食品安全情報blog過去記事

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その他ニュース

MMR survey: Anti-vaxxing parents unmoved despite measles outbreak
http://www.digitaljournal.com/life/health/mmr-survey-anti-vaxxing-parents-unmoved-despite-measles-outbreak/article/427924
先週(2月22-28日)カナダで行われたトロントの公共調査企業による電話調査によると、MMRワクチンを拒否してきた保護者ははしかのアウトブレイクがあっても考えを変えることはない。1-14才の子どもがいてMMRワクチンを拒否している1013人の調査。
回答者の39%は収入10万ドル以上、38%は大卒。宗教的理由でワクチンを拒否しているのは19%。
(ビリーバーを変えるのは難しい。だから予防が大事、なんだけど予防は効果を実感しにくいので軽視される。)

SMH
Backlash over app developer Belle Gibson's missing charity money
March 9, 2015
http://www.smh.com.au/digital-life/digital-life-news/backlash-over-app-developer-belle-gibsons-missing-charity-money-20150309-13yzd4.html
メルボルンの起業家でThe Whole Pantry の創設者Belle Gibsonについて、集めた募金が支払われていないことが暴露された。さらにThe Whole Pantryのフェイスブックのネガティブコメントを削除し、ソーシャルメディアで募金を集めることについて疑問を提示する人をブロックするなどの行為に批判が集まっている。また彼女がかつてがんだったのに自然療法で治ったという主張に疑義を呈するコメントも削除されている。26才の彼女は末期の脳腫瘍だったが栄養療法とライフスタイルでがんを克服した若い母親というストーリーで売っていた。
(アプリはグルテンフリー砂糖なしレシピとかそれっぽいライフスタイルの提案とかいうものらしい。私はこれでがんが治ったと主張するヒトのレシピ本って典型的なパターン)

  • 大規模健康研究にスマートホンを使う準備

Natureニュース
Smartphones set for large-scale health studies
Helen Shen 10 March 2015
http://www.nature.com/news/smartphones-set-for-large-scale-health-studies-1.17083
Appleが生命医学研究用モバイルプラットフォームを導入
3月9日にAppleiPhoneベースの研究者向けプラットフォームResearchKitを発表した。現在カリフォルニアのCupertinoが5つのアプリをデビューさせている。
これらについてResearchKitを開発したSage Bionetworksの社長Stephen Friendにnatureがインタビューした
(食事調査にスマートホンは使えると思うんだけどな)

  • Hippocrates Health InstituteのBrian Clementは医療行為の中止を命令された

Brian Clement, Hippocrates Health Institute head, ordered to stop practising medicine
Connie Walker, Marnie Luke CBC News
Feb 24, 2015
http://www.cbc.ca/m/touch/health/story/1.2968780
(カナダCBCニュースがずっと報道している件、まとまっている)
フロリダにあるスパの院長Brian Clementに対し医師免許無しでの医療行為の中止と医師であると偽っていたことについての罰金が命令された。
7月に11才の先住民の少女Makayla Saultが、ハミルトンのMcMaster子ども病院での化学療法を止めてHippocrates Health Instituteに入院した。
Makaylaは白血病の再発で先月死亡した。オンタリオの検視官が調査中。
昨年8月には匿名の11才の少女JJが入院している。この二人の事例についてはBrant Children's Aid Societyが調査を要求したが介入はしなかった。JJの母親はCBCに対してClementと話し合って娘は化学療法を止めるべきだと確信したという。Clementは彼女を救えると言ったのでその日に化学療法を中止した。一方Clementは母親にそんなことを言っていないという。
JJはレーザー療法、ビタミン静脈注射をされていて厳格なローフード食を2年するよう言われている。
Clementはフロリダ保健当局から2015年2月10日に医療行為の中止を命令された。罰金は3738ドル。保健省の調査はまだ続いていて、さらに告発がある可能性もある。フロリダでは無免許の治療は重罪なので実刑もあり得る。
一方Hippocrates Health Instituteのもと従業員がClementを訴えている
Clementはナチュロパスドクターを自称していたがUniversity of Science Arts and Technology (USAT)の学長は彼はナチュロパスドクターではないという。さらにUSATはディプロマミルである。
Hippocrates Health Instituteはカナダ人が多く入院している。客の1/3はカナダからでClementはカナダで公演を多く行っている。来月はカルガリーで、4月はバンクーバーで講演する予定だった。CBCが入手したビデオによるとClementは、彼の病院では人々にがんを自分でなおす“heal themselves”方法を教えるのだと言っている。「歴史上のどの病院よりも多くの人をがんから帰還させた。McGillやトロントの病院で治療できなかった人たちが、我々のところに来る。ステージ4のがんが治る」と。

