食品安全情報blog過去記事

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その他

  • 自然療法日記−もとナチュロパスの告白

Naturopathic Diaries  Confessions of a former naturopath
http://www.naturopathicdiaries.com/
Britt Marie Hermesのblog
2011年にBastyr大学を卒業して1年の卒後訓練を経てワシントンとアリゾナでナチュロパスドクターとして働くうちに現場で見た不適切な行為を告白し始めた。このblogには彼女がナチュロパスになりたかった理由とやめた理由が書いてある。現在はKiel大学の生命医科学修士学生。
2015年3月22日のポスト抜粋
私は懐疑主義者になりたくはなかった
懐疑主義は私の嫌いなペシミズムとシニシズムと同じだと思っていた。ナチュロパスの学生そしてドクターとして、私は快活であることが重要だと思っていたので情報を疑ったりはしなかった。ナチュロパスにとって、患者や他の代替医療従事者に好かれるために何事も受け容れることが必須だった。
他の多くの代替医療ラクティショナー同様、ナチュロパスは何でも受け入れることが「病気の根本原因」を診断して「その人全体を治療する」のに役立つと主張する。このようなレトリックは誤解を招く。どんな医師でもその人全体を治療している。代替医療従事者は彼らの訓練で特別な診断能力や治療計画ができるようになると見せかけるのはやめるべきだ。
ナチュロパスドクターは年に一回学会で集まる。一見他の学会と似ているが特徴的なのはその内容は「クリニカルパール(臨床上の真珠)」の発表である。クリニカルパールとは典型的な症例研究の異形のもので、ナチュロパス治療のサクセスストーリーである。ナチュロパスドクターは仲間に対して彼らの診断による「発見」と治療の「勝利」を説明する。ナチュロパスの学生はノートにクリニカルパールを集めそれが治療法になる。
ナチュロパスを信じていた私はクリニカルパールを喜んで読み新しいアイディアをノートに書き込んでいった。私が発表したときも、だれ1人として根拠を示せとは言わなかった。
(オススメ本リストにErnst先生やOffit先生)

  • 国連からの三月の狂気

March Madness From The United Nations
Henry I. Miller
3/20/2015
http://www.forbes.com/sites/henrymiller/2015/03/20/march-madness-from-the-united-nations/
(マーチ・マッドネスは全米大学競技協会(NCAA)のバスケットボール・トーナメント)
各種化合物の発がん性を評価している国連の機関であるIARCが今回の会議で5つの農薬を評価しそのうち3つを「おそらく発がん性」と分類した。しかし米国EPAも欧州化学機関(ECHA)もこれらを発がん性と分類したことはない。何故食い違うのか?
新しい、革新的なデータがあれば変わるだろう。しかしそんなものは一つもない。違いの原因はIARCの結論は実際に害を与えるリスクではなくハザードの可能性に基づく、という事実による。それは私やあなたにとって何を意味するか?我々は日常的に害をなす可能性のあるハザードのある活動をしている−包丁を使い自動車を運転し飛行機に乗り交通量の多い通りを渡る。しかし実際にその活動により傷つく可能性であるリスクは低い。
IARCのグリホサート解析についても同じことがあてはまる。データ(特定のデータセット)についてグリホサートが発がん性があるかどうかをレビューされた。砂糖や塩や水やナツメグリコリスのように、グリホサートは極めて高用量ではヒトに対して害を与える可能性がある。そのことがIARCのグループ2A分類の意味である。しかし毒性学の中核信条の一つは「毒かどうかは量が決める」であり、現実にはグリホサートは製品の表示に従って使った場合にヒトが暴露される量の100倍以上であってもヒト健康リスクとはならない。
IARCは定性的評価を行っていてリスクの定量的評価をしたわけではない。リスクの定量的評価は規制機関が行う。
それでは政府の規制機関はどう結論しているのか?グリホサートは現在欧州でルーチンの登録再評価中である。2012年からBfRが行っていて2015年1月の結論では以下のようである
・再評価の結果、入手できるデータはグリホサートは実験動物では発がん性や変異原性はなく、生殖や胚/胎児発達への有害影響はない
・ヒト疫学研究では発がん性の根拠はなく生殖や神経発達への影響はない
規制機関は通常IARCより多くのデータをより深く検討する。グリホサートについては7つの企業(Adama, Arysta Life Sciences, Cheminova, Excel, Monsanto, Nufarmおよび Syngenta)が多数のデータを提出していてそれをEPABfRやその他規制機関が評価している。農薬を散布する人のような高濃度暴露の人を研究することで発がん性が同定できるので規制機関は米国農業健康研究(AHS)のような前向きコホート研究も考慮する。
基本は、BfRはIARCが検討した情報は全て検討済みでさらに多くを検討した、ということである。
IARCの決定は農家や消費者に何を意味するだろうか?何も。世界の規制機関はハザードとリスクを区別し厳密に科学的リスクを評価し続けるだろう。
IARCは6月にはさらに3つの農薬を評価する。無傷で済むものは一つもないと予想する。バスケットの試合の勝敗予想よりあたることを確信している。

