食品安全情報blog過去記事

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その他

  • ACSHが選ぶ2014年十大健康恐怖

ACSH
ACSH’s Top 10 Health Scares of 2014
December 15, 2014
http://acsh.org/2014/12/top-10-scares-2014/
10. Food Babeがサブウェイのパンのアゾジカルボンアミドを攻撃
9.ベビーシャンプーの保存料(有効成分ホルムアルデヒド
8.グルテンが健康に悪い
7.出産前の農薬暴露が自閉症と関連
6.フラッキングが飲料水を汚染
5.電子タバコの液状ニコチンで子どもが中毒になる
4.医療検査(スキャン)でがんが流行
3.GMOは安全でない
2. Robert F. Kennedy Jrがワクチンのチメロサールが危険という本を出した
1. 出産前のフタル酸暴露が子どものIQ低下と関連
(日本だとなんだろう?子宮頸がんワクチンで騒いでいるのは日本だけのようだが。)

  • 「尿有害金属」検査がどうやって患者を騙すのに使われるか

Quackwqatch
How the "Urine Toxic Metals" Test Is Used to Defraud Patients
This article was revised on December 4, 2014.
http://www.quackwatch.org/01QuackeryRelatedTopics/Tests/urine_toxic.html
Doctor's Dataと共謀して行う誘発検査で、存在しない「重金属中毒」と診断してキレート療法やサプリメントを売りつけるやりかたの解説。
10代の自閉症の少年にキレート療法を行っていたStephen L. Smith医師の懲戒の事例追加

Resveratrol: Don't Buy the Hype
Stephen Barrett, M.D.
This article was revised on December 11, 2014.
http://www.quackwatch.org/01QuackeryRelatedTopics/DSH/resveratrol.html
これまでの経緯
フレンチパラドックスの原因と言われ心血管系疾患予防になるのではと研究されていたものが「アンチエイジング」を謳って注目されるようになったのはサーチュイン遺伝子との関連。レスベラトロールの作用を真似る化合物を開発してベンチャーSirtris Pharmaceuticalsを設立し2008年にグラクソスミスクラインが$720 millionで買収した、あたりがピーク。しかし2012年にレスベラトロールの宣伝者Dipak K. Das, Ph.Dに多数の研究不正があったことが発表され2014年までに彼の論文20報が取り下げられている。Dipak K. Dasは2013年死亡(67才)。
グラクソスミスクラインは2013年にSirtrisを閉鎖・医薬品開発部門を吸収しSirtris 従業員60人を解雇。日本では何故か既に怪しいという評判がたっていた2011年にNHKスペシャルがやたらと持ち上げてサプリメントが売れたらしい。NHKはその後もちゃんと報道すべき。)

  • 時間とともに年をとる:加齢を治療しようとした過去の試みから学べること

Old as time: What we can learn from past attempts to treat aging
Erika Check Hayden
Nature Medicine 20, 1362–1364 (2014)
1889年に内分泌学の先駆者Charles Edouard Brown-Séquardはイヌとモルモットの精巣の抽出物を注射したら若返ったと言った。何千人もの医師がこの「若返りの薬」として販売された抽出物を患者に注射し始めた。他の研究者はこの商売魂を嘲笑したが最終的にはホルモンの発見につながった。奇妙で絶望的な加齢を終わらせようという試みは人類そのものと同じくらい古い。より洗練されたツールをもつ今日の研究者ですら老化予防薬の探索は偽物をつかむことが多い。この分野に二つの新しいプレイヤーが参入した。2013年9月にgoogleが出資して始まったCalicoとHuman Longevityである。Calicoは高齢者がなりやすい疾患を標的にした医薬品開発を目指しHuman Longevityはヒトの長寿に関するビッグデータを解析する。アンチエイジング作用が期待されたサーチュインは後退し、ラパマイシンが有望候補になっている。
(医薬品開発の話なのでいろいろ略。ポイントはレスベラトロールはもう誰も期待していないということ。健康食品業界は宣伝し続けるだろうけれど)

