食品安全情報blog過去記事

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その他

  • Orexigenは肥満薬の安全性試験は中止という

Orexigen says obesity drug safety trial terminated
May 12, 2015
http://www.reuters.com/article/2015/05/13/orexigen-fda-idUSL3N0Y380G20150513
Orexigen Therapeutics Inc と武田薬品の共同開発した肥満薬であるContraveの心血管系への安全性を評価する試験が、データの許可されていない公開により中止された。試験を行っていたClevelandクリニックによると、Orexigenが3月に勝手にデータを公開したことが研究の厳密性を損なった可能性がある。武田は公式に紛争プロセス手続きを開始しOrexigenに新たに行う試験の費用を全て負担することなどを求める。

Cleveland Clinic
Clinical Trial Testing Safety Of Obesity Drug Contrave Halted; 50 Percent Interim Data Released By The Study’s Executive Committee
Unauthorized Release of Data Compromised Integrity of Study
Tuesday, May 12, 2015
http://my.clevelandclinic.org/about-cleveland-clinic/newsroom/releases-videos-newsletters/2015-5-12-clinical-trial-testing-safety-of-obesity-drug-contrave-halted
Orexigenは最初の25%の予備的データでContraveは優れていると主張して特許を申請したらしい。研究の担当者は25%では結論できないと注意したにも関わらず。50%のデータで解析したところContraveは特に優れているとは言えないという結果になった。
Orexigenのやったことは試験の信頼性を損なうので別の試験が必要になる。
(試験はFDAが認可の際に注文していた市販後の安全性の確認。)

  • あなたの腸内細菌はジャンクフードが好きではない−たとえあなたが好きでも

Your gut bacteria don’t like junk food – even if you do
10 May 2015 Tim Spector
https://theconversation.com/your-gut-bacteria-dont-like-junk-food-even-if-you-do-41564
腸内細菌の研究者で「The Diet Myth: the real science behind what we eat」http://www.kcl.ac.uk/lsm/newsevents/newsrecords/2015/apr/The-Diet-Myth-the-real-science-behind-what-we-eat.aspxの著者Tim Spectorが息子の実験を報告する。
遺伝学を履修している大学生のTom Spectorは10日間マクドナルドしか食べない(ビッグマックかチキンナゲット、それにコークとフライドポテトのみ。夜のビールとチップスは許可)で便を集めて三カ所の研究室で微生物を調べるという実験をした。
「最初の3日は調子が良かったがだんだん不調になって最後の2-3日は辛かった。終わったときはサラダと果物を買いに走った」
この結果はクラウドファンディングで実施されているBritish Gut Project(自分の便を提供して微生物を調べてみんなでデータを共有して解析するプロジェクトhttp://www.britishgut.org/)で解析する。Tomの腸内は大きく変わっていた。不健康な腸の最大の指標は種の多様性の消失で大体1400種、約40%が失われていた。食品の多様性が重要なようだ。
(Tomの写真は食べ過ぎじゃないかと思うのだが。)

  • ビクトリア人は交通事故より塩の摂りすぎの方が多く死亡している

More Victorians die from excessive salt consumption than from car accidents, study shows
http://www.abc.net.au/news/2015-05-13/more-victorians-die-excessive-salt-consumption-car-accidents/6465888
VicHealthの研究ではビクトリア人は毎年15000トン以上の塩を食べていて推奨量の約2倍である。ビクトリア人の死亡の20人中1人は塩の摂りすぎによるもので年間の交通事故による死亡の6倍である。
State of salt: deaths linked to high salt intake six times higher than Victoria's annual road toll
Last updated: 12 May, 2015
https://www.vichealth.vic.gov.au/media-and-resources/media-releases/state-of-salt-in-victoria
(オーストラリアが塩の摂り過ぎなら日本はそれどころではない)

  • これらの健康に関することわざは本当か?

Are These Health Sayings True?
May 13, 2015
http://www.berkeleywellness.com/self-care/home-remedies/lists/are-these-health-sayings-true/slideid_2143
1.1日一個のりんごは医者を遠ざける−野菜や果物を多く食べることは死亡率を下げるという研究がある。最もよく食べられている果物はりんごである
2.早寝早起きが健康の元 重要なのはパターンと睡眠時間
3.新鮮な空気は医者を貧乏にする 屋内の汚れた空気、日光によるビタミンDに関係
4.同じ羽の鳥は集まる ソーシャルネットワークでも、友人が肥満だと肥満になりやすい
5.快活は良薬 健康であれば幸福だが幸福感は健康を増す

  • インドはGM作物試験へのスタンスを緩和

Natureニュース
India eases stance on GM crop trials
Sanjay Kumar  12 May 2015
http://www.nature.com/news/india-eases-stance-on-gm-crop-trials-1.17529
州は遺伝子組換え作物の野外試験を許可し始める
インド政府は5年前、反GM活動家の抗議により遺伝子組換えナスの商用栽培を禁止し、州政府に遺伝子組換え作物の野外試験への拒否権を与えた結果、そのような試験はずっと行われてこなかった。しかしNarendra Modi政府は態度を変え、去年8つの州がGM作物の野外試験を認めた。インドの状況は世界から注目されている。途上国でのGM技術を巡る緊張の象徴だからである。
インドは急増する人口を養うために農業生産性を向上させなければならない。干ばつや高塩などの厳しい条件で育つ作物を開発するためにも技術は必要である。一方インドには1億人の農家がいてGM作物が彼らの生活を変えるのではないかと心配している。この緊張が2010年に噴火して反GM活動家に組織された抵抗により遺伝子組換えナスの禁止につながった。GM作物の野外試験認可も全ての州ではなく、反対活動は続いている。科学者と批判者が合意している一つのことはバイオテクノロジー規制を改善するための法整備が必要であるということである。2013年に議会に提出された法案は改訂され審議されているが通過にはまだ時間がかかる。
インド政府は野外試験に比べると商用栽培には慎重なようである。しかし昨年バングラデシュGMナスの栽培を始めていて、穴だらけの国境を考えるとやがてインドにも入るだろう。しかしインド政府はGM技術の長所や短所などの透明な議論を行うつもりはなさそうだ。これまでウェブに掲載されてきたGEAC会議の詳細はもはやオンラインでは見られない。そして政府はグリーンピースインドの銀行口座を凍結したことを批判されている。お金の問題だとしているが、広くリークされた、昨年のModiのための報告書によるとグリーンピースによる反GMキャンペーンがインドの発展を阻害していると述べている。