンを作りだす原因である菌類は通常、家畜とコンパニオンアニマル(たとえば馬、ペット)のえさの重要な原料である穀物に見られる。アスペルギウス属、ペニシリウム属、フザリウム属の毒性は動物の病気の多くと関係があり、ゆえに汚染された飼料はこれらの動物に直接的な健康リスクを引き起こす。さらに、それらは摂取後、動物製品(牛乳、肉、卵)に移行すると、それらはヒトへの間接的な健康リスクの可能性も意味する。私はEUの畜産に関心のある動物栄養学者として、様々な家畜が摂取する飼料、特に穀物穀物副産物、飼料穀物の量に関してパネルに助言し、濃度データを用いて様々なマイコトキシンの暴露量を推定してきた。これらのデータを有害影響がない暴露量と比較して家畜へのリスクの可能性を同定する、それから動物由来の飼料から食品に持ち越される公表された推定量を用い、家畜製品を消費するヒトへのリスクの可能性を確認する。
あなたの関与は自身の科学的研究に対するアプローチにどのように影響を与えたのですか?
B.C.:パネルと作業グループでの経験は、私にとって、リスク評価分野で異なる学問分野にまたがるコミュニケーションと協調の重要性を再確認させた。詳細に重点的に取り組むほうがしばしば簡単であるが、より広い文脈の中で見ることが必要である。