  • 最初の特許切れGMOにより特許の問題でのGMO反対主張は終わった

The Patents Argument Against GMOs Just Ended With the First Off-Patent GMO
December 12, 2014 by Ramez Naam
http://rameznaam.com/2014/12/12/the-patents-argument-against-gmos-just-ended-with-the-first-off-patent-gmo/
モンサントの最初の商用遺伝子組換え作物ラウンドアップレディ大豆の特許が2014年の栽培シーズンで切れる。Arkansas大学が、何度も植えられるラウンドアップレディ大豆を無料で提供すると発表した。どんな農家でも特許料を支払うことなくこの植物を育て、種子を再び植えることができる。ラウンドアップの有効成分であるグリホサートも数年前に特許切れでジェネリック版が販売されているので、モンサントに一円も払うことなくモンサントの開発した製品を使うことができる。
特許とはこのように働くものだ。開発者は一時的に開発に報いるための独占権を得るが、社会は永久に開発の利益を得る。今後も多くの作物が特許切れになる。

  • 脳の加齢による変化にライフスタイルが関連

Age UK
Lifestyle linked to changes in brain ageing
15 December 2014
http://www.ageuk.org.uk/latest-news/lifestyle-linked-to-changes-in-brain-ageing/
5つの要因で認知症リスクを最大36%減らせることがわかった
学術研究やデータのレビューにより、認知機能の低下の約76%はライフスタイルや教育レベルを含む環境要因による。さらに定期的運動、地中海食、禁煙、適度な飲酒がアルツハイマーやその他の認知症発症リスクを下げることが示された。さらに糖尿病、高血圧、肥満の予防や治療が認知症リスクを下げる
運動が最も効果的
45-59才の男性を30年以上フォローした大規模英国研究で、同定されたライフスタイル要因4-5つに従った場合認知機能低下リスクが36%低いことがわかった。特に運動が最も効果的である。
喫煙者はアルツハイマー症例が多い。大量飲酒も脳の組織に損傷を与える。
脳を健康に保つ方法は既に心臓や全体的な健康によいことが証明されているものなので我々みんなが実行してみるのが良いだろう。早ければ早いほどチャンスが大きくなる。

  • オーガニックミルクを飲んだことによる子どもの死亡は避けることができたが、有機農業はマーケティングシステムであって食品安全システムではないことを証明した

An avoidable child death from consumption of organic milk proves this point: Organic farming is a food marketing system, not a food safety system.
Thursday, December 11, 2014
http://gmopundit.blogspot.com.au/2014/12/an-avoidable-child-death-from.html?m=1
(子どもが死亡したミルクを販売していた)食品販売会社Mountain View Organicはそのマーケティングチャンネルの一つに「The Organic Empireオーガニック帝国」という食品販売店を使っていた。他にBelgrave Organics, Belgrave, Peninsula Fresh Organics, Baxter, Bolton Street Deli and Liquor, Elthamなどでも販売していたがこれらは全て「食品店」である。
バスミルクは殺菌していないので食用として販売できない。確かに加工はしていない−安全性を確保するための加工であるが。
さらにMountain Viewの農場ウェブサイトでは食品であるかのようにバスミルクを売っていた。(incredibly tasty信じられないほど美味しい、と宣伝している)
さらにMountain View農場では牛の共同所有という制度を運営していて、これは未殺菌ミルクを販売してはならないという規制を逃れるための方法である。お金を払って共同所有者になると無料で未加工ミルクが入手できるという仕組み。
このようなことをしているということはこの農場は規制を知っているということを示す。
さらにこの農場では化学物質は使わないので牛が病気になったらホメオパシーを使う、とある。当然効果はないだろう。
子どもの死亡に関してMountain View 農場のオーナーのVicki Jonesが答えたことが新聞に記載されている。
「子どもが死亡したニュースがセンセーショナルにミルクの危険性をかき立てすぎている。このミルクが食用ではないことはラベルに書いてある。何故未殺菌ミルクを飲むのかわからない」
これがバスミルクを食品であるかのようにして販売してきた会社の言い分だ。
ナチュラルであることは安全であることを意味しない。
(Mountain View農場の、今は消されたフェイスブックのアカウントのスクリーンショットが貼ってある。2014年10月のThonburyのThe Raw StoreでのFair Food Weekイベントに参加、とある。被害者はこれで納得できるんだろうか?オーガニックなら死んでもいいなんて思っていたはずはない、と思うのだが)