食品安全情報blog過去記事

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母乳を与えることと子どもの白血病リスクについての研究への専門家の反応

SMC
expert reaction to study investigating breastfeeding and risk of childhood leukaemia
June 1, 2015
http://www.sciencemediacentre.org/expert-reaction-to-study-investigating-breastfeeding-and-risk-of-childhood-leukaemia/
母乳を与えることに関連する健康上のメリットの可能性については何年も研究されてきていて、JAMA Paediatricsに発表された論文では過去に発表された18の論文のメタ解析で母乳を与えられた場合症に白血病発症率が低いと報告された。
York大学疫学&がん統計グループ疫学教授Eve Roman教授
自己申告データによることに加えて、このメタ解析には多数の間違いがある。最も顕著なのは英国小児がん研究の結果(文献 23 と 44)が二回計算されていて全体の結果を歪めている。文献44はサブセット解析で新しいデータは含まないのでこの研究では計算に入れるべきではない。さらに方法論の適切さ(未調整解析の試み)や結果の解釈に問題がある。
私はUKCCS 2001の元の結論を支持する:「これら各種の小児がんのオッズ比の見かけ上の僅かな減少が母乳の一般的影響なのか何らかの系統的バイアスを反映しているのかは不明である」
Bristol大学小児科周産期科名誉教授Jean Golding教授
この研究は白血病の子どもと対照についての18の研究を組み合わせたものでそのような症例対照研究の欠点は(a)子どもが生まれてから相当時間が経っているので母乳を与えた期間などが正確ではない(b)比較している群にバイアスがある
従って、観察されたメリットもごく僅かなので私は母乳が小児白血病を予防するとは確認できない
ロンドンがん研究所進化とがん研究センター長Mel Greaves教授
この研究は6ヶ月以上母乳を与えることが急性リンパ芽球性白血病(ALL)リスクを下げるというこれまでの研究を確認した。しかし重要なのは子どもの白血病は極めて希であることである。もっともありそうな解釈は早期の免疫系への暴露の無さが将来の感染時の反応を変えてがんの引き金になるというALLの遅延型感染仮説である。
Oxford大学がん疫学ユニットValerie Beral教授
母乳を与えると小児白血病リスクが減るのではないかという説は何十年もあるがこの論文を含めてこれまで十分に確認されたことはない。
白血病とリンパ腫研究部長Chris Bunce教授
母乳を与えられないあるいは与えない母親達にこの研究の結果として心配をして欲しくない。小児白血病は希で母乳のめりっとはそれほど明確ではない
小児科子ども健康王立大学栄養委員会長Colin Michie博士
この新しい情報は母乳を与えることを薦めるさらなる理由になるが、努力すべきは必要な人への支援である。