食品安全情報blog過去記事

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その他

  • TVを見ることは糖尿病リスクを増やす?専門家の反応

SMC
Does watching TV increase diabetes risk? – Expert reaction
April 2nd, 2015.
http://www.sciencemediacentre.co.nz/2015/04/02/does-watching-tv-increase-diabetes-risk-expert-reaction/
本日発表された新しい研究によるとテレビの前に座っていることは糖尿病リスクを増やす
Diabetologiaに発表された研究は職場や自宅での座って過ごす時間について調べ、テレビの前に座っている時間が1時間増える毎に2型糖尿病発症リスクが3.4%増加することを示唆した。
UK SMCが以下のコメントを集めた
Open University応用統計学Kevin McConway教授
プレスリリースが強調しているように、この研究の最もニュース価値のある部分は「TVを見ている時間」についての知見だがこの結論に関してこの研究の限界を理解することが重要である。表面的にはこの知見はRCTデータによるので信頼できそうに見える。しかしこの研究デザインはTVを見て過ごす時間が糖尿病に影響するかどうかを調べるためのものではない。関連があるかもしれないように見えるがデータは観察によるもので観察研究から因果関係を言うのは難しい。
研究者らはTVを見て過ごした時間が長い人々の方が糖尿病になりやすいことを観察しているが増加したリスクは小さい。糖尿病は比較的よく見られる病気で、英国では毎年10万人あたり500人の新規患者がいる。もしこの結果を額面通りに受け取ると、英国人みんなが1時間余計にTVを見ると10万人あたり17人が追加で新たに糖尿病になる。しかし数値を額面通りに受け取ることはできない。交絡要因の可能性がある。
重要なことは、参加者の体重を考慮すると過剰リスクがさらに小さくなって統計学的に有意でなくなることだ。このことは多分テレビを見る時間が長いと体重が増え、その体重が糖尿病リスクを増やす可能性を示唆する
これらは全てこの種の観察研究から原因と結果を導き出すのがどれほど難しいかを示す。TVの前で長く過ごすことが糖尿病リスクを増やす可能性はあるが、この研究はそれを確認したものではない。

  • ゴールデンライスは今

Golden Rice Now
DR. PATRICK MOORE
3月29日
https://www.facebook.com/goldenricenow/posts/877305162326980
活動家による信用を落とすキャンペーンへの反応
私はグリーンピースの共同設立者としてキャリアを初め、45年間献身的な環境保護主義者である。約30年前にグリーンピースを離れてからは気候変動やエネルギー、林業、農業、そして現在は特にゴールデンライスについて独立して意見を述べている。
ゴールデンライスが組換えにより作られたという理由で私はGMOを巡る議論に巻き込まれている。私の立場は、反ワクチンキャンペーンのような科学的根拠のないキャンペーン全ての中でも遺伝子科学を農業に利用することへの反対は最も根拠がないというものである。私がゴールデンライスに興味を持っているのはそれが人道的必要性に対応するからである。
私はセンセーショナリズムや間違った情報の流布、恐怖戦略に反対し科学と論理を根拠にする。私の活動家への批判能力の高さが私に反対するものにとっては邪魔で嘘で私の人格を攻撃し信用を落とそうとしてきた。嘘の中には私がモンサントのために圧力をかけているというものもある。
最近の例が(リンク1)である。
実際に起こったことを話そう。
数ヶ月前にフランスのテレビにインタビューされた。私はこのインタビューが私を騙して行われたことに非常に憤慨した。ゴールデンライスについてインタビューすると言われたのに彼は私に馬鹿げたことをした。それから動画を編集して私の意見と実際に行われた議論を歪めた。私はグリホサートが飲んでも安全だと言いたかったわけではない。グリホサートは飲み物ではない。私が指摘したのは大量に飲んでも致死的ではないので農業に使用されている状況では「安全」であると指摘したのだ。
私は毎年数百のライブインタビューを受けていてインタビューの中でミスをしたのはこれが初めてではない。悪意のあるホストによるライブのインタビューに答えることの難しさは、このような状況に置かれたことがある人にしかわからないだろう。
私は先のインタビューでグリホサートは農業で使用するには安全で、毒性が低いので農業に使用されている濃度を大量に飲んでもヒトに永続する健康被害を引き起こさないだろうと言っている。現在出回っているインタビューの中盤で質問者が突然話題をグリホサートに変えてカメラの前でグリホサートを飲めと言った。私は怒った。敵意のあるよくわからないホストの提供する未知のものをカメラの前で飲むのは愚かなことだ。私はグリホサートを飲むだろうなどとは言っていない、グリホサートを飲んで自殺しようとした人たちは失敗していると言っただけだ。そして彼らは農業用に散布するよりはるかに高濃度を飲んでいる。販売されているのは濃縮されているもので通常散布するときは1-2%に希釈する。
グリホサートを指示通りに使用してがんが誘発されるという科学的根拠はない。
(これのこと
http://www.huffingtonpost.jp/2015/03/30/roundup-is-safe-enough-to-drink_n_6966546.html
こんな記事を掲載するニュースサイトのほうが信用を落とすような話だけれどこういうやり方で人のミスを誘って嘲笑して何が得られる?
いいね!が9813だって。)

