食品安全情報blog過去記事

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論文

  • 乳児用ミルクは新生児にとって母乳よりヒ素リスクが高い、Dartmouthの研究が示す

Baby formula poses higher arsenic risk to newborns than breast milk, Dartmouth study shows
23-Feb-2015
http://www.eurekalert.org/pub_releases/2015-02/dc-bfp021815.php
赤ちゃんの尿中ヒ素濃度が、母乳を与えられている場合よりミルクを与えられている場合の方が高い。Environmental Health Perspectivesに2月23日オンライン発表された。
Estimated Exposure to Arsenic in Breastfed and Formula-Fed Infants in a United States Cohort
Courtney C. Carignan, et al.,
http://ehp.niehs.nih.gov/1408789/
(濃度自体は低い。推定摂取量はミルクの場合で0.22 µg/kg/d、母乳で0.04 µg/kg/d)

Water fluoridation in England linked to higher rates of underactive thyroid
23-Feb-2015
http://www.eurekalert.org/pub_releases/2015-02/b-wfi022015.php
Journal of Epidemiology & Community Healthに発表された研究によると、イングランドの一定以上の濃度のフッ素添加は甲状腺機能低下の30%増と関連する。0.7 mg/l以上のフッ素濃度の地域では予想される甲状腺機能低下症の有病率より高い。これは観察研究で因果関係を結論できないが検討が必要。

  • 乳児期のピーナッツ摂取はピーナッツアレルギーを予防する

Study finds peanut consumption in infancy prevents peanut allergy
23-Feb-2015
http://www.eurekalert.org/pub_releases/2015-02/nioa-sfp022015.php
ピーナッツアレルギー発症リスクの高い乳児の食事にピーナッツを導入するとその後のピーナッツアレルギーの発症が81%下がることを臨床試験で発見した。New England Journal of Medicineにオンライン発表。
この研究デザインLearning Early About Peanut Allergy (LEAP)は、イスラエルの子どもたちのピーナッツアレルギーが英国に住むユダヤ人の子どもたちより少ないという観察結果をもとに、乳児期からピーナッツを多く摂取していることがアレルギーの少なさに関連するのではないかという仮説を調べるためのものである。LEAPではピーナッツアレルギー予防のための二つの戦略−乳児期に避けることと食べることを比較した。4-11ヶ月のピーナッツアレルギーハイリスク乳児600人以上を無作為に避ける、あるいは週に6gのピーナッツタンパク質を含む食事を定期的に与える、に割付け、5才まで続けた。5才の時に監視下でピーナッツを経口チャレンジテストしてアレルギーを評価した。全体として、早期からピーナッツを食べ続けた子どもたちのピーナッツアレルギーは、避けていた場合より81%少なかった。
2008年以前は臨床ガイドラインではアレルギーリスクの高い小さい子どもにはアレルゲンとなる可能性のある食品を与えないように薦めていた。しかし最近の研究では避けることのメリットはないことが示されていた。そしてLEAPは早期導入のメリットを初めて示した。LEAPのフォローアップ研究LEAP-OnではLEAPの参加者に1年間ピーナッツを避けてもらい、継続的摂取がピーナッツトレランス維持に必要なのかどうかを調べる。

関連
Scienceニュース
ピーナッツを食べることはアレルギーを予防する
Eating peanuts prevents allergy
By Jennifer Couzin-Frankel 23 February 2015
http://news.sciencemag.org/biology/2015/02/eating-peanuts-prevents-allergy
過激なように聞こえるかもしれないが効果があった:ピーナッツを食べることは、少なくとも発症リスクの高い子どもたちではピーナッツアレルギーを減らす、待望の研究が発見した。この結果は長く考えられてきた説−アレルゲンとなる可能性のあるものを食べることがアレルギー予防になる−を医学の主流に踊り出させる。
この結果はThe New England Journal of Medicineに発表されると同時にヒューストンで開催されているアレルギーの学会で発表された。この種の研究としては過去最大で最長の試験である。
(とても大きなニュース)

Climate science literacy unrelated to public acceptance of human-caused global warming
23-Feb-2015
http://www.eurekalert.org/pub_releases/2015-02/yu-csl022315.php
Advances in Political Psychologyに発表されたYale大学の研究によると、気候変動に関する見解の相違に一般市民の科学リテラシーの違いは関係がない。むしろ科学リテラシーテストで成績の良い人たちの方が人為による気温の上昇について最も政治的に分極している。
アメリカにとっては。自分の信念に見合う「科学的根拠」を一生懸命探すせいだろう。ところで日本ではどうなんだろう。気候変動リスクは無視しているように見える)

  • 日本南部の院外での肺炎発症に関連する低アルブミン血症、インフルエンザ予防接種、その他要因:症例対照研究

Hypoalbuminemia, influenza vaccination and other factors related to the development of pneumonia acquired outside hospitals in southern Japan: A case-control study.
Masakazu Washio et al.,
Geriatrics & gerontology international. 2015 Feb 5; doi: 10.1111/ggi.12456
聖マリア学院大学(福岡県)
地域に住む高齢者では低アルブミン血症が肺炎の危険因子である可能性が示唆された
肺炎患者では、コントロールと比較して、低アルブミン血症(3.5g/dL未満)と低BMI(18.0未満)が多く認められた
年齢、性別、病院、上述の因子による調整後も、低アルブミン血症は肺炎リスクを増加させた(OR:9.19、95%CI:3.70〜22.81)
(栄養不良。年寄りに粗食薦めるのって害しかない)