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ヒトの食事の人工甘味料に栄養的価値はない

No nutritional value found for intense sweeteners in the human diet
09/01/2015
https://www.anses.fr/en/content/no-nutritional-value-found-intense-sweeteners-human-diet
アスパルテームステビア抽出物、スクラロースアセスルファムカリウム…高強度人工甘味料は強力な甘味のあるカロリーのない食品添加物グループである。人工甘味料の使用の安全性は定期的に詳細評価されるが、ANSESはこれらの甘味料の栄養的価値を初めて評価した。この初の作業で、これらの物質の消費は体重管理、糖尿病患者の血糖値、2型糖尿病の有病率に有益な効果がないことが分かった。また、甘味料の消費と甘味の習慣性や、糖尿病やがんのリスクを高めることにも関連がないことが示された。これに基づき、ANSESは公衆衛生政策の枠組みで人工甘味料を砂糖の代替品に奨励するのを正当化する納得できる理由はないと考える。
人工甘味料は化学合成により、あるいは植物から得られる。これらの食品添加物は砂糖(蔗糖)の10倍から数千倍強いその甘味のため農業食品会社で使用される。フランスでは、最も一般的な人工甘味料アスパルテームアセスルファムKスクラロースである。それらは砂糖の消費とそのカロリーを減らし、糖尿病患者の血糖値を調整するのに役立てる目的で使用される。おそらく過体重と肥満の倍増に関連した懸念により、人工甘味料の使用と消費は最近20年急激に上昇している。各人工甘味料潜在的なリスクは認可前に評価されているが、それらの製品の栄養的なリスクと利益全体の一般的な評価はいままで欧州レベルで行われていない。
人工甘味料を含む製品摂取の潜在的な栄養的利益とリスク
砂糖の代替品としての人工甘味料の使用は、ほとんどの場合、これらの物質が低カロリーなのでカロリー摂取を短期間減少させる。だが、入手可能なデータはこの効果が長期間維持されることを保証するために十分な時間をかけていない。さらに、成人と子供の体重管理の研究は矛盾した関連を報告している。ある観察研究で、人工甘味料の使用は因果関係が立証されていないが、逆説的に体重増加に関連することを示している。人工甘味料の摂取は2型糖尿病予防に有益な効果がないことを示していて、同様に、砂糖代替品としての摂取には血糖値を整える有益な効果がないように見える。
この専門家の評価を受けて、ANSESは次のように考える:
・栄養的な利益に関しては、入手可能な研究では、人工甘味料を含む製品の摂取は体重管理や糖尿病患者の血糖値調節と2型糖尿病の有病率に有用という証拠を示していない;
・がん、2型糖尿病、早産になるリスクに関しては、現在まで入手可能なデータではこれらのリスクと人工甘味料の摂取とを関連づけられない。しかしいくつかの研究では、人工甘味料とある種のリスクとの関連についてさらなる研究の必要を強調している。
ANSESの助言
この評価で、ANSESは栄養摂取上の広範な長年にわたる人工甘味料の摂取の潜在的な利益に関する関連データ不足を強調した。
これらの製品の摂取の、栄養上の利益とリスク両方の新しい調査研究を行う必要があると強調した。特に:
・子供では:味覚の発達、食の好み、食品摂取管理に関する研究;
・一般の人々では:体重管理に関する研究。
さらに、特定の集団(妊婦、子供、糖尿病患者、定期的消費者)は十分に研究されていない。ゆえにこれらの集団による人工甘味料の摂取リスクのさらなる研究が必要だと思われる。
最後に、ANSESは、主な目的の一つが一般人の砂糖の摂取量を減らすことである栄養政策の中で、公衆衛生の枠組みで人工甘味料を砂糖の代替品に奨励することを正当化する意味のあるデータは存在しないと考える。この砂糖の摂取量を減らすことは、幼児期に甘い食べ物を全体的に減らすことによって達成されるべきである。それゆえANSESは人工的に甘くしたり砂糖で甘くしたソフトドリンクを水の代わりに飲んではならないと助言する。
(いかにもANSESという意見)