食品安全情報blog過去記事

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ビタミンD研究:まとめ

Vitamin D Research: A Round-Up
by Berkeley Wellness | March 17, 2015
http://www.berkeleywellness.com/supplements/vitamins/other-supplements/article/vitamin-d-research-round
ビタミンD研究は最近多く発表されている
観察研究:仮説をたてる
ビタミンDについての研究の多くは観察研究で、これは一連の人々を追跡してビタミンD濃度のような要因がある種の疾患の発症リスク増減と関連するかどうかを見るものである。このような研究は因果関係の証明ではなく関連があるかどうかを見つける。
骨の健康以外に観察研究でビタミンDと関連すると報告されているものに以下のようなものがある:関節炎、喘息、各種がん(特に大腸)、肺気腫、鬱、認知機能低下や認知症、冠動脈疾患、糖尿病、繊維筋痛症歯周病心不全、高血圧、感染症不妊、炎症性腸疾患、多発性硬化症、筋力の弱さ、肥満、パーキンソン病、乾癬。
臨床試験ビタミンDを調べる
骨についての影響以外のビタミンDプラセボ対照RCTは遥かに少ない。治療が有効かどうかを評価するにはRCTがゴールドスタンダードである。ビタミンDについては通常プラセボサプリメントが比べられるが全体として臨床試験ではメリットが見られていない。これは科学研究ではよくあることである。最も多い研究は骨の健康についてのものであるが、それですら結果は必ずしも一致していない。これは投与量の違いや対象者の健康状態の違い、カルシウムの摂取などが多様なので驚くべきことではない。
それでもカルシウムとビタミンDの摂取量が足りない人にとってこれらが骨の健康に良いことは全体として支持できる。骨以外の健康への影響については規模が小さく短期のことが多く欠陥がある。そのため大規模長期研究が待たれている。
ハーバードが行っている25000人に1日2000IUのビタミンD(とオメガ3錠剤)を与えて5年の心疾患とがんへの影響を調べるVITAL試験の最初の結果は2017年に予定されている。他の主要試験の結果は2020年以降であろう。
レビューと解析で戦う
近年はたくさんの系統的レビューやメタ解析が行われている。メタ解析はたくさんの小規模試験のデータを集めて統計学的検出力を上げる。そのような解析は新しいデータを加えることはないが注目される傾向がある。どのようにして対象となる研究を選んだかによって結果は異なりしばしば矛盾する結果を出す。多くのビタミンDについての観察研究や臨床試験では死亡率データがあるため多くのレビューやメタ解析ではビタミンDが寿命を延ばすのに役立つことを示唆している。しかし観察研究より臨床試験のほうがメリットは小さい。
それでは十分ではないと、BMJに2015年初めにいわゆるアンブレラレビューが発表された。結論としてほぼ全ての提唱されているメリットは、大規模で質の高い臨床試験がないために、不確実なままである

  • ビタミンDが低い:病気の原因なのか結果なのか?

Low Vitamin D: Cause of Disease, or Effect?
by Berkeley Wellness | March 17, 2015
http://www.berkeleywellness.com/supplements/vitamins/article/low-vitamin-d-cause-disease-or-effect
観察研究では多くの疾患と血中ビタミンD濃度の低さの関連が報告されているが、これはビタミンDの低さが病気の原因ではなく結果(因果関係が逆)、あるいは単に一般的健康状態の悪さの指標である可能性が高い。病気があると屋内に留まる可能性が高く、健康で活動的な人々は戸外で過ごす時間が長いために日光への暴露が多く血中ビタミンD濃度が高い可能性がある。さらにビタミンD濃度を減らす各種要因−加齢、肥満、運動不足、不健康な食生活−は同時に多くの疾患のリスクを増やす。良い研究ではそのような要因を調整するがそれでも残る「残余交絡要因」は問題になる。調整を行うとビタミンDと健康状態の悪さの関連は弱くなるかあるいは消失する。

Vitamin D Supplements 101
by Berkeley Wellness | March 17, 2015
http://www.berkeleywellness.com/supplements/vitamins/article/vitamin-d-supplements-101
ビタミンDマルチビタミン/ミネラルサプリメントによく入っていて単独でもサプリメントとして販売されている。最近まで多くのサプリメントの含量は400 IUだったが最近用量が増えていて1000や10000IUというものが販売されている。さらに高用量の処方剤もある。
もしあなたが血中ビタミンD濃度を測定してとても少なかったら、医師が短期高用量(週50000IUなど)を処方するだろう。そのような高用量は医師の監視の下でのみ使用されるべきである。その後の維持には1日800-2000IUが用いられる。

Getting Vitamin D from Food
by Berkeley Wellness | March 17, 2015
http://www.berkeleywellness.com/healthy-eating/nutrition/article/getting-vitamin-d-food
相当量のビタミンDを天然に含む食品は多くはなく、油分の多い魚、タラ肝油、卵黄、一部のキノコなどである。食事からの主な摂取源は強化食品で、主にミルクである。ヨーグルト、チーズ、シリアルなども強化されているものがある。
食品中ビタミンD濃度の表