食品安全情報blog過去記事

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論文

  • 包装表面への表示はより健康的な選択を可能にする、新しい研究が発見

Labels on the front of food packaging can enable healthier choices, new research finds
21-Apr-2015
http://www.eurekalert.org/pub_releases/2015-04/uos-lot041615.php
British Journal of Nutritionに発表されたSurrey大学の研究。英国、ドイツ、ポーランド、トルコの2068人の成人のピザ、ヨーグルト、ビスケットを提示されたときのデータを解析した。FOPはエネルギー、砂糖、脂肪、飽和脂肪、塩の数値表示と4つのシステムとを比較した。どのシステムでも参加者は最も健康的なものとそうでないものを区別でき、システムによる違いは小さかった

  • MMRワクチンと自閉症に関連はなかった、リスクの高い子どもでも

No association found between MMR vaccine and autism, even among children at higher risk
21-Apr-2015
http://www.eurekalert.org/pub_releases/2015-04/tjnj-naf041615.php
JAMAの4月21日子どもの健康特集号に発表された、年上のきょうだいのいる約95000人の子どもでの研究。兄姉がASDであってもMMRワクチンとASDに関連はなかった

Link between serotonin and depression is a myth, says top psychiatrist
21-Apr-2015
http://www.eurekalert.org/pub_releases/2015-04/b-lbs041715.php
BMJの今週号で、鬱は脳のセロトニン濃度が低いためでそれを上げるのが有効だという広く信じられていることは神話である、とNorth Wales のHergest 精神科ユニットのDavid Healy教授は言う。鬱では脳のセロトニン濃度が低いことは確立された事実であるという誤解は「神話のマーケティング」であるという。
1980年代初期に鎮静剤への依存性の懸念が問題となり、1980年代後半にセロトニン再取り込み阻害剤(SSRI)が使われるようになった。SSRIは元から使われていた三環系抗うつ剤より作用が弱かったものの、鬱は表面的な不安症状の背景にあるより深い病気であるという考え方と一緒に売り込み、驚くほど成功した。SSRIセロトニン濃度を回復するという考えはやがて化学物質のバランスの悪さを整えることで病気が治るという考えに変わっていった。1990年代、SSRIが本当にセロトニン濃度を上げるのかどうか誰も知らなかった。そして今でもわからない。治療が何かを「修正」しているという根拠はない。
この「神話」は補完代替医療マーケット、心理学者、雑誌を含む多くの人に取り入れられた。その一方でより効果的で費用のかからない治療法は忘れ去られた。
セロトニンが関係ないわけではない。問題はその重要性の評価である。

これについて
SMC UK
セロトニンと鬱についてのエディトリアルへの専門家の反応
expert reaction to editorial on serotonin and depression
April 21, 2015
http://www.sciencemediacentre.org/expert-reaction-to-editorial-on-serotonin-and-depression/
英国精神科医師会長Simon Wessely卿教授
抗うつ剤心理療法とともにうつに効果があることは確立している。作用メカニズムはわからない。ほとんどの研究者は古いセロトニンモデルから離れてずいぶん時間が経った。
最も重要なことは新しい薬(SSRI)は過剰した場合古い三環系より安全であるということである。このエディトリアルのみを理由に現在の治療を変えるべきではない
South Londonと Maudsley NHS 信託財団King’s Health Partnersの医薬品化学臨床アカデミーグループ長で薬学と病理の長David Taylor教授
Healy教授は実際には存在しない「SSRIは脳のセロトニンのバランスを正しくする」という考えをに反対して強い主張をしている。研究者や精神科医SSRIが効果があることを知っているがその作用メカニズムはわからない。SSRIセロトニンに影響はするが他に多くの脳内影響がある。Healy教授はセロトニンの原料となるトリプトファンの枯渇がいろいろな作用機序の抗うつ剤の効果を打ち消すという強い根拠を無視している。SSRIが三環系に置き換わったのは過剰使用時の安全性が原因でありセロトニンと鬱に関する陰謀論が原因ではない。
コンサルタント精神科医気分障害スペシャリストPaul Keedwell博士
ほとんどの精神科医は患者に抗うつ剤の作用メカニズムが正確にはわからないことを喜んで認めるだろう。大事なのは安全性と有効性だから。現実の治療ではSSRIは紛れもなく効果がある。個別にはともかく一般論として三環系より効果が小さいという根拠はない。
SSRIがどうして効くのかを証明するのは難しい。既存の薬では効果のないひともたくさんいてさらなる研究が求められている。「セロトニン神話」のせいで他の研究が抑制されているという考えは単に事実ではない。セロトニンだけでは鬱が説明できないという主張は新しくはない。Healy教授はかつてSSRIが依存性であるとか自殺を誘発すると主張し、鬱に苦しみ助けが必要な人たちをリスクに曝した。この記事はさらにその問題に加えるものである。
UCL実験精神薬理リーダーClare Stanford博士
Healy教授はSSRIが使用されているのはセロトニン濃度を上げるという神話のせいだと主張するが、それはわら人形論法である。Healy教授が無視した脳でのセロトニンの合成欠損が一部の患者で鬱の再発をひきおこすという事実はあるものの、脳のセロトニン濃度が低いから鬱になるという説はもう何年も前に死んでいる。一方「抗鬱」のモノアミン仮説は元気である。SSRIセロトニンやその他のモノアミン神経伝達物質を放出する神経のコミュニケーションを活発にし、下流の神経形成や遺伝子発現などの変化を確実にして鬱を改善するという根拠がある。簡単に言うとSSRIは鬱のスイッチを切るのではなく、抗鬱のスイッチを入れるのだろう。
SSRIバッシングは何年前だったかな。一方インチキ自称なんとかアドバイザーとかが「落ち込んだ時にはセロトニンの多い食べものを食べましょう」とか平気で言うからねぇ)

Have we achieved the millennium development goals?
21-Apr-2015
http://www.eurekalert.org/pub_releases/2015-04/b-hwa041715.php
ミレニアム開発目標の期限が近づき、BMJ今週号はその成功と失敗とをまとめ次のステップを考える。
子どもの死亡率は1990年の1000人中90から2013年の46に減った。HIV対策も前進した。しかし新生児死亡率はあまり改善されておらずジェンダーエンパワメントや栄養不良も遅れている。多くの分野で欠点はあるが国連は次の2030年までの目標を設定する。

  • ヨーグルトの定期的摂取は健康を増進しない

Regular consumption of yogurt does not improve health
21-Apr-2015
http://www.eurekalert.org/pub_releases/2015-04/f-sf-rco042115.php
食事助言では健康的な食生活の一環として乳製品を食べることを支持している。しかし4000人以上の参加したスペインの研究は定期的にヨーグルトを食べることと健康関連QOLの関連を解析し、身体や精神的パラメーターの改善と関連はないと結論した。
何年もの間いろいろな研究者が定期的にヨーグルトを食べることのメリットを述べてきたが有効性が証明されたことはない。実際にはこれまでヨーグルトの健康影響を特に調べた研究はわずかしかない。
マドリッドのAutonomous大学の研究者らは4445人のスペイン成人で3年半の期間、定期的にヨーグルトを食べることと健康関連QOLスコアの変化について調べた。結論としては関連はなかった。Journal of the Academy of Nutrition and Dieteticsに発表。