食品安全情報blog過去記事

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食品包装:極端な高温に再加熱すると物質の溶出リスクが高まる

Food packaging: reheating at exceedingly high temperatures increases the risk of substance migration
25/02/2015
https://www.anses.fr/en/content/food-packaging-reheating-exceedingly-high-temperatures-increases-risk-substance-migration
食習慣や消費パターンの変化は、特に一カ所に定住しない生活や包装の便利性あるいは環境影響に関連し、食品包装分野で業界に革新的な解決方法を求めている。フランス国立消費者研究所との研究開発連携契約の枠組みで、ANSESは電気オーブンや電子レンジあるいは蒸気で温めることができる食品包装に関する比較研究を実施した。この研究の結果から、食品包装からの物質の溶出は一般に低く規制値以下だが、再加熱用の指示に違反するとかなり高まる可能性があることが示された。この溶出リスクを制限するために、ANSESはこの点について使用方法に注意深く従うよう助言する。
規制では使用工程の安全性の責任を製造業者に追わせ、安全で適切な使用のための使用方法を食品容器に表示することも求めている。だが今日まで、包装材料に存在する物質への消費者暴露について、様々な再加熱の影響に関して、科学的文献はほとんど発表されていない。
そこでANSESはフランス国立消費者研究所と協力してこの問題に関する研究を行った。様々な種類の包装(電気オーブンや電子レンジで使用される食品バッグ、蒸気や電子レンジに使用されるバッグ、及びトレー)でいくつかの研究が行われた。
研究されたサンプルで、包装された食品の種類にかかわらず、ポリプロピレンが最もよく使用されるポリマーだった。
電気オーブンや電子レンジで調理されるためにデザインされたポリプロピレン食品トレーに関する研究で、検査は3つの状態(室温、製造業者の推奨に従い電子レンジで加熱、極端に加熱)で行われ、室温に保たれたいくつかのサンプルで、POSHs(潤滑剤として使用される可能性のあるもの)の存在が明らかになった。
特に極端に再加熱(より高い温度で長時間)した場合に、POSH濃度は再加熱中に高くなった。

ANSESの助言
この研究結果から、極端に再加熱すると物質の溶出リスクが高まるため、ANSESは消費者に、食品包装に表示された製造業者の推奨(調理温度と時間)に従うよう助言する。

包装と再加熱方法についての注意
電子レンジを最大限活用するために、ANSESは次の助言をする:
 使用前に台所用品が電子レンジの使用に適していて(これは製造業者が指示するべきである)良好な状態であるかをいつも確かめること。
 電子レンジ調理食品用の使い捨て容器を取っておかないこと(たとえば食品トレーとして再利用しない)。
 食品包装に特別の指示がなければ、低出力で長い再加熱時間を選ぶほうがよい(たとえば、650wで2分の方が1270wで50秒より好ましい)。
 乳幼児の哺乳瓶の再加熱に電子レンジの使用を避けること:食品内にできる温度分布が子供のやけどの原因となりうる。
更に、ANSESは破損した包装や使用跡のある包装の使用は避けるよう助言する。

酸性の食品(トマト、レモンジュースを使用した料理など)に関しては、アルミニウムが食品に溶出して酸味が増すので、アルミホイル内でそのような食品を保存したり再加熱したりしないようにANSESは消費者に強く忠告している。

追加情報
・ANSES添付書類−INC研究開発協定 加熱可能な食品包装に関する比較試験
https://www.anses.fr/en/documents/AnnexeCRDalimentsemballesEN.pdf