食品安全情報blog過去記事

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フィールドからの報告:汚染ダイエタリーサプリメントに関連する未熟児の致死性消化管ムコール菌症−コネチカット、2014

Notes from the Field: Fatal Gastrointestinal Mucormycosis in a Premature Infant Associated with a Contaminated Dietary Supplement — Connecticut, 2014
MMWR
February 20, 2015 / 64(06);155-156
http://www.cdc.gov/mmwr/preview/mmwrhtml/mm6406a6.htm?s_cid=mm6406a6_w
2014年10月、コネチカットの病院からCDCに致死性消化管ムコール菌症の報告があった。妊娠29週で1400gで生まれた乳児が生後1週間で壊死性腸炎の症状を呈し予備開腹で食道から直腸までの消化管の完全な虚血が明らかになり、壊死した盲腸の一部を検鏡した。手術後に乳児は大動脈の巨大な血栓を含む多数の血管閉塞をおこしたが、これらは通常壊死性腸炎では見られない。間もなく乳児は死亡した。組織検査の結果血管侵入性の真菌感染がありムコール菌症と一致する。消化管ムコール菌症は極めて希である。調査の結果この乳児は生後1日目からダイエタリーサプリメントABC Dophilusパウダーを与えられていたことがわかった。
乳児が与えられていたものと同じロットの未開封ABC Dophilusパウダーを病院の微生物実験室で培養したところムコール菌症の原因となりうるRhizopus(クモノスカビ)種が得られた。その後CDCがRhizopus oryzaeであることを確認した。患者の組織ブロックから回収した真菌DNAの配列は未開封サプリメントから得られた真菌のものと一致した。
CDCとFDAコネチカット保健省が調査を開始した。ニュージャージーにあるSolgar社はこの製品を生きたBifidobacterium lactis, Streptococcus thermophilus, Lactobacillus rhamnosusを含むプロバイオティクスとして特に乳幼児用に宣伝していた。2014年11月14日にSolgar社はいくつかのロットのリコールを発表しCDCは警告を出した。
CDCは他の症例を探索したがこれまでのところ見つかっていない。
2014年12月9日にFDAは生きた細菌や酵母を医薬品として使用している(治療や予防)医療従事者にはFDAに対して実験的新薬としてのレビュー申請をするよう薦める文書を発行した。
http://d.hatena.ne.jp/uneyama/20141118#p2の続報