CASH (Consensus Action on Salt & Health)
New Survey Names and Shames UK’s ‘Saltiest' Family-Friendly Eateries and Warns of a New Generation of ‘Salt Addicts’
http://www.actiononsalt.org.uk/news/surveys/2015/Children's%20Out%20of%20Home%20Survey/150107.html
家族向けレストランの子ども向けメニューの塩についての調査。
3月16-22日は全国減塩週間

America has fallen out of love with diet sodas, and possibly for good
By Roberto A. Ferdman
Washington Post March 23, 2015
http://www.chicagotribune.com/business/breaking/chi-diet-soda-disappearing-20150323-story.html
ダイエットコークが導入されて10年半以上経った1990年代終わり頃売り上げは伸び悩んでいた。その後10年、ダイエットソーダの販売は30%以上伸び2009年には初めて85億ドルを上回った。しかし過去5年で約205低下し今回はももう戻らないと予想される
低カロリー炭酸飲料への逆風はアメリカの消費者の二つの傾向による−一つは炭酸飲料そのものの消費量が減っていること、そしてもう一つは人工甘味料への不信が増大していることである。
(さすがにコカコーラとマクドナルドが象徴の時代はいつまでも続かないのでは・・)

  • 何故栄養セレブがそんなに魅力があるのか

Why do nutrition celebrities have so much pull?
By Rebecca Charlotte Reynolds
Tuesday Mar 24, 2015
http://www.nzherald.co.nz/health/news/article.cfm?c_id=204&objectid=11421771
栄養に関するセレブは我々に畏敬や羨望や賞賛を喚起する。Gwyneth Paltrowsは他の分野でセレブの地位を手に入れているが、栄養学についての資格はないのに食品や栄養の分野で有名になった人がたくさんいる。先週栄養帝国が破壊されたPete Evans、Sarah Wilson、Belle Gibsonなどがそうである。
栄養セレブはしばしばしっかりした科学的根拠のない「流行のダイエット法」を宣伝する。しばしば生化学や基本的栄養学を理解していない。
Pete Evansの原始人ダイエットは「原始人はバランスがとれている」というが実際には何一つバランスがとれていない。Belle Gibsonは「レモン水を飲んでアルカリ化することでデトックスする」といいつつ果物を排除せよという。Sarah Wilsonは砂糖をやめると砂糖依存が治って身体が再調整されるという。
英国栄養士会が最悪のセレブダイエットに原始人ダイエットと無糖ダイエットを選んだのは驚くべきことではない。
健康的な食生活については私達はどれが役にたつのか知っている。オーストラリアの食事ガイドラインはセクシーではないかもしれないが最良の科学の成果である。
なのになぜ栄養セレブがこれほど人気があるのか?そしてその影響は?
良いこと
一部のフォロワーの食生活を良い方に変えた−例えば野菜や果物を多く食べる、といった
悪いこと
何が良いのかについて一般の人々を混乱させる。Belle GibsonやJessica Ainscoughを信じた人はがんの治療をやめるかもしれない。Pete Evansの指示通りにすると有害影響が出る量のビタミンAを摂ることになる。
マーケティング
なぜ栄養セレブの売っているものは通常根拠が無く信頼できず健康的でもないのにこれほど多くのフォローワーがいるのか?
私達はストレスを感じていて疲れていて簡単な解決方法を探している。セレブは富と幸福の象徴でそのライフスタイル全体と食事で全てが解決できるという考えを販売されている。
ファンシーなblogやカラフルな料理本、スタイリッシュな写真に惹きつけられる。これらのほうが政府のガイドラインや医師の話を聞くより魅力的である。
根拠に基づいた栄養情報を戦略的にマーケティングする必要があるのだろう。
でたらめな流行に対抗するためには健康的な食生活についてのコミュニケーションの革新を検討する必要がある。

  • 健康食品の不適正な表示・広告にご注意! 東京都

平成26年度健康食品試買調査結果
平成27年3月23日
http://www.metro.tokyo.jp/INET/CHOUSA/2015/03/60p3n300.htm
•販売店で購入した製品では、45品目中26品目に不適正な表示・広告がみられました。
•インターネット等の通信販売で購入した製品では、80品目中79品目に不適正な表示・広告がみられました。
•2製品からマグノフロリンを検出しました。
(こういう業界。)