食品安全情報blog過去記事

はてなダイアリーにあった食品安全情報blogを移行したものです

論文

  • 購入者の悔恨−モデルは人々が悪いニュースを求めていることを示す

Buyer's remorse -- model shows people demand all that bad news
18-Mar-2015
http://www.eurekalert.org/pub_releases/2015-03/wsu-br031715.php
ネガティブなニュースばかりになる現象を経済科学のプリズムを通して分析したワシントン州立大学のJill McCluskey 教授らの研究がInformation Economics and Policyに発表された。新聞記事を対象に、人々が生活の向上や損失を避けるためにニュースの情報をどう使うのかについて検討した。良いニュースか悪いニュースのどちらかを選んだ場合の消費者の幸福度を解析したところ悪いニュースを読んだ方が個人の利益が大きいことを示した。人々のリスク回避傾向が強力であるため、消費者は悪いニュースが多い新聞を選ぶ。一方で悪いニュースが多すぎると一部の人は鬱傾向になり科学的コンセンサスとは異なる恐怖を高める悪影響がある。

  • 農薬はミツバチのコロニー減少の単一原因ではない

Pesticides not the sole culprit in honey bee colony declines
18-Mar-2015
http://www.eurekalert.org/pub_releases/2015-03/uom-pnt031315.php
Maryland大学の研究者によるミツバチにイミダクロプリドを3年間与えた研究がPLOS ONEに3月18日発表された。冬の生存率の低下のような明確な有害影響を観察するためには最低でも通常暴露される量の4倍の殺虫剤が必要で20倍だとコロニーに重大な影響があった。
(こういう研究はメディアからは無視されるだろう)

  • 健康的な食生活は40代以上の心血管系疾患リスクを1/3減らす

Healthy diet reduces risk of cardiovascular disease by a third in over-40s
18-Mar-2015
http://www.eurekalert.org/pub_releases/2015-03/kcl-hdr031715.php
American Journal of Clinical Nutritionに発表されたKing's College Londonによる中高年男女162人のRCT。対照群は伝統的英国風食生活、処置群は英国の食事助言に従って週に一回油分の多い魚、野菜や果物を増やし精製穀物製品は全粒穀物製品に変更し高脂肪乳製品や肉を脂肪の少ないものにして砂糖と塩を制限した食生活を12週間。その後血圧や血中コレステロールなどのCVDリスク要因を測定した。果物が増えたため結果的に砂糖の摂取量は変わらなかった。変更群ではBMIと血圧、コレステロール濃度が低下した

  • 第4回健康のための腸内細菌叢サミットでエキサイティングなデータが発表される

Exciting data presented at the 4th Gut Microbiota For Health Summit
18-Mar-2015
http://www.eurekalert.org/pub_releases/2015-03/aga-edp031815.php
米国消化器学会からのメディア向け情報
http://www.gutmicrobiotaforhealth.com/gmfh-2015-media-room
その一部
Nutrition and intestinal health: We are what we eat
http://www.gutmicrobiotaforhealth.com/wp-content/uploads/2015/03/05_Collin-Hill_GM-and-diet_EN.pdf
私達は食事をすることで腸内細菌に餌を与えている。食事と腸内細菌叢は相互に影響しあう。食生活で腸内細菌叢は変わる。プロバイオティクスのFAO/WHO定義は「適量を投与すれば宿主に健康上のメリットを与える生きた微生物」であるがInternational Scientific Association for Probiotics and Prebiotics (ISAPP)はこれを維持すべきとしつつもいくつかの例外はあるとしている。死んだ微生物でも効果のある場合はあり生きていても単なる加工助剤の場合もある。また糞便移植はプロバイオティクスには分類されるべきではないだろう。プロバイオティクスのメリットは消化管への影響、特に過敏性腸症候群抗生物質による下痢であり、免疫系や肺や皮膚や脳などその他の影響については一般化できる根拠はない
(まともな研究者なら現時点でプロバイオティクス一般の消化器症状以外の効果を宣伝したりはしない。ヨーグルトに美味しくて栄養がある以上の理由が必要?)

  • ロサンゼルスのファストフード規制は食生活を改善したり肥満率を下げるのに失敗:研究

Fast-food ban in L.A. fails to improve diets or cut obesity, study finds
19-Mar-2015
http://www.eurekalert.org/pub_releases/2015-03/rc-fbi031815.php
Social Science & Medicine
ロサンゼルスのファストフード規制は肥満率を下げなかった:研究
Fast-food restrictions in Los Angeles didn't curb obesity rates: study
Thursday, March 19, 2015
http://www.ctvnews.ca/health/fast-food-restrictions-in-los-angeles-didn-t-curb-obesity-rates-study-1.2287204
2008年に肥満率が高く健康問題に苦労しているロサンゼルスの最も貧困率の高い地域の新たなファストフードレストラン開店を規制する法律ができた。この法律は賞賛されたがRand Corpの研究によると法律の成立後もこの地域の肥満率は増加を続け意味のある効果はなかった。
健康の専門家は単一の介入だけで肥満の問題が解決することはないだろうと言う。