食品安全情報blog過去記事

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その他

  • ペットフードには明確に表示されていない動物が含まれる

Pet foods contain animal contents not explicitly identified on labels
31-Mar-2015
http://www.eurekalert.org/pub_releases/2015-03/bc-pfc032715.php
Acta Veterinaria Scandinavicaに発表された研究によると、いくつかのブランドのペットフードは表示されていない不特定の動物種と、牛、ブタ、鶏の様々な割合を含む。
英国のスーパーマーケットで販売されている17の犬猫用ウェットペットフードの牛、ブタ、鶏、ウマのDNAの相対比を調べて表示と比較した。
ウマ肉は検出されなかったが17検体中14検体から特定できない動物種のタンパク質が検出された。また14検体では牛、ブタ、鶏のDNAが検出されたがその割合は様々で表示からはわからない。
ビーフ入りと宣伝されている製品7つの牛DNAの含量は14-56%で、牛の方がブタと鶏の合計より多かったのは7つのうち2つのみだった。「チキン」表示された製品の鶏DNAは1%から100%であった。

  • 魚油の宣伝は研究により支持されない

NYT
Fish Oil Claims Not Supported by Research
By Anahad O'Connor March 30, 2015
http://well.blogs.nytimes.com/2015/03/30/fish-oil-claims-not-supported-by-research/
魚油サプリメントは今や米国ではビタミンとミネラルに次いで三番目によく使われているものである。少なくとも10%の雨入り歌人が心血管系の健康のためと信じてオメガ3脂肪酸サプリメントを摂っている。しかし大きな問題がある。魚油を使った臨床試験の多くで心筋梗塞脳卒中リスクを下げるという根拠がないのである。
2005年から2012年の間に少なくとも2ダースの魚油研究が有名雑誌に発表された。多くは心疾患の履歴やリスク要因を持っている人たちである。2つを除く全てがプラセボと比較してメリットがなかった。しかしこの間にも魚油サプリメントの売り上げは二倍以上になった。効果がないという試験が蓄積しているにも関わらず、販売額が増加した。
理論的にはオメガ3脂肪酸には心血管系の健康を改善する可能性がある。しかしそれは大規模臨床試験で検出できるメリットにはなっていない。
魚油についての初期の研究は死亡率を下げるというものもあったが最近のものではメリットは観察できない。理由の一つは心血管系疾患の治療方法が今と相当違うことがある。スタチンやβ阻害剤や血液凝固抑制剤があまり使われなかった時代には、魚油の効果は小さくても見えたのだろう。今の時代の標準治療は魚油カプセルでは影響がでないほど改善している。心臓専門医の多くは魚油サプリメントではなく油分の多い魚を食べるよう助言している。魚油サプリメントの研究はまだ行われていてサプリメントは一般的には健康な人に大きな悪影響はない。ただし何の効果もないものに大金を費やしているという事実は認識すべきだろう。

  • 赤身肉は敵ではない

Red Meat Is Not the Enemy
MARCH 30, 2015 Aaron E. Carroll
http://www.nytimes.com/2015/03/31/upshot/red-meat-is-not-the-enemy.html
この国には赤身肉を食べ過ぎている人たちがいる。彼らは減らすべきだ。炭水化物を食べ過ぎている人たちがいる。彼らはそれらを減らすべきだ。そして脂肪を食べ過ぎている人たちにも同じ助言をする。
しかしどんなものでも特定の栄養素を全ての人にとって悪いものだとすることを正当化するのは困難である。私はこれまで塩やコレステロールについての強い警告がしっかりした根拠がないという記事を書いてきたが過去数十年赤身肉ほど悪く言われてきた食品はないだろう。赤身肉への警告は必要以上に激しくなってきた。
アメリカ人はますます肥満になり昔より肉を多く食べているのは疑いようがない。しかし過去10年は赤身肉の摂取量は減っている。これは肥満の減少につながっていない。同時に野菜や果物の摂取量は増えていて穀物や甘味料も増えている。
問題はこれである。我々は必要以上のカロリーを摂っている。なのに我々の食事についての議論はいつも犯人捜しである。
多くの人が指摘する研究はタンパク質の摂取量増加が死亡率の増加に関連するという昨年の研究だが、論文をよく見ると別の話が見えてくる。これはNHANESを使ったコホート研究だが、50才以上の全ての参加者を対象にするとタンパク質の摂取量と全原因での死亡あるいは心血管系、がんでの死亡に関連はない。糖尿病での死亡率には統計的有意差があったが人数が少ないので注意が必要だとされている。おそろしげな知見は50-65才の人だけを対象にしたサブ解析によるものだが、65才以上になると逆転する。タンパク質の多いことは死亡率の低さと関連するのだ。もしこの研究を信じるなら65才以上の人はもっと肉を食べるように助言すべきだが誰もそんなことを言わない。さらにこの研究ではカロリーの20%以上をタンパク質からとる場合を「高タンパク質群」と分類しているが、USDAの助言ではタンパク質由来のカロリーは10-35%としており、20%は高タンパク質ではないだろう。
もしチェリーピッキングをしたいと思えば同じNHANESのデータで肉は死亡率と関係ないという結論だってある。都合の良いデータだけを見るのはやめて全体を見よう。
疫学研究は欠陥がある可能性がある。2012年の系統的レビューで示されているように、我々が食べる全てのものががんの発症率を上げたり下げたりすることと関連する。RCTが必要で実際存在するが脂質量への影響についてのものである。
これら全てに欠けているものがある。「食べ過ぎ」というのは実際どういうものなのかということである。
全ての警告は食習慣に影響を与えてきたように見える。アメリカ人の赤身肉摂取量は1970年代より少ない。野菜の摂取量も増えた。しかし脂肪と赤身肉を減らそうとして砂糖や穀物の摂取量が増えた。
我々はカロリーを摂りすぎだがその内容はいつも同じではない。昨秋の有名ダイエット法のメタ解析ではどれも似たようなものだった。このことから言えるのは、最良のダイエット法はあなたが維持できるものである、ということである。健康に悪い敵を探して批判するのは役にたたない。