  • がんについての会話を変えよう

Natureコラム
Change the cancer conversation
01 April 2015
http://www.nature.com/news/change-the-cancer-conversation-1.17236
「がんとの戦い」は道を外している。患者にとっての最善に焦点を合わせなおす努力をすべきだ、とColin Macilwainが言う
Angelina Jolieが遺伝子検査でがんになりやすいことがわかって2013年に両乳房切除を行ったとき、彼女は他の人に自分自身のリスクを考えるよう求めた。彼女が卵巣と卵管を除去した現在さらに多くの人がそうするだろう。このことの良い影響は:啓発とがん患者へのスティグマの減少である。しかしJolieの物語−最適な診断・助言・治療−は多くのがん患者にとってはあまり当てはまらない。むしろ「がんとの戦い」に突き進み勝利するという非現実的な期待を長続きさせることになる可能性がある。この場合がんは強い意思と正しい武器で打ち負かすことのできる敵とみなされる。残念ながら、麻薬やテロとの「戦い」のように、がんとの戦いは戦いそのものへの関心の方がそれによって救おうとしているものへの関心より大きくなってしまう。もう敗北宣言あるいは勝利宣言、あるいはなんでもいいが、より現実的で建設的ながん予防・治療アプローチをすべき時だ。
がんとの戦いの最も目立つ敗北は費用の急増と死亡率改善が明確でないことだ。付随するダメージにはバイオテクノロジー企業の間違った方向付け、法外な治療費についての一般の議論を間違った方向に導いてきたこと、役にたたない診断キットの私利目的の宣伝、研究の優先順位付けのゆがみ、患者の間違った治療(特に高齢者)、環境要因への政策対応の遅れなどがある。
世界的ながんとの戦いglobal war on cancerは44年前に米国大統領Richard Nixonの演説により始まった−彼は実際にはそのようなフレーズは言っていないが。
政治の支援で敵から防御するという考え方は古くからある。例えば中国の万里の長城はつながっていないところがあるので侵入者は単純に切れ目から侵入できる。しかしその壁は敵を入れないためだけに作られたわけではない。中国の皇帝の地位を保つのに役立った。そのような場合はいつでも防御装置は主にそれを作る人のために作られる。
バイオテクノロジー産業のことを考えてみよう。その設立当時から、がん治療法の研究は中心課題だった。米国の保険会社が3ヶ月から6ヶ月の延命が証明された治療法に喜んでお金を出したからだ。がんの治療薬には巨額な儲けが予想された。その最も顕著な帰結が英国のがんとの戦いでの医薬品の支払いを求めての広報合戦である。しばしば企業がお金を払った患者団体が個人の事例を発掘して公的機関に治療費の支払いを求める。しかし最も問題になるのは医師と患者の間での戦いである。良くなっているように見せるため、そして必要な成果基準を満たすため、医師は化学療法や放射線療法などのたくさんのアプローチをほぼ全ての患者に提供しなければならなくなる。今やそれが遺伝子検査や幹細胞移植のような実験的治療方法にまで拡大してきた。患者の利益になるかどうかについての明確な根拠がないにもかかわらず。
そしてがん啓発産業が加わる。米国のがん啓発イベントの主要スポンサーはフォード自動車やアメリカン航空である。もともとは草の根運動だったものにこれらの企業が入ると何かがおかしくなる。啓発は原因を予防するよりも検査や治療に重きをおくようになる。
がん研究も同様に歪められている。米国NCIの予算のうち予防やコントロールについてのものは2003年は11%だったのに2013年は6%に低下した。治療の効果を測定する研究は無視されている。環境健康研究は政治的に論争が多く資金は不足している。
NCIを今週退職したHarold Varmusは「がんとの戦い」という比喩は破棄すべきと主張している。しかしこれは広く使われている。そしてあまり成果があがっていないにもかかわらず、政治家達はこの戦いのモデルを神経変性性疾患にも適用しようとしている。この分野は最近政治的関心が高く、既にオオカミたちが彷徨っている。いつもの容疑者−製薬企業、装置メーカー、大学−が席に着こうとしている。政策決定者は警戒すべきだ。優先的に対策すべきなのは人生の質を高めることである。遺伝子や診断というキラキラした約束の代わりに、居場所とケアの基本への投資が必要である。そうしなければ40年経っても高齢で弱い人々は今と同じようなみすぼらしいケアしか受けられないだろう。そして彼らの痛みから搾り取ったお金で、特定の集団のためのもう一つの万里の長城が築かれるだろう。

  • 高齢者が洗剤ポッドを食べて死亡、労働者は人手不足を非難

Senior dies after eating detergent pods, worker blames understaffing
CBC News Posted: Apr 01, 2015
http://www.cbc.ca/news/canada/saskatchewan/senior-dies-after-eating-detergent-pods-worker-blames-understaffing-1.3018723
Catholic Health Ministry が運営する160床の長期ケア施設Providence Placeで、認知症の男性が監視のないまま彷徨して洗濯用洗剤ポッドを食べて3月20日に死亡した。退職した介護助手が、人手不足でそうなったという。このことを口外するなと言われたがサスカチュワンの議会に持ち込まれた。保健大臣Dustin Duncanは死亡は重大事故なので調査すると述べた。

  • Belle Gibsonは警察が不起訴にした後ビクトリアの消費者監視団体により調査される

Belle Gibson investigated by Victoria's consumer watchdog after police drop case
Thursday 2 April 2015 Melissa Davey
http://www.theguardian.com/australia-news/2015/apr/02/belle-gibson-investigated-by-victorias-consumer-watchdog-after-police-drop-case
ビクトリア警察が不起訴を発表したことに続き、ビクトリア消費者庁Consumer Affairs Victoriaが脳腫瘍を代替医療で治したと主張するBelle Gibsonの調査を継続していることを確認した。
本やアプリの販売からチャリティに寄付するという約束が実行されていない募金詐欺
一方木曜日のWomen’s WeeklyによるとレストランチェーンSumo Saladが原始人ダイエットのセレブシェフPete Evansを大使から解任した。
(ロゴを見る限り相撲サラダ。嘘書いたからという理由ではさすがに罰せられないだろう。)