  • 科学コミュニティからの脳トレ産業へのコンセンサス

スタンフォード長寿センター
A Consensus on the Brain Training Industry from the Scientific Community
October 20, 2014
http://longevity3.stanford.edu/blog/2014/10/15/the-consensus-on-the-brain-training-industry-from-the-scientific-community-2/
ベビーブーマーが高齢になり認知機能の衰えについての懸念が増加するに従って、市場はその不安を和らげることを約束する商品を提供している。コンピューターベースの認知機能訓練ソフトウェア−いわゆる脳トレが市場でのシェアを拡大している。消費者はゲームをすれば賢くなると伝えられる。つまり認知機能トレーニングをし続ければ、加齢に伴う認知機能の低下を抑えることができると約束する。製品の利点の過剰宣伝はいつものことだ。脳トレ市場では、同時にそれが科学的根拠に基づいていると宣伝されている。例えばこのゲームは「神経科学者がデザインしました」のように。一部の企業は顧問科学者のリストや文献リストを提示している。しかしながら引用されている研究はその企業のその製品との関連は一部しかないことが多い。さらにピアレビューされた論文であっても批判的評価が行われるためのものである。賢明なアプローチは、単一研究に頼るのではなく研究全体の総合的知見を必要とする。
スタンフォード長寿センターとベルリンマックスプランクヒト開発研究所は世界の主導的心理学者と神経科学者を集めて脳トレについての見解を集め一般向けにコンセンサスを提供しようとした。結論は「脳トレの宣伝はしばしば誇大で誤解を招くものである」。
脳トレの根拠を吟味する際に注意すべきことがある:トレーニングによるメリットを、トレーニングでパフォーマンスが全く向上しないという仮説に対して試験するだけでは十分ではない、ということだ。そうではなく、観察されたメリットが、これまでパフォーマンス向上要因として知られている新しいことを始めたことや動機の変化などの他の要因で簡単に説明できないことを確認する必要がある。脳トレについての宣伝はしばしばそれらを無視している。
現時点では、脳トレをすることでベースにある広範な認知機能が向上したり複雑な日常生活を上手におくれるようになるという根拠はほとんど無い。
加齢についての研究は生涯にわたるヒトの脳の可塑性を示している。世界中の先進国では、生まれた時代が遅いほど長生きで高齢時の認知機能は先に生まれた人たちより高い。成人期の人々のライフスタイルを追跡すると、認知機能を活発に使い、社会活動があり健康的なライフスタイルのヒトの方があまり身体を動かさず社会的にも知的にも活動していないヒトより認知機能の早期低下はおこりにくい。コンピューターベースの認知機能訓練の有効性についての研究は、この観察的知見の実験的根拠を提供したり検証したりするのが目的であろう。初期の結果は期待できるものでさらなる研究は望まれるが、特定の製品を売るためのしっかりした根拠とはならない。
まとめ
我々は脳トレーニングゲームが、消費者に対して、説得力のある科学的根拠がないにもかかわらず認知機能の低下を予防または回復できる科学的根拠があると主張することには反対する。特効薬への期待は、今日得られていている最良の根拠である、高齢時の健康な認知機能は、健康的でいろいろなことに参加するライフスタイルの長期的影響であるということから注意をそらす。誇張された誤解を招く宣伝は高齢者の認知機能低下への不安を食い物にしている。我々はこの分野の注意深い研究と妥当性の検証を続けることを薦める。
(この声明についての署名者リストあり。脳トレ企業との利害関係者もいる。某有名人は当然入っていない)