食品安全情報blog過去記事

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論文等

  • オート麦朝食シリアルはカビに関連した毒素を含むかもしれない

Oat breakfast cereals may contain a common mold-related toxin
25-Feb-2015
http://www.eurekalert.org/pub_releases/2015-02/acs-obc022515.php
Journal of Agricultural and Food Chemistryに報告された米国で販売されているオート麦ベースの朝食シリアルのオクラトキシン濃度についての報告。
トウモロコシ、コメ、小麦、オート麦ベースの500検体を調査しほとんどのオクラトキシン濃度はEU基準以下だったがオート麦の8%がEU基準を超過していた。
Significance of Ochratoxin A in Breakfast Cereals from the United States
Dojin Ryu and Hyun Jung Lee
http://pubs.acs.org/doi/abs/10.1021/jf505674v

Vitamin D Research and Clinical Practice
At a Crossroads
JoAnn E. Manson, Shari S. Bassuk
JAMA. Published online February 19, 2015. doi:10.1001/jama.2015.1353
http://jama.jamanetwork.com/article.aspx?articleid=2165869
ビタミンDは骨の健康にとって重要であることは長い間認識されてきたが、近年は骨以外の利益について関心が高まっている。多くのプライマリケアの医師が、患者に、がんや心血管系疾患、糖尿病、自己免疫疾患、認知機能低下などの予防の可能性があるとしてルーチンで血中ビタミンD濃度を測定しビタミンDサプリメントを薦めている。その結果、ビタミンD検査の数とビタミンDサプリメントの売り上げが近年増加している。
しかしビタミンDサプリメントを摂るという臨床上の熱意はその有効性に関するエビデンスをはるかに追い越している。USPSTFは最近の系統的レビューで診療の際のルーチンでのビタミンD濃度測定を薦めるには根拠が十分でないと結論した。IOMも同様の結論を出している。
ビタミンDの至適濃度についてのコンセンサスが無いだけでなく、よく使われている25(OH)Dの検査の妥当性にも疑問がある(生物学的に利用可能な、あるいは遊離のものの濃度の方が総濃度より重要ではないかという指摘)
ビタミンDが骨の健康以外にもメリットがあるのではないかということは最初地域相関研究から示唆された。その後実験室でありそうなメカニズムが提示され、いくつかの観察研究で支持する結果がある。しかし観察研究の結果は一貫していない。またいくつかのコホートでは高濃度ではかえって有害なのではないかということが示唆されている。
質の高い無作為化した臨床試験が必要である。高用量サプリメントについては過去の栄養素の経験からも注意が必要である。ベータカロテン、ビタミンE、セレンなどが初期の知見で良さそうだったものがその後の臨床試験で効果が認められずむしろリスクを明らかにしてきた。
ビタミンDサプリメントについて懐疑的な研究も増加してきている。
現在進行中の大規模試験の結果が出るまで、医師は過剰検査や過剰投与は避ける方が良いだろう。

  • The Lancet:ADHDの人々は2倍早期死亡しやすい、しばしば事故により

The Lancet: People with ADHD are twice as likely to die prematurely, often due to accidents
25-Feb-2015
http://www.eurekalert.org/pub_releases/2015-02/tl-tlp022415.php
32000人以上のADHDを含む、デンマークの200万人近くを最大32年フォローした大規模全国コホートのデータから。フォローアップ期間のADHDのヒトの死亡は107人。半分以上が事故。

  • 100万人研究で炎症抑制の長期影響を調べる

Million man study examines long-term effects of blocking inflammation
25-Feb-2015
http://www.eurekalert.org/pub_releases/2015-02/uoc-mms022415.php
Lancet Diabetes and Endocrinologyに発表された論文によると、炎症は心血管系疾患から守る作用があるかもしれない。インターロイキン1の遺伝的変異をもつ個人(つまり天然のインターロイキン1阻害)は関節リウマチ発症リスクが少ない。これは予想通りである。2型糖尿病や虚血性脳卒中には関連がない。しかし驚くべきことに冠動脈心疾患リスクが高い。